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「Core i7-5960X」で8コア16スレッド対応“Haswell-E”の実力を試すクアッドチャネルのDDR4も気になる!(1/3 ページ)

Coreシリーズに8コアの時代がやってきた。DDR4にLGA2011-v3と新規格を取り入れた“Haswell-E”とIntel X99 Expressチップセットの性能を検証する。

最大8コアでLGA2011→LGA2011-v3、DDR3→DDR4と大きく変わる

 インテルは、“Haswell-E”こと「Core i7-5960X」「Core i7-5930K」「Core i7-5820K」、および、新たなチップセット「Intel X99 Express」をリリースした。“Ivy Bridge-E”から約1年、Haswell-Eの投入とともに、エンスージアスト向けのプラットフォームが更新したことになる。

 ここでは最上位モデルで8コアを実装するCore i7-5960XとIntel X99 Expressチップセットを組み合わせたシステムの実力を、“速報値”として紹介しよう。

Core i7-5960Xの表(写真=左)と裏(写真=右)。ヒートスプレッダの上下にベロがついて見た目も変わった。CPU裏のキャパシタは少なめだ

 今回の検証では、マザーボードがASUSTeKの「X99 DELUXE」を使うほか、DDR4メモリはADATAのDDR4-2133「AD4U2133W4G15-BHYM」、SSDがIntel SSD 730 240GB「SC2BP240G4R5」、そして、CPUクーラーユニットにタンク一体型水冷ユニットのIntel「BXTS13X」を組み合わせている。これに、グラフィックスカードとしてASUSTeK「GTX780TI-DC2OC-3GD5」(GeForce GTX 780 Ti搭載)を加えた。

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 Core i7-5960Xは、Haswell-Eとして今回登場したモデルでは最上位となる。8コアを内蔵して、Hyper-Threading Technologyにより、16スレッドを同時に実行できる。プロセスルールは22ナノメートルだ。CPUソケット形状は「LGA2011-v3」に対応する。LGA2011といっても従来のLGA2011とは互換性がない。そのため、CPU、マザーボード、そして、メモリも新規に用意する必要がある。

Core i7-5960X(写真=左)と従来のLGA2011対応CPU(写真=右)との比較。ヒートスプレッダの形状も変わったが、裏側のグリッドも大きく変更している
ソケット側の配列もLGA2011-v3の採用に合わせて、従来のLGA2011から変更している
CPU-Zで確認するCore i7-5960Xの仕様。評価用のサンプルのためかCPU倍率が正しく取得できていない。1次~2次キャッシュメモリの容量は従来と同様だ。命令セットへの対応も新しい点は特にないが、“Haswell”世代になったことでAVX2やFMA3に対応している

 Core i7-5960Xの動作クロックは、定格側が3GHzで、Turbo Boost 2.0(以下TB)にも対応しており、その最大クロックは3.5GHzとなっている。倍率変更のロックは解除しているが、“Devil's Canyon”の「Core i7-4790K」が定格で4GHz、“Ivy Bridge-E”「Core i7-4960X」がTurbo Boost有効時で最大4GHzに達した点と比べると、動作クロックでのインパクトは弱い。

 ただし、6コアを超えるCPUを先行してリリースしていたXeonの動向と同じく、8コア以上の製品はクロックを低めに設定している。今回登場した“Haswell-E”のラインアップでは、6コアモデルの「Core i7-5930K」がより高クロックなモデルとなる。こちらは定格3.5GHz、最大で3.7GHzだ。

動作クロックは、定格で3GHz、最大3.5GHzだ

 Core i7-5960Xの3次キャッシュは20Mバイトだ。各コアあたり2.5Mバイトというルールを継続しているようで、6コアのCore i7-5930Kも15Mバイトになる。“Haaswell-E”3製品のTDPは共通で140ワットだ。“Ivy Bridge-E”のCore i7-4960Xが130ワットなので、TDPは6コアモデルで比較してもTDPが増加したことになる。

 統合するメモリコントローラでは、DDR3からDDR4へとサポートする規格が変わる。DDR4メモリは、DDR3の倍の転送速度を目指している。メモリクロックに関しては、Core i7-5960XとIntel X99 Expressチップセットの組み合わせでDDR4-2133をサポートする。

 DDR4は、DDR3からバンク数を16バンクへと倍増した。メモリクロック的に見ればDDR3でも2133や3000といった製品が登場しているが、DDR4では内部的にも違いがあるため、メモリクロック以上に転送速度の向上が得られるという。ほかにも、メモリの駆動電圧がDDR3当初の1.5ボルトに対してDDR4では1.2ボルトに引き下げている。

評価用システムで使ったADATAの「AD4U2133W4G15-BHYM」。ADATAのDDR4メモリは店頭販売も開始している。DDR3メモリと比較すると、ピンの密度や切欠きの位置が異なるほか、DDR4メモリの端子部右側で、DDR3メモリの上部との間にすき間ができている。これもDDR4から取り入れた仕組みだ
プロセッサー・ナンバー Core i7-5960X Core i7-4790K Core i7-4960X
開発コード名 Haswell-E Haswell Refresh Ivy Bridge-E
コア数 8 4 6
スレッド数 16 8 12
定格クロック 3GHz 4GHz 3.6GHz
Turbo Boost最大クロック 3.5GHz 4.4GHz 4GHz
3次キャッシュメモリ 20Mバイト 8Mバイト 15Mバイト
プロセスルール 22ナノメートル 22ナノメートル 22ナノメートル
TDP 140ワット 88ワット 130ワット
メモリチャネル数 4 2 4
メモリタイプ DDR4 DDR3 DDR3

 CPUからのPCI Expressレーン数は、Core i7-5960XとCore i7-5930XがGen 3の40レーン、Core i7-5820XはGen 3の28レーンだ。Core i7-5820Xを選択する場合は、この点に注意したい。グラフィックスカード用のPCI Expressレーンは、Gen 3のx16×2本として利用可能だ。また、これを8レーンで分割する場合、従来の4本から5本へと増加している(40レーンモデルの場合)。Gen 3のx8 5本として使用する場合は、レーンを分割するための回路や外部のクロックジェネレータが必要となる。

 ほかにも、Thunderbolt 2に対応した。マザーボード側もインタフェースを用意しなければならないが、GPUを搭載しないHaswell-Eの場合、ディスクリートGPUからのDisplayPortを引き込み、Mini DisplayPortのThunderboltとして出力するものと考えられる。

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