「Richland」はリッチなパフォーマンスを見せてくれるのか:コスパ重視なら(3/3 ページ)
“Haswell”解禁でPC業界が慌ただしい中、AMDも第3世代デスクトップPC向けAPU「Richland」を投入。早速ベンチマークテストで性能を検証するぞ!!
続いてゲームタイトルのベンチマーク結果と消費電力を見ていこう。ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0の画質レベル3による動作検証は、比較的向上率が高く、120%前後のパフォーマンスアップが見られた。
スコアは720pで快適というレベル、それ以上でも標準的な動作が見込めるという範囲だが、A10-5800Kよりスムーズに描画されている印象を受け、高負荷なシーンでの落ち込みも減少していると体感できる。
バイオハザード6は、ファンタシースターオンライン2ほどではないが、109%程度の向上が見られた。フルHDでもC判定となり、まだ多少きびしいシーンも見られるものの、まずまず楽しめそうな印象ではある。
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク ワールド編はフレームレートとしては微妙なところだが、1600×900ドットまでは標準的な動作が見込めるという範囲。今回は高画質で計測しているが、標準画質に落とせばフルHDでのゲームも楽しめそうだ。向上率は110%強といったところ。より高解像度なほど向上率が高くなるという傾向が見て取れる。
今回は同じマザーボードを利用しているため比較しやすい。アイドル時~CINEBENCH R11.5のMulti/Single CPUでは、A10-5800Kに対し2ワットずつ高い結果となった。一方、3DMarkのFire StrikeのGT1/2実行中のGPU高負荷時では、A10-6800Kは5800Kよりも10ワット以上低い値となっている。
双方、何度か再計測を試みたが、何度試しても同様の値が出た。Richlandでは省電力機能が強化されているが、その効果と言えそうだ。
アップグレードは手軽、しかし性能を得るにはメモリも重要
今回の検証結果から、A10-6800Kは、5800Kから全般的に約1割のパフォーマンスアップを果たしていることが分かった。性能面に影響する変更点は主にクロックのみなので、順当な結果と言えるだろう。
消費電力に対する改良もポイントだが、これは同じTDP枠の中でクロックアップを果たしたという点以外では、数値としては表れにくい。デスクトップPCのように常にコンセントから給電されている状態よりも、ノートブックPCのようにバッテリー駆動している状態での計測のほうが適していただろう。
TrinityからRichlandという世代の移行は、デスクトップPCとして見ると、インパクトはそこまで大きくはない。ただし、アップグレードは、Socket FM2のままCPUを交換するだけと手間がかからない点はうれしい。そしてAPUの価格自体も非常にリーズナブルである点が魅力だ。
一方、不安要素を挙げるなら、果たしてA10-6800Kを購入するユーザーのうち、どれくらいの割り合いの人がDDR3-2133メモリにチャレンジするのか、ということかもしれない。今回はA10-6800Kの性能を引き出すためにDDR3-2133メモリを用意したが、APUユーザーはどちらかと言えばコスト意識が強いのではないだろうか。スタンダードなDDR3-1600メモリで組まれてしまうと、今回のベンチマークで紹介してきたようなグラフィックス性能は体感できないことになってしまう。APUのグラフィックス性能に期待している方は、とりあえずメモリだけはケチらずにOCメモリにチャレンジしてほしい。
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