第2回 エプソン「カラリオ」の売れ筋プリンタ3台を見極める:プリンタ09-10年モデル徹底検証(3/5 ページ)
個人向けインクジェット複合機2009年末モデルを比較・検証する特集の第2回は、エプソンの「マルチフォトカラリオ」から「EP-902A」「EP-802A」「EP-702A」を取り上げる。
各モデルの省スペース性とインタフェース
EP-902A、EP-802Aともに先代のボディサイズを踏襲しており、高い設置性を備えている。単純に底面積だけを比べるならば、EP-802Aの466×385ミリが最も小さい。しかし、EP-902AとEP-802Aは、使用時に排紙トレイが手前に最大で200ミリ程度飛び出すため、全体の奥行きはかなり長くなる。一方、後部トレイはないため、背後に必要なスペースは未使用時と変わらない(電源などのケーブルが出っ張るが)。
新デザインのEP-702Aも底面積は450×386ミリと小さく、前面の排紙トレイを最大に引き出しても奥行きが160ミリ程度しか延びないが、給紙機構に後部トレイを採用している関係上、後部トレイを引き出すぶんのスペースとして、背後に60ミリ程度を余分に確保しておく必要がある。また、スムーズに給紙をするために周辺の空間にも配慮しなくてはならない。異なる種類やサイズの用紙を使用する場合、後部トレイの1系統給紙では用紙交換の頻度も上がるため、なおさら設置場所は限られてくる。
こうして考えると、やはり給紙、排紙の機構をフロントに集約したEP-902AとEP-802Aのデザインは優れている。さらに無線LAN機能を備えているので、電源さえ確保できれば設置場所を選ばないのもポイントだ。
なお、EP-902AとEP-802Aに自動両面印刷ユニット(EPADU1)を装着すると、奥行きが70ミリ程度増すので、増設を考えている人は設置場所に注意が必要だ。自動両面印刷ユニットは、A4や普通紙だけでなく、郵便ハガキや写真用紙<絹目調>、スーパーファイン専用ハガキもサポートしている。
インタフェースはEP-902AとEP-802Aが標準で有線/無線LAN機能を装備。Bluetoothはオプション扱いになるが、PictBridge対応USBポート、赤外線ポート、マルチカードリーダーを備えており、接続性は満足できる。メモリカードリーダーは、アダプタなしでコンパクトフラッシュ/マイクロドライブ、メモリースティックPRO、SDメモリーカードスロット(SDHC対応)、xDピクチャーカードを装着可能だ。
本体サイズと重量 | |||
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製品名 | EP-902A | EP-802A | EP-702A |
未使用時の本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 466×385×198ミリ | 446×385×150ミリ | 450×386×195ミリ |
使用時の本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 466×585×198ミリ | 466×585×150ミリ | 450×606×275ミリ |
重量 | 約10.5キロ | 約9キロ | 約8.4キロ |
インタフェース | |||
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製品名 | EP-902A | EP-802A | EP-702A |
USB 2.0 | ○ | ○ | ○ |
有線LAN | 100BASE-TX | 100BASE-TX | △(オプション) |
無線LAN | IEEE802.11b/g | IEEE802.11b/g | △(オプション) |
Bluetooth | △(オプション) | △(オプション) | △(オプション) |
PictBridge | ○ | ○ | ○ |
赤外線 | ○ | ○ | ○ |
メモリカードリーダー | CF、SD、MS、xD | CF、SD、MS、xD | CF、SD、MS、xD |
PCレス/ダイレクトプリント機能の使い勝手
操作パネルのインタフェースは3モデルで異なっている。最も操作感が優れているのは、やはり7.8型タッチパネル(液晶モニタは3.5型)を採用しているEP-902Aだ。通常ならば、項目選択の操作と決定の操作で、最低2回のアクションが必要になるところ、タッチパネルならば1回のアクションで済むことが多い。
このため、階層をどんどん潜っていくようなメニュー設計でも、さして煩雑さは感じない。3.5型と大きな液晶モニタに対してアイコンのサイズが大きいが、これは誤操作を防ぐためだろう。そして、タッチパネルの利点を生かし、次の操作に用いるボタンアイコンだけが点灯するライトナビゲーションを採用することで、使い勝手をさらに高めているのが好印象だ。強いていえば、アイコンの大きさゆえに1画面内の表示項目が少なくなっているのが気になるが、この辺りは視認性とのトレードオフなので、やむを得ないところだろう。
EP-802Aは2.5型液晶モニタとプッシュ式ボタンを組み合わせたスタンダードな構成だ。従来機のEP-801Aからメニュー構造を改善し、トップメニューに8つのアイコンを同時表示することで、各機能にアクセスしやすくしているのが目を引く。起動時間は速いのだが、メニューは操作するたびに特殊効果が付きまとうため、全体に動きが少しもっさりしていると感じることもある。データの処理自体はEP-902Aと同じく高速なので、この点が実にもったいない。
EP-702Aは2.5型液晶モニタと多数のプッシュ式ボタンなど、EP-802Aと似た操作パネルを採用している。もっとも、本体の横幅いっぱいに操作パネルのスペースを確保しているため、EP-802Aよりもレイアウトに余裕が感じられる。ボタン間に適度な余白があるため、マルチフォトカラリオおなじみの「左から右に流れるようにボタンを押していく操作」が把握しやすい。起動に時間がかかるのと印刷中にほかの操作ができないのは難点だが、操作に対するメニューのレスポンスはよく、これまでカラリオを使ってきたユーザーにとっては扱いやすい仕上がりといえる。
操作パネル | |||
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製品名 | EP-902A | EP-802A | EP-702A |
ボタン数 | 2個+タッチパネル | 16個 | 17個 |
液晶モニタ | 3.5型(タッチパネル7.8型、チルト対応) | 2.5型(チルト可) | 2.5型(チルト可) |
電源投入から操作可能までの時間 | 6秒8 | 7秒1 | 35秒1 |
メモリカード装着時の自動表示 | - | - | - |
印刷中にほかの操作ができるか | ○ | ○ | - |
次のページでは、そのほかの付加機能や画質にフォーカスする。
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