NECの正統派Netbook──新Atom搭載「LaVie Light」の実力チェック:“外付けHDD”にもなる機能付き(3/3 ページ)
多彩なボディカラーが特徴の正統派Netbook「LaVie Light」は、プラットフォームの一新で何が変わるか。新Atomの性能やバッテリー動作時間をチェックした。
パフォーマンスは、前モデルより“やや良”程度
ベンチマークテスト | LaVie Light BL330/WA6 | MSI U135(参考) | LaVie Light BL310/TA6(参考) | |
---|---|---|---|---|
PCMark05 1.2.0 | PCMark | 1405 | 1418 | 1536 |
CPU | 1511 | 1510 | 1518 | |
Memory | 2537 | 2564 | 2461 | |
Graphics | 439 | 438 | 614 | |
HDD | 4207 | 4359 | 4628 | |
3DMark06(1024×768) | 3DMark | 153 | 154 | 91 |
SM2.0 | 71 | 71 | 41 | |
SM3.0 | ─ | ─ | ─ | |
CPU | 495 | 497 | 501 | |
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 | LOW | 1146 | 1174 | 1433 |
HIGH | 839 | 854 | 1049 |
続いて、本機のパフォーマンスを検証する。
BL330/WA6Gの主な仕様は、新CPUのAtom N450(1.66GHz/2次キャッシュ512kバイト)とIntel NM10 Expressチップセットの組み合わせに、1GバイトのDDR2 SDRAM(PC2-5300対応)、250GバイトのHDD(2.5インチSerial ATA/5400rpm)を備え、グラフィックスはAtom N450が内蔵するIntel GMA 3150を用いる。プリインストールOSは32ビット版のWindoows 7 Startarとなる。
ベンチマークテストは前モデルとも比較するため、いつもの「PCMark05」「3DMark06」「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」で実施した。なお、PCMark05とFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3については、アナログRGB端子を用いて1024×768ドットで外部ディスプレイに接続した状態でテストを行っている。
スペックがほぼ同一のMSI「U135」(レビュー:「新旧Netbookをテストして次世代Atomの可能性を考え」)と比べた値は、やはりどのテストもほぼ同じ結果となった。一方、2009年夏モデルとなるAtom N280+Windows XP搭載のHDDモデル「BL310/TA6」(レビュー:「SSD+HDD/HDD/SSD搭載の新型“LaVie Light”3モデルを徹底的にテストした」)との比較は、やや劣る値も存在する。BL310/TA6とは検証環境が異なることも影響するが、いずれにせよパフォーマンスの劇的な向上は期待しないほうがよさそうだ。
ではバッテリー動作時間はどうか。Atom N450プラットフォームはシステム全体のTDPがわずか7ワット(CPU単体は5.5ワット)で、Atom N280+Intel GS45 Expressチップセット環境の同11.8ワットより消費電力が抑えられる。BL330/WA6Gは3セルのリチウムイオンバッテリーを標準で備え、カタログ公称値の動作時間は最大約4.1時間だ。10.8ボルト/2700mAhの標準バッテリーのほか、オプションで容量が2倍の大容量バッテリーも用意する。大容量バッテリーは背面に20ミリ、裏面に5ミリほど出っ張るスタイルとなり、重量も標準バッテリー搭載時より約175グラム増加するが、動作時間は最大約8.4時間に延びる。
無線LANでインターネット接続して利用することを想定した省電力モード時の実動作時間は、約184分/3時間4分だった(BBench 1.01/海人氏作を用い、IEEE802.11gの無線LANを使用し、60秒間隔で10サイトのWeb巡回と10秒間隔でのキーストロークの設定で検証)。無線LAN通信を行ったためカタログ公称値より値は控えめだが、こちらは前モデルBL310/TA6の結果(168分)を若干だが上回った。また、想定ターゲットの利用シーンを考えると3時間あれば上々といえるだろう。勉強や資料作成など長時間何かに没頭する用途が多いなら、大容量バッテリーか、もう1つ標準バッテリーをオーダーしておく、あるいはACアダプタを携帯して電源の使える施設を利用すると安心だ。
2台目PC向けの便利機能「USB Duet」を搭載
LaVie Lightには「USB Duet」と呼ぶ独自機能が備わっている(LaVieシリーズでは、CULVノートPC「LaVie M」にも備わる)。本機を手軽に“外付けHDD代わり”にしてしまう機能で、ほかのPCにUSBで接続して使用する。LaVie Lightを2台目以降のPCとして導入し、家のPCでもそれぞれのデータを手軽に共有したいと思うユーザーに便利な機能だ。
本体の右側面にUSBホスト機能付きのMini USBポートがある。ほかのPCに一般的な外付けHDDと同じように本機をUSB接続すると、本機で設定した共有領域をリムーバブルディスクとしてマウントできる。共有領域は4G~128Gバイトと任意の容量で作成できる。それぞれのPCで同じデータを個別に更新してしまう不整合が起こらないよう、別のPCに接続すると本体の領域は自動でアンマウントされる仕組みとなっている。
このUSB Duet機能は、家庭内LANでファイル共有、あるいはオンラインストレージを活用する──などができるほど知識のあるユーザーにとっては無用かもしれないが、より手軽にデータを共有できるうれしいアイデアだ。願わくば今後、USBディスプレイアダプタのような機能を内蔵し、2台目PCのディスプレイをセカンドディスプレイとして使えるようにもしてくれるとありがたいと思う。
仕様を理解して導入するユーザー、そして新生活のプレゼントなどに
BL330/WA6はベンチマークテストの結果を見る限り、パフォーマンスは前モデルから劇的に高速になったわけではない。パフォーマンスの大幅向上を望んで新Atomを搭載するNetbookの登場を待っていたなら、これはいささか残念な結果かもしれない。
もっとも、最近は実売6万円台からCULVノートPCが購入できる。コストパフォーマンスを考慮するなら、こちらを選ぶほうが幸せになれると思われる。PCをすでに普通に活用し、パフォーマンスを気にするユーザーに対し、とんがったモデル以外の“いわゆる普通”のNetbookを導入するメリットはもうあまりない。
一方、新色の追加とともにデザイン性については、今までのLaVie Lightシリーズと同様に上質だ。製造コストを大いに重視するであろうNetbookなだけに、無骨で分厚いデザイン、万人受けする無難なカラーリングを採用するモデルも多々ある中、カジュアル志向のユーザーにはこういった配慮が必要である。USB Duet機能などの独自機能を応用し、特定用途に限って使うモバイルマシン──として導入するユーザーのほか、6万円前後で購入できることをふまえて、入学・就職の新生活プレゼントにするのもよさそうだ。
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