「描いた瞬間、“違うな”って思った」――漫画家の卵がワコム「Intuos4」を試す(3/3 ページ)
満を持して登場したワコムのクリエイター向けペンタブレット「Intuos4」。Intuos3のユーザーであれば、その変化は「描いた瞬間に分かる」ものらしい。“2倍の筆圧レベル”“使いやすさを追求した新デザイン”は、ユーザーに何をもたらすのか?
ホイール式のトラックパッドで「カンバスの回転」
画面の拡大縮小/スクロールに便利なトラックパッドは、バータイプからホイールタイプに変更された。さらにホイールの中央にあるボタンで、トラックパッドの機能を切り替えることができる。割り当てられる機能は最大4つで、ボタンを押すごとに切り替わる仕組みだ。さすがに有機ELは設けられていないが、LEDのステータスランプによって使用中の機能が分かるようになっている。
「画面の拡大縮小だけじゃなくて、線の太さやレイヤーの切り替えもトラックパッドだけで操作できます。マウスやキーボードを極力使わずに作業したいので、使える機能が多くなるのはうれしいですね。ただ、“線の太さ”のつもりで操作したら“レイヤー切り替え”だった、というようなミスも起こりました。もちろんLEDを見ればどの機能を使ってるか分かるのですが、絵を描いているときはなるべくディスプレイから目を離したくない。“今どの機能がアクティブになっているか”がディスプレイに表示できると便利かもしれません」(きゅうり氏)
また、Photoshop CS4のユーザーにとって朗報なのが、CS4で新たに搭載された「カンバスの回転」機能をトラックパッドで直感的に操作できることだ。「カンバスの回転」は、元の画像データを保持したままカンバスの向きを変え、描きやすい角度で作業ができる機能だが、ホイール式のトラックパッドを使うことで、まさに“回す”操作感が実現する。同機能を多用する人には、作業効率を上げる強力なインタフェースになるだろう。残念ながらPainterなどに搭載されている同様の機能には対応していないとのことだが、今後の連携に期待したい。
結局のところ、Intuos4どうだった?
さて、試用を終えたきゅうり氏にIntuos4の全体的な印象を聞いてみた。
「操作性やカスタマイズ性の高さが一番印象的でした。ボタンを押すとポップアップが表示されるラジアルメニューも、カスタマイズの幅を大きく広げてくれます。作品を作るとき、“こっちのソフトではコレをやって、あっちのソフトではアレをやる”みたいに決まっている人は、上手にカスタマイズすれば作業効率をグッと高められると思います」(きゅうり氏)
さらに同氏が興味を示したのがカンバス回転機能とトラックパッドの連携だ。ワコムはIntuos4の訴求ポイントの1つに“主要なグラフィックスソフトとの連携の強化”を挙げるが、今回、トラックパッドにタッチホイールが採用されたのには、カンバス回転機能への対応が背景にあったようだ。「液晶ペンタブレットの購入を考えているユーザーでも、『カンバスが簡単に回せるなら通常のペンタブレットでいい』という人は多いと思います。ぜひ対応ソフトを増やしていってほしいです」(きゅうり氏)
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