「VAIO Pro 13」――さらにハイスペックを軽快に持ち運べる“14春モデル”徹底検証:最新PC速攻レビュー(4/4 ページ)
高い人気を誇る薄型軽量モバイルノート「VAIO Pro 13」が、より高性能なCPUを搭載可能になった。その実力を確かめるべく、直販ハイスペックモデルをじっくり検証する。
実力テスト(3):液晶の画質、スタミナ、動作音、発熱も隙がない
13.3型フルHD液晶ディスプレイの画素密度は約166ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)。Retinaディスプレイ級の高画素密度ではないが、ドット感がほとんど気にならない精細で美しい表示だ。視野角の広いIPSパネルを採用するが、省電力への配慮から集光バックライトを導入しているため、斜めの角度から見ると暗く見える点は好みが分かれるだろう。
液晶ディスプレイの計測結果は優秀といえる。色温度は約6300Kと、業界標準のsRGB(6500K)よりわずかに低い程度で自然な白色だ。最大輝度は350カンデラ/平方メートル強と明るい。ガンマ補正カーブは、RGBの各線がほぼ重なってきれいな直線を描いており、明部から暗部までクセのない自然な表示となっている。色域についてもWindowsやWebコンテンツで業界標準となっているsRGBにかなり近いので、写真や動画の閲覧や編集といった用途にも向く。
Webブラウズとテキスト入力を想定したBBench 1.01によるバッテリー駆動時間の計測は、電源プランを「バランス」(ディスプレイの輝度40%)に、CPUとファンの動作モードを「標準」に設定して実行した。この条件で満充電から残り5分で休止状態に入るまでのバッテリー駆動時間は8時間48分だ。最厚部17.2ミリ、約1060グラムという薄型軽量ボディを考慮すると、実に優秀なスタミナといえる。
動作音とボディの発熱については、電源プランとファンの動作モードを切り替えて試してみた。標準の「バランス+標準」設定での静音性は非常に高く、低負荷時はほぼ無音、高負荷状態でもうるさいという印象はない。
「バランス+パフォーマンス優先」では、低負荷状態では標準と変わらないが、高負荷をかけると動作音が次第に大きくなっていく。いったん動作音が大きくなると、負荷をかけるのをやめても放熱のため、しばらくは大きなファンの動作音が聞こえる。
「高パフォーマンス+パフォーマンス優先」はかなり負荷に敏感で、低負荷時でもファンが動作していることが分かる程度の音がした。ベンチマークテストを実行すると、最初からファンノイズが大きい印象だ。
ボディの発熱は底面の中央部が中心となる。テスト結果に大差はないが、ファンがよく回る「高パフォーマンス+パフォーマンス優先」が最も温度が低い傾向だった。どのモードでも手がよく触れるキーボードやパームレストに熱が伝わってくることはなく、放熱の処理も優れている。
ベンチマークテストの概要(2)
- 液晶ディスプレイ表示品質テスト
- i1Pro+i1Profilerでディスプレイの表示を実測し、ガンマ補正カーブを抜粋
- i1Proが生成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、色域をsRGB(薄いグレーで重ねた領域)と比較
※液晶ディスプレイは1時間以上オンにし、表示を安定させた状態で中央付近を測定
- バッテリー駆動時間テスト
- BBench 1.01
※電源プラン「バランス」+輝度40%固定+無線LAN接続+Bluetooth+NFCオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%で自動的に休止状態へ移行するまでの時間を計測
- 騒音テスト
- 騒音計で実測(本体から手前5センチ、暗騒音32デシベル、室温19度)
- 発熱テスト
- 放射温度計でボディ表面温度を実測(室温19度)
まとめ:あらゆる要素を高次元で兼ね備えるハイエンドUltrabook
以上、VAIO Pro 13の2014年春モデルをじっくりチェックした。すでに高い評価を得ている製品だけに、その強化版となる今回のモデルも完成度は申し分ない。
クラス最軽量ではないものの、バッテリー駆動時間も合わせてみれば、軽量志向のモバイルノートPCとして高い競争力がある。Core i7-4650UやPCI Express SSDのパフォーマンスも上々で、性能志向のユーザーにとっても大いに魅力的な製品だ。液晶ディスプレイやサウンドの品質、キーボードの打ちやすさなどのレベルも高く、購入したユーザーは総じて高い満足感が得られると思われる。
ソニーストアでの直販価格は、最小構成で12万8800円(税込)からだ。Core i7-4650U、タッチパネル搭載、メモリ8Gバイト、256GバイトSSDといった評価機の構成で見積もると、19万8700円(税込)となる。最近のモバイルノートPCとしては高価な部類に入るが、その内容を考えれば妥当だろう。
ソニーとして発売されるVAIOノートは2014年春モデルが最後になるが、Webならびに電話による技術サポート、修理対応は販売終了後も継続される(VOMモデルの標準保証は3年間)。「ソニーとしてのVAIO最終モデル」を手に入れたいと考えている方は、クラムシェル型VAIOノートの最新進化形であるVAIO Pro 13を検討してみてはいかがだろうか。
スペック詳細:VAIO Pro 13(SVP1322A1J)
VAIO Pro 13(SVP1322A1J)の主な仕様 | |
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製品名 | VAIO Pro 13(SVP1322A1J) |
メーカー | ソニー |
OS | 64ビット版Windows 8.1 |
本体サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約322×216×12.8~17.2ミリ |
重量(実測値) | 約1060グラム(1057グラム) |
画面サイズ(液晶方式) | 13.3型ワイド(IPS)、トリルミナスディスプレイ for mobile、X-Reality for mobile搭載 |
アスペクト比 | 16:9 |
タッチパネル | 静電容量式 |
デジタイザ | - |
ディスプレイ解像度 | 1920×1080ドット(約166ppi) |
CPU(コア数/スレッド数) | Core i7-4650U(2/4) |
動作周波数 | 1.7GHz/最大3.3GHz |
チップセット | CPU内蔵 |
vPro | 対応 |
GPU | CPU統合(HD Graphics 5000) |
メモリ | 8Gバイト(DDR3L 1600MHz/最大8Gバイト) |
メモリスロット(空きスロット数) | オンボード、デュアルチャンネル転送対応 |
ストレージ(評価機実装) | 256GバイトSSD(Samsung「MZHPU256HCGL-00000」) |
ストレージフォームファクタ | M.2 |
ストレージ接続インタフェース | PCI Express 2.0 x4 |
光学ドライブ | - |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac(DualBand Wireless AC-7260) |
Bluetooth | Bluetooth 4.0+HS |
NFC | 搭載 |
センサー | 照度 |
有線LAN | - |
ワイヤレスWAN | - |
キーボード | 日本語JIS 87キー |
キートップ仕様・形状 | アイソレーション |
キーピッチ | 約19ミリ(縦実測約18.5ミリ) |
キーストローク | 約1.35ミリ |
キーボードバックライト | 搭載 |
ポインティングデバイス | タッチパッド(左右ボタン統合) |
主なインタフェース | USB 3.0×2(1基は電源オフチャージ対応)、HDMI出力×1、ヘッドフォン/マイクコンボ(3.5ミリ)、DC入力(丸形)、Webカメラ(イン92万画素 "Exmor R for PC" CMOS) |
メモリカードスロット | SDメモリーカード(SDXC対応) |
SIMカードスロット | - |
その他カードスロット | - |
スピーカー(音質補正ソフトウェア) | ステレオ(ClearAudio+、xLOUD、CLEAR PHASE、S-FORCE Front Surround 3D、VPT、Voice Zoom、Sound Optimizer) |
マイク | 搭載(デュアル) |
指紋センサー | - |
セキュリティデバイス | - ※BTO選択可 |
セキュリティロックポート | - |
バッテリー動作時間 | 約10.5~約13時間(構成により異なる) |
バッテリー仕様 | 37ワットアワー |
ACアダプタ実測サイズ(幅×奥行き×高さ) ※プラグ含まず | 39×104×27ミリ |
ACアダプタ実測重量(本体のみ/ケーブル込み) | 171グラム/215グラム |
ACアダプタ出力仕様 | 19.5ボルト/2.0アンペア、5ボルト/1.0アンペア(USB) |
ACアダプタ対応電圧 | 100~240ボルト(50/60Hz) |
DC端子形状 | 丸形 |
プラグケーブル端子形状(ACアダプタ側) | 2ピンメガネ型 |
防水/防滴 | - |
カラーバリエーション | ブラック、シルバー |
オフィススイート | - ※BTO選択可 |
価格(税込) | 19万9780円 |
発売日 | 2014年3月8日 |
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