「Windows 8.1 Preview」ファーストインプレッション──バックエンドでの細かい変更が目立つ:BUILD 2013(2/2 ページ)
Microsoftの開発者会議「BUILD 2013」でプレビュー版が公開された次期OS「Windows 8.1」。同所で評価用Surface Proならびに、Windows 8.1 64ビット版のインストールUSBメディアが配布された。さっそく最新OSのファーストインプレッションをお届けする。
日本語化と画面分割
BUILD 2013会場で配布されたSurface Proは英語版のWindows 8が導入されており、アップグレードに使用したUSBメモリ内のファイルも英語準拠のため、そのままでは日本語化できない。言語設定を変更し、別途言語パックの導入が必要になる。
また、一部情報によれば同日に8.1 Previewへのアップデートが提供されたWindows RTでは日本語用の言語パックが提供されていないため、システムの日本語化は現時点行えないという。ただ、今回検証するx86/x64プラットフォーム向けの通常Windows 8.1 Previewバイナリは特にそうした問題もなく、言語パックさえ入れれば困ることなく日本語化できた。日本語化の後の日本語表示状況は写真のようになる。
スタート画面でマウスカーソルを左上または左下に持っていくと(タッチ操作の場合は画面左端から指を中央方向へと持っていき、いったん左端に戻す動作)、過去に開いたアプリ一覧が表示される。ここに「スタートボタン」が表示されている点に注目(画像=右)
今回のアップデートにおいて、筆者が最も気になったのは「画面分割」機能だ。従来のWindows 8も、画面を「メイン」と「スナップビュー」の2つのペインに分割して表示することができたが、画面比率は常に固定であった。「メイン」+「メイン」の構成にすることはできず、あくまで補助的なマルチタスク動作に留まっていたわけだ。8.1ではこの縛りがなくなり、2つのModern UIアプリを半々/1:1の形で配置可能になった。
デモンストレーションでは2つ以上のアプリを複数ペインに分割して同時動作させていたものも見たのだが、残念ながら今回Surface ProでWindows 8.1に少し触れた段階ではその方法は分からなかった(こちらは追って検証したい)。
画面分割比率は半々だけでなく、かなり細かく調整できる。ただ、片側ペインのサイズ的限界があるようで、中央の分割バーを片側に寄せすぎると、その寄せられたアプリは自動的にバックエンドに回り込んで消えてしまう。このサイズのしきい値はアプリごとに異なっているようで、例えば地図アプリは全体の3分の1ほどのサイズになると消えてしまうのに対し、Internet Explorerはかなり細いサイズまで縮小が可能だった。そして、どちらがメインのペインとして動作しているかはサイズには依存せず、適時切り替えて操作対象を指定できる。現在どちらのペインにフォーカスが当てられているかは、中央の分割バーにある縦棒の位置で判別できる。
画面を分割した状態のままでいったんスタート画面へと戻り、画面分割とは直接関係ないアプリを呼び出すと、分割バーの真上にアプリのサムネイルが出現する。この状態でサムネイルを左右いずれかに移動させると、分割された画面の片方が新たに開いたアプリのものとなる(画像=中央、右)
実際に操作してみて分かったことがもう1つ。いわゆる従来までの「スナップビュー」がWindows 8.1ではなくなっている。ペインのサイズを縮小していくと、アプリはそれに合わせて画面表示を最適化していくのだが、明確に従来のようなスナップビューの形状になることがなかった。また前述したようにペイン最小化におけるサイズもアプリにまちまちだ。このあたりがWindows 8から8.1への変化で特に大きなポイントと言えるかもしれない。
特にWindowsストアアプリ開発者は画面分割されることを前提に、Windows 8でのModern UIアプリの最小サイズだった1024×768ドットといった解像度や画面比率の固定表示に頼った作りが難しくなり、ユーザーの画面サイズの変更を見越したUIの最適化を意識しなければいけなくなったといえる。
アプリを起動した状態で画面上端から下端まで指を動かすと「アプリを終了」できる。これは画面分割中でも可能なのだが、画像=左の状態から画面右ペインに対してこの操作を行うと、このようなブランク表示となる。おそらくPreview版ゆえのバグとみられる
Preview版を総括すると、いわゆるベータ版に相当する扱いのバージョンながら安定性も高く、既存のWindows 8ユーザーであればそのまま違和感なく扱えるレベルに仕上がっている。ただ、ユーザー側にとっては違和感がなくても、新たな画面分割機能に見られるようにバックエンドでの細かい変更点が多々見受けられる。アプリ開発者の負担はやや多くなっている可能性がある。
Microsoftはここ最近、小型志向のタブレットをプッシュする傾向があるが、これは大画面のPCから小型タブレット/スマートデバイスまで、1つのアプリで幅広くカバーすることを推奨していることを受けての事情・意向とみられる。いずれにせよ、Windows 8.1の趨勢(すうせい)はこれらアプリ開発者の労力と動向に依存することになると予測する。
関連キーワード
鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8」 | Windows 8.1 | Surface | アプリケーション開発 | Windows Store | Adobe Creative Cloud | ICONIA | Windowsストアアプリ | SkyDrive | Windows RT
関連記事
BUILD 2013:「Windows 8.1」詳細機能を公開──バルマー氏基調講演フォトリポート
Microsoftの開発者向け会議「BUILD 2013」が米国サンフランシスコで始まった。本稿では速報として、同日行われた同社CEOスティーブ・バルマー氏による基調講演の模様をフォトリポート形式で紹介していく。「Windows 8.1 Preview」のダウンロード提供開始
Microsoftは開発者会議「BUILD 2013」の開催に合わせて、Windows 8.1のプレリリース版「Windows 8.1 Preview」を公開した。Windowsストアから無料でインストールできる本田雅一のクロスオーバーデジタル:Windows 8.1はMicrosoftの課題にどう挑むか
Microsoftの開発者会議「BUILD 2013」が始まる。注目はいよいよパブリックプレビュー版が配布となるWindows 8.1だ。このOSアップデートは、Windows 8が抱えるいくつかの課題への回答となる。日本市場向け「Surface Pro」、海外版よりもオトク価格なのはなぜ?
マイクロソフトのWindowsタブレット「Surface Pro」が国内市場にも投入される。発表会では日本市場向けの仕様に加え、グローバルモデルと比べて実質2~3割安くなる価格設定に注目が集まった。「Surface RT」ロードテスト:第1回 内蔵型スタンド“Kickstand”はアリか?――「Surface RT」
「Surface RT」の国内発売に合わせて、日本向けモデルの特徴や気になるポイントを追っていく。第1回はボディ、特に背面に内蔵したスタンド「Kickstand」をチェックする。エイサー、片手サイズの8.1型Windows 8タブレット「Iconia W3-810」
日本エイサーは、8.1型ワイド液晶を内蔵したWindows 8搭載タブレットPC「Iconia W3-810」を発売する。“タッチ”に注力したラインアップ:「エイサーの本気を感じてほしい」――日本エイサー、世界最小のWindows 8タブレットなど7機種を国内発売
日本エイサーが2013年夏モデルPCを一気に発表。COMPUTEX TAIPEI 2013で話題になった8.1型Windows 8タブレットなど7機種を日本でも発売する。鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8」:スタートボタンが復活──「Windows 8.1」はどこが変わるのか
Windowsにスタートボタン(のようなもの)が復活するようだ。Microsoft公式ブログで2013年末にリリース予定とする「Windows 8.1」の新機能の一部が公開された。内容を要約する。Windows 8特集
10月26日、ついに「Windows 8」が発売される! 生まれ変わったUI、Windows ストア、そしてタッチ対応のPC新モデルまで、Windows 8の注目記事と最新情報をお届け!!「Windows 8.1(コードネーム:Windows Blue)」は無料アップデートと正式発表
Microsoftが、次期Windowsアップデートの正式名称は「Windows 8.1」で、年内にWindows Store経由で無料で行うと発表した。Windows 8だけでなく、Windows RTも対象になる。注目タブレットデバイス情報はここから:タブレット USER
iPad2、GALAXY Tab、XOOM、Optimus Pad、Eee Pad、ICONIA TAB……iOS/Android/Windowsなど、OS/サイズ別に話題のタブレットデバイス情報を集約!!
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.