小さいけどデキるヤツ!?――3LED光源の小型DLPプロジェクター「NP-L50WJD」を試した:使い方はあなた次第(3/3 ページ)
一風変わったコンパクトなプロジェクターが、NECディスプレイソリューションズから登場した。LED光源とDLP方式で小型軽量ボディを実現し、ホビーからビジネスまで幅広く活用できる「NP-L50WJD」だ。
NP-L50WJDの画質をチェックする
さて、実際に投写した映像を目視でチェックしてみた。メーカーの仕様表では、画素数が103万9680画素(WXGA相当)となっているが、NP-L50WJDが採用するDMDパネルは、実は特殊なアスペクト比と画素形状のもので、スケーリング処理によってアスペクト比16:10のWXGA出力を実現している。
画素形状は正方形を45度回転させたような形で、推奨解像度の1280×800ドットを出力しても、ドットバイドット表示の関係にはならない。つまり、映像入力とパネルの解像度をぴったり合わせて、1ドット単位で映像の入出力を対応させた表示ができないのだ。
しかし、それにより画質が劣るわけではないので安心してほしい。照明を消した薄暗い部屋で1280×800ドットのPC映像を60型程度の画面サイズに投写したところ、かなり細かな文字まで問題なく読める精細さが得られていた。実際に投写画面によく近づいて画素形状を確認しなければ、リアルWXGAパネルで投写した映像と思うユーザーも少なくないだろう。500ルーメンという明るさから、遮光の具合や利用人数に制限は出てくるが、画質的にプレゼン用途で使うぶんにはまったく問題ないと感じた。
むしろ特殊な画素形状の効果か、画素間の格子が目立たず、少し離れたところから投写画面を見ると、自然な描画で、映像がみっちりと詰まった印象を受ける。さすがにフルHD対応プロジェクターのようなシャープさはないが、広色域でコントラスト感があり、Blu-ray DiscやDVD-Videoの映像観賞も、価格を考慮するとなかなかのものだ。カラーブレーキングノイズはまったく気にならなかった。
デジカメのAdobe RGBモードで撮影した写真を、NP-L50WJDのAdobe RGBモードでスライドショー表示するのも面白い。広色域で赤や緑の発色がすこぶるよく、暗部から明部まで階調の再現性もかなり整っている。
今回はデータプロジェクター用のビーズ系スクリーンに投写したが、きちんと遮光して、ホームシアター用スクリーンに投写すれば、映像コンテンツの出力品質でも多くの人を満足させられるだろう(もちろん、自身で高価なホームシアター環境を構築しているユーザーとなると、話は別だが)。
また、DLP方式は液晶方式に比べて、映像入力から出力までの遅延が発生しにくい構造なので、NP-L50WJDは大画面でゲームをプレイしたいというニーズにも応えられる。プレイステーション 3をHDMIで接続し、アクションゲームや格闘ゲームをざっとプレイしてみたが、今回試用した限り、遅延によるゲームへの支障はなかった。
なお、排気用のファンは正面から見て左側面にある。動作中は常にファンが回っているが、環境騒音が大きめのオフィスでは気になるほどではない。静かな部屋では風切り音が聞こえてくるが、高周波音など耳障りなノイズは発生しなかった。
排気の熱風はそれほど強くないので、排気口のすぐそばに座らなければ、排気が当たって不快になることはないだろう。ファンの制御は操作メニューから2種類(自動/高速)に設定できるが、通常は自動で構わない(数日間連続使用の場合や気圧の低い場所では「高速」が推奨設定)。
これまでにない絶妙なバランスの小型軽量LEDプロジェクター
NP-L50WJDは、LED光源の長寿命や省電力といった特徴を生かしながら、携帯性の高いボディに、LEDプロジェクターとしては明るい画面、そして広色域といった魅力も兼ね備えており、これまでにない小型軽量プロジェクターに仕上がっている。実売価格は8万円前後と手ごろで、多目的に使えるプロジェクターとしてコストパフォーマンスは良好だ。
どこへでも持ち運べて60~100型という大画面を低コストで手軽に実現でき、出力性能や機能のバランスも取れているNP-L50WJDは、設置場所を選ばず、写真、動画、ゲーム、ビジネスと、さまざまな用途で活躍できる可能性を秘めている。
モノとしての存在感があるボディデザインや、設置場所の自由度を高める三脚およびチルトフリーへの対応、携帯時の荷物を減らせるPCレスでのビュワー機能など、各部のこだわりも好印象だ。
普段はカジュアルなホームシアターやオフィスでの小回りがきくデータプロジェクターとして運用しつつ、旅行や出張、イベントの機会には積極的に持ち出して活用するなど、プロジェクターの使い方をアクティブに広げてくれそうな1台だ。
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