NECのマザーファクトリー「米沢事業場」、国内メーカーのPCが良品質である理由:それなら、NECは「米沢モデル」ですね(3/3 ページ)
「マジメで何が悪い」。徹底したIT管理の中に日本人的なアナログ管理がふと混在するNECのPC生産拠点「NEC米沢事業場」を例に、国内メーカーのPCがなぜ良品質なのかを再確認する。
また、作業スタッフからの意見・要望を取り入れた治具を独自開発するなど、より効率よく作業するようにするための体制も取られている。セルラインをよく見ると、家庭でもよく見かける矢崎化工のイレクター部材や電動ドリル、お掃除ローラーなどを応用してラインに組み込んだ「自作・工作モノ」も多くあり、ネジの閉め忘れをチェックする吸着機構搭載チェックマシン「Qちゃん」やキートップの相違検出シート「発見くん」なども彼らのアイデアで取り入れられた。
「IT技術フル活用すべきところ、例えば当社と販売店、海外サプライヤーをシームレスに結ぶグローバル標準のバーチャル垂直統合型受注・発注・生産管理ステム(VCMシステム)は徹底してIT化していますが、あえてアナログな部分も意外に多くあります。それは人のチェックも含めて、ユーザーのための製品の高品質さを保つためです。無理なく効率よく作業できれば、その分品質がグッと高められます。自動化ではなくにんべん付きの自働化と呼び、ただ倹約一筋ではない、省コストだけを追求するだけではない、(米沢事業場だけに)米沢藩の窮地を救った上杉鷹山が行った三大改革の教えを大切にしています」(同 若月統括マネージャ)
一部PCリテラシーの高い層はメーカー製PCはつまらなくなったと思っているかもしれないが、それはいたって“まじめ”だからだろう。PCにナショナリズムを感じたりはしないし、いわゆる日本的な考えに共感するものでもないかもしれないが、このようなPCも含めて取捨選択できる日本ユーザーは改めて恵まれている。NECのPC生産拠点を眺めると「国産PC事業は終わり」などとはおそらくこの段階ではみじんも思っていない。「マジメのなにが悪い」と。
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