「dynabook Satellite T954/98L」――世界初“4K”ノートPCの実力は?(ベンチマークテスト編):最新PC速攻レビュー(1/2 ページ)
他社に先駆けて“4K”ディスプレイ搭載ノートPCが東芝から登場。今回はさまざまなテストを行い、ハイパフォーマンスPCとしての実力を明らかにする。
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ココが「○」 |
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・4K対応IGZOディスプレイを搭載 |
・4コアCPUと外部GPUによる高性能 |
・打ちやすいキーボードを搭載 |
ココが「×」 |
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・ノートPCとしては価格が高め |
・画面表示の拡大設定が必要 |
・大型だがバッテリー交換不可 |
実力テスト:クアッドコアCPU+外部GPUならではの高性能
前回は東芝の15.6型“4K”ディスプレイ搭載ノートPC「dynabook T954」に備わった数々の特徴をチェックした。試用したのは、同社直販サイト「東芝ダイレクト」で取り扱うWebオリジナルモデル「dynabook Satellite T954/98L」だ。店頭モデルの仕様をベースに、Office 2013の有無を選択できる。
今回はパフォーマンスをはじめ、バッテリー駆動時間、騒音、発熱といった各種テストを行い、ハイスペックPCとしての実力を明らかにしていこう。
主なスペックをまとめると、CPUが4コア/8スレッド対応のCore i7-4700HQ(2.4GHz/最大3.4GHz)、グラフィックスがAMD Radeon R9 M265X(専用グラフィックスメモリ2Gバイト)とCPUに統合されたIntel HD Graphics 4600のハイブリッド構成、メモリが8Gバイト(PC3L-12800/デュアルチャンネル)、ストレージが1TバイトのハイブリッドHDD(SSHD)、OSが64ビット版Windows 8.1という内容だ。
ハイブリッドグラフィックスの設定はデフォルトだ。基本的には、ACアダプタ接続時にRadeon R9 M265X、バッテリー駆動時にはCPU内蔵のHD Graphics 4600が使われる。ただし、今回のテスト用ソフトウェアの設定を確認してみると、PCMark 7のみIntel HD Graphics 4600が使われる設定になっていた。このテストにはIntelの内蔵グラフィックスに最適化された処理が含まれるためだろう。同様のことはNVIDIA GPU搭載製品でも見られる。
CPU性能を計測するCINEBENCHのスコアには、クアッドコアCPUならではのパワフルな性能がよく現れている。CINEBENCH R15の635cbというCPUスコアはそれだけではピンと来ないだろうが、Core i7-4500U(1.8GHz/最大3.0GHz)を搭載した高性能なUltrabookでも220~230辺りが相場であることを考えれば、その優秀さがよく分かるというものだ。
評価機は1TバイトのSSHDとして東芝製「MQ01ABD100H」を採用していた。CrystalDiskMark 3.0.3によるストレージ性能テストの結果だが、SSHDの中にはHDDと変わらないようなスコアしか出ない製品もある中、SSHDとしてはかなり優秀なスコアが得られた。PCMark 7のSystem Storage scoreもやはりSSHDとしてはかなり高い値が出ており、総合的に高性能といえる。
PCMark 7はストレージ性能の影響が大きいテストのため、SSHD搭載機はSSDを採用するUltrabookに比べて不利なのだが、それでも総合スコアはUltrabookの最高性能レベルの製品より高い。CreativityやEntertainment、Computationといった項目で高いスコアを出しているように、クアッドコアCPU、および外部GPUのパワフルな処理能力が反映されたものと思われる。
3DMarkのスコアを見ると、Cloud Gateでだいたい一般的なUltrabookの3倍程度の値が出た。描画負荷の高いFireStrikeではさらに差が大きい。Cloud Gate、FireStrikeのスコアともに、比較したCore i7-4702MQ(2.2GHz/最大3.2GHz)+GeForce GT 750M(グラフィックスメモリ4Gバイト)搭載ノートPCを15%以上も上回るスコアとなった。
FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編のスコアは、一般的なUltrabookの4~5倍と高いスコアをマークしている。前述のCore i7-4702MQ+GeForce GT 750M搭載ノートPCと比べても負荷が高いほど有利な傾向で、1920×1080ピクセル(高品質ノートPC)の設定では22%の差を付けた。GPUのRadeon R9 M265XはOEM向けモデルのため、型番からは性能が類推しにくいが、ノートPCのGPUとしてはかなり高い描画性能を備えていることが分かる。
Webブラウズとテキスト入力を想定したバッテリー駆動時間テスト(BBench 1.01)も実施したところ、満充電から残り5%で休止状態に入るまで、3時間2分動作した。公称値(3.6時間/JEITA Ver.2.0)には及ばないが、据え置き前提の大画面ノートPCとしては十分だろう。万が一の停電などの場合にも緊急時の残務処理や情報収集に使える時間は確保されているといえる。
高性能だが静音性も悪くない。アイドル時や低負荷時は耳を近づけなければ分からない程度の動作音だ。冷却ファンは温度が上がるのを待って回転が上昇するタイプで、少々の高負荷でもそれほど大きな音はしない。ただし、3Dゲームなどで外部GPUに高い負荷をかけるとかなり大きな音がするのは、描画性能とのトレードオフで仕方がないところだ。
ボディの発熱については、排気口がある右側面を中心に熱くなるが、手がよく触れるパームレスト部分には不快なほどの熱は伝わってこない。しかし、右側面の近くに外付けのマウスを置いて使う場合、高負荷時には排気口からかなりの勢いで熱風が吹きだしてくるため、気になるかもしれない。
ベンチマークテストの概要
- パフォーマンステスト
- Windowsエクスペリエンスインデックス(PC総合評価)
- CINEBENCH R15(CPU性能評価)
- CINEBENCH R11.5(CPU性能評価)
- Crystal Disk Mark 3.0.2(ストレージ性能評価)
- PCMark 7 1.4.0(PC総合評価)
- 3DMark 1.2.362(3D性能評価)
- FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(3D性能評価)
※Windows 8.1の電源プランは「バランス」に設定
- バッテリー駆動時間テスト
- BBench 1.01
※電源プラン「バランス」+輝度40%固定+無線LAN接続+Bluetoothオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%で自動的に休止状態へ移行するまでの時間を計測
- 騒音テスト
- 騒音計で実測(本体から手前5センチ、暗騒音32デシベル、室温23度)
- 発熱テスト
- 放射温度計でボディ表面温度を実測(室温23度)
テスト結果を比較したノートPC | |||
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製品名 | dynabook Satellite T954/98L | HP ENVY 17-j100 Leap Motion SE | FMV LIFEBOOK SH90/M |
メーカー | 東芝 | 日本ヒューレット・パッカード | 富士通 |
CPU | Core i7-4700HQ(2.4GHz/最大3.4GHz) | Core i7-4702MQ(2.2GHz/最大3.2GHz) | Core i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz) |
グラフィックス | AMD Radeon R9 M265X(2Gバイト)+Intel HD Graphics 4600 | NVIDIA GeForce GT 750M(4Gバイト)+Intel HD Graphics 4600 | Intel HD Graphics 4400 |
メモリ | 8Gバイト(デュアルチャンネル) | 8Gバイト(デュアルチャンネル) | 8Gバイト(デュアルチャンネル) |
データストレージ | 1TバイトSSHD | 1TバイトHDD | 500GバイトSSHD |
液晶ディスプレイ | 15.6型(3840×2160ピクセル) | 17.3型(1920×1080ピクセル) | 13.3型(2560×1440ピクセル) |
OS | 64ビット版Windows 8.1 | 64ビット版Windows 8.1 Pro | 64ビット版Windows 8.1 |
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