“Retina”に最も近いUltrabook――「ZENBOOK Prime UX21A」を徹底検証する(後編):液晶は極上だが、性能はどうだ?(2/3 ページ)
IPS方式の11.6型フルHD液晶が魅力的なUltrabook「ZENBOOK Prime UX21A」。画質面以外の実力はどれほどのものか、じっくりテストしてみた。
新旧の11.6型ZENBOOKで性能を比較する
ここからは各種ベンチマークテストの結果を追っていこう。比較用として、下位モデルにあたるノーマルのZENBOOK UX21A(UX21A-K3128)を用意した。また、先代機となる「ZENBOOK(UX21E-KX128)」の結果も併記したので参考にしてほしい。
3機種の主なスペックは下表にまとめた。新世代のZENBOOKでは、CPU、メモリのほかにも、無線LANが5GHz/2.4GHzのデュアルバンド対応(Intel Centrino Advanced-N6235)となったほか、USBポートが左右側面ともUSB 3.0対応したことや、Webカメラが高画素化している点、キーボードのバックライト内蔵など、13.3型のZENBOOK Prime UX31Aと同様に強化されている。
ノーマルの「ZENBOOK UX21A(UX21A-K3128)」との違いは、液晶ティスプレイとSSDのみだ。今回入手したZENBOOK新モデルに搭載されていたSSDは、ZENBOOK Prime UX21AがSanDiskのU100、ノーマルのZENBOOK UX21AがA-DATAのXM11で、それぞれ13.3型モデルと同じものが使われていた。
11.6型ZENBOOKの新旧比較 | |||
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製品名 | ZENBOOK Prime UX21A | ZENBOOK UX21A | ZENBOOK UX21E |
型番 | UX21A-K1256 | UX21A-K3128 | UX21E-KX128 |
カテゴリー | 新ZENBOOK Prime | 新ZENBOOK | 旧ZENBOOK |
CPU | Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz) | Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz) | Core i7-2677M(1.8GHz/最大2.9GHz) |
チップセット | Intel HM76 Express | Intel HM76 Express | Intel QS67 Express |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 3000 |
メモリ | 4Gバイト(PC3-12800) | 4Gバイト(PC3-12800) | 4GB(PC3-10600) |
液晶ディスプレイ | 11.6型ワイドIPS(LEDバックライト) | 11.6型ワイドTN(LEDバックライト) | 11.6型ワイドTN(LEDバックライト) |
液晶表示解像度 | 1920×1080ドット | 1366×768ドット | 1366×768ドット |
データストレージ | SSD 256GB(SanDisk U100) | SSD 128GB(A-DATA XM11) | SSD 128GB(A-DATA XM11) |
光学ドライブ | - | - | - |
通信機能(有線) | 100BASE-TX(USBアダプタ) | 100BASE-TX(USBアダプタ) | 100BASE-TX(USBアダプタ) |
通信機能(無線) | IEEE802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0 | IEEE802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0 | IEEE802.11 b/g/n、Bluetooth 4.0 |
メモリーカードスロット | - | - | - |
USBポート | USB 3.0×2 | USB 3.0×2 | USB 3.0×1、USB 2.0×1 |
Webカメラ | 92万画素 | 92万画素 | 30万画素 |
ディスプレイ出力 | Mini-VGA、Micro HDMI | Mini-VGA、Micro HDMI | Mini-VGA、Micro HDMI |
その他インタフェース | ヘッドフォン/マイク共用 | ヘッドフォン/マイク共用 | ヘッドフォン/マイク共用 |
キーボード | バックライト搭載 | バックライト搭載 | バックライト非搭載 |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 299×196.8×3~17.5ミリ | 299×196.8×3~17.5ミリ | 299×196.8×3~17ミリ |
重量 | 約1.1キロ | 約1.1キロ | 約1.1キロ |
バッテリー駆動時間(充電時間) | 約5.1時間(約2.8時間) | 約5.2時間(約2.8時間) | 約5.5時間 |
OS | 64ビット版Windows 7 HomePremium(SP1) | 64ビット版Windows 7 HomePremium(SP1) | 64ビット版Windows 7 HomePremium(SP1) |
第2世代Ultrabookとして十分な性能だが、SSDや3D描画では変わった傾向も
パフォーマンステストの結果は、PCMark 7とPCMark Vantage x64において、下位モデルにあたるZENBOOK UX21Aのほうがスコアがよかった。これは搭載するSSDの違いによるものだろう。ZENBOOK Prime UX21Aの256GバイトSSD(SanDisk U100)より、ZENBOOK UX21Aの128GバイトSSD(A-DATA XM11)はトータルの性能で優れているのだ。
Windowsエクスペリエンスインデックスにおけるプライマリハードディスクのサブスコアや、PCMark 7のSystem Storage Score、PCMark VantageのHDD Score、いずれもXM11のほうが明らかに高いスコアが出ている。
とはいえ、OSの起動や復帰などのレスポンス面で大きな差が体感できるかというと、そうでもなく、どちらも軽快だ。参考までにWindows 7の起動時間を計測してみたところ、ZENBOOK Prime UX21A、ZENBOOK UX21Aともに26.2秒だった(電源ボタンを押してから、タスクバーに全表示設定でアイコンがそろうまで。3回テストした平均値)。
SSD自体の性能をより詳しく調べるため、CrystalDiskMark 3.0.1も実行した。ただし、ZENBOOK UX21Aが内蔵していたSSDのA-DATA XM11は、SandForceのコントローラ「SF-2281」を搭載しており、高速化や長寿命化のためにデータを圧縮して転送する仕組みを採用しているので、圧縮ができない、あるいは圧縮効果の少ないデータの転送は遅くなる。データ圧縮の有効度によって性能が変わることから、今回は標準設定のRandom(圧縮が効かないランダムデータ)のほか、0fillデータ(データにすべて0を利用)でもテストを行なった。
テスト結果については、ZENBOOK Prime UX21Aが搭載するSanDisk U100のシーケンシャルリード/ライトが速い一方、ランダムアクセス、特にランダムライトが遅いスコアとなった。これがZENBOOK UX21Aに対して、ベンチマークテストのスコアで見劣る原因になっている。
CrystalDiskMarkのRandom設定は圧縮が効かないため、ZENBOOK UX21が搭載するA-DATA XM-11では、シーケンシャルリード/ライトで大きくスコアが落ちてしまう。ユーザーが普通に使う際には0fillのような処理をすることはまずないものの、PCMarkなどのスコアからしても、まったく圧縮が効かないRandom設定のスコアもまた真の実力を反映しているわけではない。
すでに圧縮されている画像や動画(特に大きなサイズ)のコピーなどではRandom設定のテスト結果、日常的なOS、アプリケーション操作では0fill設定のテスト結果のイメージに近い性能が期待できるといえる。
なお、これと同様のSSDによる逆転現象は先代機にあたる13.3型のZENBOOK UX31A(UX31A-R5128)と11.6型のZENBOOK UX21E(UX21E-KX128)との関係、また13.3型のZENBOOK Prime UX31A(UX31A-R4256)とノーマルZENBOOK UX31A(UX31A-R5128)の関係でも見られたことだ。同じモデルのPCでもSSDの容量によって性能が違うことはよくあるため、ある程度は仕方がない。
ZENBOOK Prime、ノーマルのZENBOOKともに、基本スペックは13.3型モデルと共通なだけにだいたい似たようなスコアで、メモリのデュアルチャンネルアクセスにも対応しているだけあって、第2世代Ultrabookとしては十分な性能を持っている。
ただし、3D描画系テストは13.3型のZENBOOK Prime UX31Aに対してスコアが見劣る傾向だった。Intel HD Graphics 4000はGPUコアのクロックをTurbo Boost 2.0によって変動させることから、おそらくこれが関係していると思われる。
3D描画系テストを連続して実行していくと、後のほうになるほどスコアが低下する傾向にあったため、ここで掲載したスコアは、すべて28度の室温下でノートPCクーラー(ZALMAN ZM-NC2000、回転速度最大)を利用して改めて取得したものとなる。
PCMark系テストでは、ノートPC用クーラーなしでも特にスコアが低下しなかったので、日常的な操作ではさほど気にする必要はないだろうが、3Dゲームなどで高いパフォーマンスを期待するならば、しっかり冷却することが必要のようだ。
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