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ビットコインの仕組みとMt.Goxの事件――仮想通貨に未来はあるか信用できる? できない?(5/5 ページ)

一連のビットコイン事件は何が問題なのか。分かりやすくまとめてみた。

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信用できる? できない?

 結局のところ、ビットコインが信用できるのかどうかを簡潔に述べると、「流通システムとしては現時点では信用できる。ただし、貨幣価値は不安定であり、信用できない取引所もある」ということになるだろうか。

 ここでいう「流通システム」は、一般にはあまりにも当たり前すぎて「そこを議論していたの?」と驚くくらいのレベルかもしれない。それは例えば、「送金したお金が途中でなくなったりしない」とか、「パスワードを知らない他人が勝手に自分の財布からお金を抜き出したりしない」とか、そういったレベルだ。

 また、中央機関・公的機関が入っていない以上、そこでのプレイヤーはすべて「勝手にやっている人たち」だ。マイナーは手数料や新規発行のビットコインを目当てに承認作業を行っているし、取引所を立ち上げるにも金融庁等の認可は必要なく、トレーディングカードの取引所と実質的な違いはない。事実、Mt.Goxはビットコイン以前はカードゲーム「Magic the Gathering」のオンライントレーディングカード取引所だった。

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 このような貨幣をとりまく複数の要素(流通システム、貨幣価値、プレイヤー、法整備など)を混同して「あやしい」とされているのが現状ではないだろうか。

 大石氏は今回の取材で次のように語っている。

「“ビットコインは詐欺商品”という見方をする人もいるが、それはプロトコルとビジネスプレイヤーを混同しているためだ。ビットコインの仕組み自体はあやしいものではない。とはいえ、取引所などのプレイヤーにうさんくさい業者がいるのも事実。そこがもっと健全化されないとビットコイン自体のイメージは向上しないだろう。また、投機的な注目を浴びた件も同様で、投資プレイヤーが健全であることも非常に大事。流動性を保つために投資家は必要だ」(大石氏)。

 中央機関を持たないビットコインのプロトコルは、低額な手数料を実現する画期的なものであることは間違いない。しかし、それを信頼できるものとして利用するには力不足なプレイヤーが多すぎる、というのが現状のようだ。

 ビットコインに関する一連の事件はまだ収束を見ていないが、そこを正しく認識したうえで、過剰に反応することがないようにしたい。ビットコインのみならず、オープンソース発の仮想通貨の未来が、誤った知識による社会的な不安を反映させる形で法的に潰されたり、停滞することもありうるのだから。

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