海外プリペイドSIM+無線LANルータ導入マニュアル──「アメリカ・ラスベガス」編:「いつもよりドタバタ」な海外定額データ通信(1/2 ページ)
カジノやエンターテインメントで有名なアメリカはラスベガス。国際展示場もあり、毎月のように大きな展示会も開催されている。2012年1月に行われた2012 International CES取材用に、現地でプリペイドのデータ通信環境を入手した。
ラスベガスでデータ通信環境を入手する方法
アメリカでのデータ通信環境事情は以前「アメリカ編」として紹介した。この時はニューヨークでVirgin Mobileの無線LANルータを購入したわけだが、今回はラスベガスに来てみた。
アメリカの基本的な通信事情は、前回の2011年1月時点とあまり変化はない(バックナンバーも参照してみてください)。ただ、Verizonが大々的にLTEをアピールし、AT&Tも同じくLTEを開始するなど、日本よりも新世代高速通信サービスという点では一歩リードしている印象を受けた。また、地域大手のCricketやMVNO事業者もプリペイドのモバイルデータ通信端末を販売するなど、各社は音声通話だけではなく、データ通信利用者の獲得を強化しているようだ。
アメリカの通信事業者 | プリペイドデータ端末 | 通信方式 | |
---|---|---|---|
Verizon | ○ | LTE、CDMA2000 | LTEはプリペイドなし |
AT&T | × | LTE、W-CDMA、GSM | W-CDMA 850Mおよび1900MHz |
Sprint Nextel | × | CDMA2000、WiMAX | iDEN方式も提供 |
T-Mobile | ○ | W-CDMA、GSM | W-CDMA AWS方式 |
MetroPCS | × | LTE、CDMA2000 | ─ |
Cricket Wireless | ○ | CDMA2000 | ─ |
Virgin Mobile | ○ | CDMA2000 | Sprint回線を利用 |
Clear | ○ | WiMAX | UQ WiMAXローミング可 |
ラスベガスのBestBuyへ行こう
ラスベガスは24時間眠らない街。……なのだがゴージャスなショッピングモールやカジノホテル内の商店に立ち寄っても、携帯電話は売っていない。コンビニエンスストアに行けばプリペイド携帯程度は売っているものの、音声通話専用端末ばかりでやはりデータ通信環境は入手しにくい。では、ラスベガスに来たらどこへ行けばいいか。
「BestBuy」だ。アメリカは全土各地に家電量販店のBestBuyがあり、ここラスベガスにも店舗がある。繁華街“Strip”地区から東へ車で5分程度、ショッピングモール「The Boulevard Mall」の南端にある店舗が行きやすい。タクシーがつかまらないようならば、East Framing Roadを走る路線バス「202系統」で付近まで行くこともできる。
店内の携帯電話コーナーにはプリペイド携帯の専門ブースがあり、そこにデータ通信端末もいくつか販売されている。1年前に訪れた時から品揃えが若干変わっており、ポータブル無線LANルータなどは価格もやや安くなっていた感じだ。ノートPCコーナーにも、アメリカのWiMAX事業者「Clear」のUSBモデムやルータが展示されていた。
Clearはプリペイド契約もできるが、昨年2011年は“支払いはアメリカ発行のクレジットカードのみ”とのことでは購入を断念した経緯があった。ところが今年2012年は、付近にいたClearの販促スタッフが「海外渡航者でも購入できる」と言ってくれるではないか。イベントと相まって“混雑”傾向が顕著な3G回線より高速なWiMAX環境を購入できるとなれば、これは買うしかない。
WiMAX回線をプリペイド契約
ClearのWiMAX機器はルータタイプが99.99USドル(日本円換算:約7700円 2011年1月現在、以下同)、USBモデムが49.99USドル(約3850円)だった。2012年1月時点の為替レートは1USドル約77円のため、ルータタイプも1万円以下とそこそこ割安感がある。ただしラスベガスは8.1%の消費税がかかる。それを含めるとルータタイプは約8320円、USBモデムは約4160円といった感じだ。
一方、料金プランは複数あるらしいが、プリペイドとして契約できるのは「50ドル/月で定額」のもののみとのことだ。レジで支払いとなるのだが、Clearの販促員が一緒に手にしたのはBestBuyの「プリペイド・デビットカード」だ。アメリカでは、クレジットカードを持てない人のためにクレジットカードやデビットカードのかわりになるプリペイド型カードが販売されている。これを活用し、アメリカ発行のクレジットカードを持っていない海外渡航者でも購入できるというわけだ。
BestBuy デビットカードは5.95ドルだ。これに60ドル分の料金を入れ、65.95USドル分を(日本発行の)クレジットカードで支払った。ちなみに、本当は料金プラン用の50ドル分だけ入れればいいはずなのだが、販促員によると「残高がなくならないようにしてほしい」という。何というか保証・信用の意味合いか。このあたりはまぁ仕方ないと思うことにしておいてほしい。
そしてルータ代金の99ドルを(こちらは普通にクレジットカードで)払えば、無事自分のものになる──のではなく、最後にユーザー登録も必要とのこと。
ユーザー登録はそのまま店内のPCを使い、Clearの販促員が行ってくれた。氏名と(滞在ホテルの)住所、そしてユーザー名とパスワード金プラン(50ドル/月定額)を指定し、先ほど購入したBestBuyのデビットカードの番号を入力する。デビットカードから50ドル分が自分のClearの口座に移動され、利用可能となるわけである。次月以降は、料金を払わなければ利用権が停止される。(旅行や出張といった1カ月以内の短期滞在であればこのまま停止でよいが)利用再開は、Clearのカスタマーケアへの連絡が必要になるとのことだ。
というわけで、少し面倒だったがWiMAX環境が入手できた。
Clear Spotは、ディスプレイ上にSSIDとパスワードが表示される仕様なのが珍しい。これはこれでなかなか便利だ。バッテリー連続動作時間は6時間である。初期作業として、(説明を受けてはいなかったが……)再度名前の入力などを行わなくてはならないようだ。ブラウザが起動すれば自動で初期登録画面が開くようになっている。
さて、気になるWiMAXの通信速度だが、下り上りともに平均して1M~2Mbpsが出ていた。エリアによってはより高速なシーンもあったが、これだけ出れば十分業務用活用できる。今回は2012 CESという各国からメディア/来場者が集まる大きな展示会の開催期間中だったが、おおむね速度の致命的な低下や「つながらない」といた不都合はほぼなかった。
屋内ではホテルの奥まった場所や展示会場内でつながらなかった場所がいくつかあり、対応エリアの面で3Gサービスより弱い部分はまだあるのだが、いずれにせよ高速なWiMAX回線をプリペイドで利用できるようになったのは大きなポイントだと思う。
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