ソニーが放つ“もう1つの”最上位モバイルノート――「VAIO Sシリーズ15」徹底検証:大画面のフルHD/IPS液晶で薄くて軽い(2/5 ページ)
多数のモバイルノートPCを擁するソニー。そのハイエンドに位置するのは、13.1型の「VAIO Z」だが、この「VAIO Sシリーズ15」は“もう1つの”ハイエンドといえる実力を秘めた大画面・高解像度モデルだ。
わずかに薄く軽くなったフルフラットボディ
ボディの先端から後端まで、フルフラットなボディは健在だ。ただし、その設計は先代機から少し変更されている。
本体サイズは380(幅)×255.4(奥行き)×23.9(高さ)ミリと、先代機に比べて、奥行きは0.5ミリ、厚さは0.6ミリ削られており、わずかだが小さく、薄くなった。重量は約2キロだ。先代の店頭モデルは上位機(VPCSE29FJ/B)が約2.04キロ、下位機が約1.99キロ(VPCSE28FJ/S)で、先代の上位機に近い基本スペックを考えると、ごくわずかに軽量化されたといえる。
デザインは、先代機の意匠をほぼ踏襲しているが、若干雰囲気が異なる。先代機と比べて高級感という点では少々見劣る印象だ。天面にマグネシウム、パームレストにアルミニウムを採用している点は変わらないが、外装はあっさりとした梨地仕上げで、パームレスト/キーボードベゼルの塗装も簡素化されているのか、高級感、上質感という意味では先代機が勝る。VAIO Sシリーズ13から引き継ぐ質感の高さも大きな魅力だっただけに、この点は少々残念だ。
なお、光学ドライブは今回からスロットインタイプに変更されている。これは使い勝手を高めつつ、底面の剛性をアップさせるためだという。具体的な数値は公開されていないが、衝撃や振動、一点加圧などのモバイルノートPC向けの試験も従来同様にクリアしているという。実際に持ってみても剛性感があり、堅牢性の面で不安は感じない。
底面手前側のカバー内には49ワットアワー(11.1ボルト/4400mAh)のリチウムイオンバッテリーを搭載している。カバーはネジ2本を外して開ける必要があり、気軽にスペアと交換できるようにはなっていないが、最近はバッテリーの着脱ができない製品が増えている中で、いざというときにバッテリーを交換できる点は、長く使うことを前提としたうえでは心強い。
公称のバッテリー駆動時間は約6時間だ。本体の底部に装着して利用するシート状の拡張バッテリーも用意されており、装着時は駆動時間が約12時間まで延びる。バッテリーの容量は先代と同じだが、公称駆動時間は標準状態と拡張バッテリー装着時、いずれも0.5時間短くなった。
付属のACアダプタは、実測でのサイズが49(幅)×122(奥行き)×30(高さ)ミリ、重量が374グラムと、モバイルノートPCにしては大きめだが、外出先で長時間使いたい場合に持ち運びに困るサイズではない。
なお、ソニーストアで購入できるVAIOオーナーメードモデルでは、細長いスティック型のACアダプタが用意されている。こちらは実測での本体サイズが37(幅)×204(奥行き)×31(高さ)ミリ、ケーブルをまとめるパーツと電源ケーブル込みでの重量が390グラムだった。
総重量は標準のACアダプタより少し重くなるが、細長い形状はバッグの中や机上で収まりがよく、充電用のUSB端子が2ポート付いており、スマートフォンなどを充電できる点も魅力だ。専用のキャリングケースも付属している(ケース込みでの総重量は実測で488グラム)。出張などで持ち運ぶ機会が多いならば、こちらが便利だろう。
第3世代クアッドコアCPU&ハイブリッドグラフィックスによる高性能
基本システムは、モバイル向けのIvy Bridgeこと、第3世代Coreプロセッサー・ファミリーを中心とするChief Riverプラットフォームを採用している。
CPUはクアッドコアのCore i7-3612QM(2.10GHz/最大3.1GHz/6Mバイト3次キャッシュ)だ。Hyper-Threadingにより8スレッドの同時処理が可能で、動画の編集やエンコードなどの用途でも高いパフォーマンスを発揮する。
グラフィックス機能は、外部GPUとCPUに統合されたグラフィックスコア(Intel HD Graphics 4000)とのハイブリッド構成を採用し、キーボード奥のスイッチで「SPEED」モードと「STAMINA」モードを切り替えることで、使用するGPUが変わる仕組みだ。
今回からSPEEDモードで利用される外部GPUは、従来のAMD Radeon HD 6470M(グラフィックスメモリ512Mバイト)からNVIDIA GeForce GT 640M LE(同2Gバイト)に代わっているほか、省電力技術のNVIDIA Optimus Technologyも利用される。Optimusは、複数のGPUをアプリケーションごとにシームレスに使い分ける技術だ。例えば、3D描画処理は3D描画性能の高い外部GPUで、動画再生は再生支援機能を持ちつつ省電力な内蔵GPUで行える。
つまり、VAIO Sシリーズ15ではSPEEDモードではGeForce GT 640M LEとCPU内蔵のIntel HD Graphics 4000がOptimusによって使い分けられ、STAMINAモードにするとアプリケーションにかかわらずIntel HD Graphics 4000が利用される。
OptimusによるGPUの使い分けはNVIDIAのドライバによって自動的に判断され、どのアプリケーションでどちらのGPUが使われるかはNVIDIAコントロールパネルで確認できる。標準では3Dゲームなど3D描画性能が必要なアプリケーションはGeForce GT 640M LEが使われ、Webブラウザや動画再生ソフトなどはIntel HD Graphics 4000が使われる仕様だ。自分でアプリケーションを指定して、使うGPUを選ぶことも可能だ。
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