インタビュー

メカニズムは? サポートは? ホントにThinkPadなの?──「ThinkPad Helix」の気になるところを聞いてきた(前編)「ThinkPad Helix」開発チームインタビュー(2/3 ページ)

普段はClassic ThinkPad、時にはタブレット。着脱・変形機構を採用した新世代のThinkPad「ThinkPad Helix」はどんな経緯で開発されたか。「本当にThinkPadシリーズなのか?」の疑問を解消すべく、レノボ・ジャパン「大和研究所」のThinkPad Helix開発チームに話を聞いた。

ボディにも、クリックパッドにも技術者のこだわりが込められている

ThinkPad Helixの着脱ヒンジは、タブレット本体を支え、開閉するヒンジ本来の役割とともに、冷却の機能も果たす。剛性確保のため、マグネシウムの一体成型でつくられている

ITmedia 変形メカニズムの要はヒンジのドッキングガイドにあると思います。グラグラする不安感はなく、とても強固に感じます。こちらはどのような方法でこの強度を実現したのでしょうか。

機構設計担当の野口弘幸氏(以下、野口氏) ThinkPad Helixは、ボディに軽量かつ高剛性のマグネシウム素材を多用しています。ヒンジ部も同様に、端々までマグネシウムの一体成型で製造しています。これまで培った剛性を高める技術とともに、より十分な強度を持たせることができました。

ThinkPad Helix着脱ヒンジの設計と工夫ポイント

ITmedia このように大きな部品で、しかも一体成型となると、この剛性感を確保するのは苦労されたのではないでしょうか。

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野口氏 はい。ただ、それをユーザーには意識せず安心して使ってもらえるよう細部まで使い勝手のよさを高めるための設計を行っています。

 このほかに苦労したのが、天面パネルの加工ですね。こちらはマグネシウム素材と樹脂樹脂を組み合わせたハイブリッド素材になっています。樹脂素材は無線通信のために必要な素材ですね。ThinkPad X1 Carbonでも同様の手法を用いていますが、今回はNFCアンテナ用として樹脂部分の面積をかなり大きくしなければなりませんでした。

天面は(無線通信のための)樹脂素材とマグネシウム素材を組み合わせて成形されている。塗装前のThinkPadロゴ下は、NFC通信のため黒い樹脂パーツとなっているが、塗装後の天面はつなぎ目がまったく目立たないのが見事。2つの素材は収縮率が異なるため、とても複雑で手間のかかる処理が必要になるという

伊藤氏 マグネシウムと樹脂は素材の収縮率も違います。塗装において熱をかける工程がありますが、そのままでは温度に応じて収縮差が出てでこぼこになってしまいます。これに矯正作業を行い、再度塗装し、また矯正し……と10回ほどの塗装工程を経てこのつや消しブラックの天面がつくられています。こうした工夫によって、表面からは継ぎ目がまったく分からないほどまで一体化させることに成功しました。

ITmedia さて、ThinkPadと言えば拷問テストが有名です。変形・着脱デバイスとして、その試験内容に何か変化はありましたか。

システム設計担当の中条秀和氏(以下、中条氏) まずノートPCスタイルでClassicと同様の試験を行います。続いてタブレットモードでも同様の試験を行います。ThinkPad Helixはタブレット+やスタンドモード(ディスプレイを逆差しし、キーボードドックをスタンドとして活用するスタイル)もありますので、さらにこのスタイルでも試験を実施します。つまり、合計3通りの試験を行っています。「3倍以上厳しいテスト」と言えるかもしれませんね。

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