家庭用テレビで十分? それは食わず嫌いかも──「VALUESTAR W」のテレビ機能をねっちり検証:CMスキップ機能も搭載(3/3 ページ)
地デジPCはどうか。確かに単体価格は少し高額だが、AV機器を個別購入するシーンを考えると“ほぼ全部入り”の点は少し考えると意外にアリだ。今回は“ややプレミアム”な仕様の新型「VALUESTAR W」を検証する。
Sandy Bridge世代のシステムを搭載 PCとしてのパフォーマンスも上々
PCとしての性能もなかなか高めだ。
基本システムは、クアッドコア/Hyper-Threading Technology対応で最大8スレッドの同時処理を可能とするCore i7-2630QM(2GHz/最大2.9GHz)+ノートPC向けのIntel HM65 Expressの組み合わせで、4Gバイトのメインメモリ(PC3-10600対応DDR3 SDRAM 2Gバイト×2)、2TバイトのHDD(5400rpm)を搭載する。グラフィックスはCPU統合のIntel HD Graphics 3000を使用する(ちなみに上位の3D立体視対応モデル「VW970/ES」は、8Gバイトメモリ+外部GPUのGeForce GT 425Mを実装する、よりハイパフォーマンス志向のモデルとなっている)。
OSは64ビット版のWindows 7 Home Premium(SP1)で、最新のInternet Explorer 9も最初からインストール済み。1920×1080ドット表示の23型ワイド液晶ディスプレイに加え、Word 2010/Excel 2010/Outlook 2010/PowerPoint 2010/OneNote 2010を包括したOffice Home and Business 2010をプリインストールする。
2010年1月発売のVALUESTAR N(VN770/WG Core i5-450M)と各種ベンチマークテストの値を比べると、カテゴリとしてそれほど進化がないHDD以外で1.5倍から2倍ほどのスコアを記録した。
一方、最新の3Dゲームをグリグリ動かすには力が足りないが、FINAL FANTASY XIのようなやや古い、3D描画負荷の低いゲームやWebベースのカジュアルゲームであれば大丈夫だ。ゲーム用途より、クアッドコア/8スレッドの同時処理が行えるCore i7のCPUパワーを活用したハイビジョン映像の編集やエンコード、高画素/RAW写真データの取り扱いといったハイクラスなプライベート用途から、よくあるビジネスアプリケーションの利用まで、一般的なPC作業はこれまでのPCよりかなり快適に行えるようになるだろう。
ほぼ全部入りのテレビ機能、下位シリーズより“プレミアムさ”を望むユーザーに
2011年7月のアナログテレビ放送停波にともない、テレビ+レコーダー+音楽プレーヤー+PCなど、1台複数役の機能と、複数台目以降/プライベートルームの“地デジ化”を訴求する「地デジPC」がPC各メーカーより数多く登場している。一方、中には「汎用チューナーとともに、自分で組めばいい」「しょせんPCでは家庭用テレビやレコーダーの代わりにはならない」「PCとAV機器は買い換え年数のサイクルが違う」と心配する人もいる。
この点、いざ使ってみると……電源周りの制御やPC全体の省電力設計を含めて機能が1台にまとまっているのが「大変ラク」だ。自作PCパーツなどでもだいたい対応できるとは知っていつつも──である。また、買い換えサイクルの違いは確かにあるが、仮にそうなった場合も3波ダブル録画+番組配信機能とともにテレビ/AV系機能だけ使い続ける選択肢はある。Blu-ray Discメディアへの書き出しもきちんとサポートすることをふまえ、PC本体がダメになったから録画した番組も見られなくなる──ようなリスクはHDD搭載テレビやAV機器と大きくは変わらないと思われる。
もう1つは、HDD録画やBlu-ray録画機能も一緒にした家庭用テレビなどもいくつかあるが、長時間(AVC)録画機能やネットワーク配信、CMスキップ再生といった、さらに“その後”を楽しむための機能や便利な利用シーンも望むとなると、22~24型ワイドクラスの家庭用テレビではあまり選択肢がない。「プライベートルームにちょうどよいサイズで、多機能&高機能をひとまとめ」という部分がVALUESTAER W、というか昨今の地デジPCの購買ポイントの1つといえる。
NECの液晶一体型テレビPCには、テレビ系の機能はほぼ同じながら、サイズがひとまわり小さい20型ワイドの液晶一体型「VALUESTAR N」シリーズもある。手軽さや価格帯などの理由で販売数はVALUESTAR Nが上のようだが、VALUESTAR Wはそれに対してどこを重視するユーザーに向くか。例えば、PCとしてのパフォーマンスの高さ、大型ディスプレイ、高解像度(VALUESTAR Nは1600×900ドット)、家庭用ゲーム機の外部ディスプレイになる点(HDMI/D4入力端子を搭載)、ウーファー付きのスピーカーシステム(VALUESTAR NもYAMAHAサウンドシステムを備えるが、ウーファーは搭載しない)などの差別化ポイントに価値を見いだしてはいかがだろう。
より大画面で楽しむテレビ機能を主としつつ、サウンドも、PCとしてのパフォーマンスや使い勝手も、これまで使っていたPCより進化したもの望む層に。VALUESTAR Wは、PCとしてもテレビとしても、そこそこ長期に渡って使用できる1台になるだろう。
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