キヤノン「PIXUS MG6230」は、“もう1つの本命”として浮上するか?:2011年末プリンタ徹底検証(4/5 ページ)
「PIXUS MG6230」はキヤノンが放つ家庭向けインクジェット複合機の大本命モデル。タイ洪水の影響を受けたが、生産拠点の切り替えによる復活を図る。もちろん、その実力は確かだ。
写真プリント/カラーコピー/スキャンの画質は?
次はプリンタの本分である画質を見ていきたい。家庭向けのインクジェット複合機で最も多く使われる写真印刷、スキャン、コピーの3種類の結果を下に掲載した。
写真印刷では、5枚の写真をL判に最高品位の設定で出力した。メディアはキヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]を使用している。色味に関してはドライバのデフォルト設定をそのまま利用し、一切の手は加えていない。これらは画質の特徴を把握するための参考で、色再現性は正確さを欠くため、評価は本文を確認してほしい。
・プリントサンプル1――カラー建造物(設定:最高品位)
解像力は問題なく、細かな部分まで再現できている。暗部の描写に関しては、ドライバによるガンマカーブの味付けが多少強いようで、つぶれている部分も見られる。
・プリントサンプル2――カラー風景(設定:最高品位)
このサンプルでは同系色の階調再現力を見ることができる。木々の描写は明部がきれいに描けているが、シャドー部ではつぶれが見て取れる。空のグラデーションも少々物足りず、平坦な絵になってしまった。難しいトーンのサンプルだが、カラーバランスは維持できており、ここまで出せれば一般用途で不満はないだろう。
・プリントサンプル3――モノクロ風景(設定:最高品位)
多少色がかぶってはいるものの、暗部、明部ともきれいに描写できている。グレーインクが奏功したのか、黒つぶれも白飛びもない。雲の硬軟混ざった調子もしっかりと再現できており、インクシステムの優位性が現れたサンプルだ。
・プリントサンプル4――カラー人物(設定:最高品位)
バックや敷物の白さに引きずられたのか、一様に少し薄く青みがかぶった。このため、人物の血色があまりよくない。ただし、敷物の描写はよく再現できており、かなりの部分まで飛ばずに踏ん張れている。これもグレーインクの効能だろうか。
・プリントサンプル5――カラー静物&グラデーション(設定:最高品位)
彩度がやや高いため、果物の柔らかな階調が少し損なわれている。その半面、ガラスや金属のような硬調のオブジェクトは印象がよい。トランプの絵柄や色鉛筆の文字、ワインラベルなど、細部の描写はしっかりと再現できており、全体としては見栄えがする。
カラーコピーの出力では、A4サイズの写真を普通紙にコピーした結果を掲載している。コピーモードは標準と高速の2種類を使用した。
・カラーコピーサンプル1――カラー静物&グラデーション(設定:デフォルト)
標準モードは高速モードに比べると細部の描写ができており、立体感が増している。ただし、高濃度域に対する大量の吐出を避けるのは高速モードと同様で、ワインボトルの底部やグラデーションパターンの左端は色が少し抜けている。
・カラーコピーサンプル2――カラー静物&グラデーション(設定:高速)
高速モードは、かなり色が欠落している。ワインボトルの底部などのようなシャドーでは過剰な水分による紙のたわみを避けるためか、オブジェクトのフォルムだけを描写して、内部にはインクをほとんど打ち込んでいない。感心したのは色鉛筆のケースの白抜き文字を黒字に自動変換していることで、正確な描写よりも内容の伝達を優先している。
印刷物のスキャンでは、反射原稿を600dpiで取り込んだデータを掲載した。TWAINドライバの補正機能はすべてオフにしている。
・スキャンサンプル――カラー静物&グラデーション(設定:600dpi)
シャドーが浮いているため、少々締まりに欠ける出力になってしまった。カラーバランスは悪くないので、ドライバでハイライトとシャドーをしっかり設定するか、自動補正をオンにすれば、しっかりと階調が整ったデータが得られる。
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