広がり感良好の美音系サウンド、PCにもAVにも合う2Wayスピーカー──JBL「SAS100SP」:野村ケンジのぶらんにゅ~PCオーディオ Review(2/2 ページ)
音楽は“いい音”で聞きたい──。それならば、自作に続くオトナのPC遊び「PCオーディオ」に挑戦してはいかがだろう。今回はPCオーディオにも映像コンテンツにも合うパッシブスピーカーをチェックする。
ヨーロッパトーンの味付け、広がり感のある、響きの美しいサウンド
では、実際のサウンドを聴いてみよう。今回はCarot One「ERNESTOLO」(真空管アンプ)を使ったデスクトップ設置での音楽試聴ほか、AVアンプを接続して動画コンテンツも試してみた。
さぞやガッツリした、いわゆるJBL的なサウンドが聞けるのだろうと思ったが、意外と違う──広がり感のある、響きの美しいサウンドが聞こえだした。いまやスピーカーのキャラクターを国別や地域別に表現することはなくなってきたが、本機はは明らかにヨーロッパトーン。多くの人がイメージするJBLらしさ、いわゆるアメリカンなサウンドとは大きく異なる味付けだ。
そういえば、以前からJBLにはヨーロッパ開発のスピーカーがあり、本国開発のスタジオモニター系とはずいぶん趣の異なったサウンド感を持つものもあった。本機もまさにそんなタイプと思える。中域から低域にかけて芯のしっかりしたサウンドを持ちつつも、倍音成分が豊富な、響きのよさが心地よいという感覚である。
もう1つ、スイートスポットの広さがかなり役に立つ。デスクトップ的な使い方の場合、メーカーが想定した位置よりかなり近い位置に、若干スイートスポットから外れた場所へ配置するシーンも多いのだが、本機はディスプレイの両脇(その間に70センチほどの間隔をあけた場所)に置いても、音色、音場的な変化がほとんど感じられない。これはデスクトップオーディオ用として大変使いやすい。
続いて、AVアンプ経由で映像コンテンツを視聴してみよう。こちらはさらに相性のよさが高まった。人の声がよく通るので、セリフがとても聞きやすい。これは、解像度感が高く、キレのよい平面振動板の恩恵と覆われる。低域の絶対的なボリューム感が不足しがちな点はあるが、このクリアで見通しのよいサウンド感はそれを補ってあまりある魅力だ。サブウーファーを利用するAV系サラウンドシステムにピッタリの相性となる可能性が大いにあると思われる。
SAS100SPは、デスクトップでのPCオーディオ用のほか、小規模AV・サラウンドシステムと組み合わせたテレビ用まで、高品位に幅広い用途で活用できる優等生だ。iPodドックも付属したオーディオシステム「SAS101」を導入するのもいいが、好みのUSB DACや真空管アンプ/AVアンプ機器と組み合わせる、PCオーディオ用/AVシステムのステップアップとなるスピーカーを探していた人とっても、手ごろな価格帯とともにかなり満足できるものになるだろう。
音質評価 | SAS100SP |
---|---|
解像度感 | (粗い---○-きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー--○--ワイド) |
帯域バランス | (低域強調----○フラット) |
音色傾向 | (迫力重視---○-質感重視) |
試聴曲
- Marcus Miller「Jean Pierre/FREE」
- 小曽根真「ドゥムカ(あるべきもなく)/Road to Chopin」
- 上原ひろみ「voice/voice」
- 新居昭乃「きれいな感情/sora no uta」
- santana「Whole Lotta Love/Guitar Heaven: The Greatest Guitar Classics of All Time」
試聴ビデオ
- Michael Jackson「THIS IS IT」(Blu-ray Disc)
- 「ミュージックスタイルJAPAN」(BSデジタル放送)
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