“正方形”ディスプレイという新提案はアリなのか?――「FlexScan EV2730Q」徹底レビュー:4Kよりコッチが欲しいかも(3/4 ページ)
日本のディスプレイ専業メーカーとして、これまで数々の新提案を行い、業界トレンドにも影響を与えてきたEIZO。そんな同社が発売した「FlexScan EV2730Q」は、なんと“正方形”の液晶パネルを採用した超個性派のディスプレイだ。その使い勝手を試してみた。
測色器でFlexScan EV2730Qの表示品質をチェック
それでは、測色器を使用してFlexScan EV2730Qの表示品質を探ってみよう。エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1Pro」とソフトウェア「i1Profiler」で表示を実測し、ガンマカーブの精度と色域を検証していくというものだ。
今回は素の状態に1番近い思われるUser1モードと、色再現性に配慮されたsRGBモードの2つを測定している。User1モードでは一切の変更を行わず、sRGBモードでは輝度の目標値として80カンデラ/平方メートルに調整してからキャリブレーションを実行した。
まずはガンマカーブの結果だが、入力と出力が1:1の関係、グラフが右上がりの直線になるのが望ましい。User1モードはRGBともきれいにそろっているが、理想的なカーブからはほんの少しズレがある。sRGBモードは赤こそUser1モードと似た傾向だが、青と緑は明部に移行するに従って乖離(かいり)している。どちらも小さなズレであり、カラーマネジメント対応製品ではない汎用(はんよう)モデルとして許容できるレベルだ。
この測定で作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、色度図にプロットしてFlexScan EV2730Qの色域も確認した。
色の付いた部分がFlexScan EV2730Qの色域で、薄いグレーの部分がsRGB規格となる。当然ながら薄いグレーの部分が少ないほうが望ましい。結果を見ると、User1モード、sRGBモードともシアンから緑にかかるわずかな領域を除けば、sRGB規格をほぼカバーできている。緑から黄色、赤にかけてはsRGB規格より広色域で、色鮮やかな表示だ。
sRGBモードについては、同社のカラーマネジメントディスプレイであるColorEdgeほど厳密な色再現ができるわけではないが、ガンマ(2.2)と色温度(6500K)はしっかり合っており、上記の表示傾向を覚えておけば、画像編集用途にも使えるだろう。
目視の印象も述べておこう。前述の通り、IPSパネルのため視野角は広く、上下/左右ともコントラストの低下、色かぶりなどは見られなかった。全画面に単色を表示し、低めの輝度でじっくり見ていくと、まだら状の輝度ムラが散見されるが、これも注意して分かる程度のもので、通常の利用時に気になるような問題ではない。階調は破綻なく暗部から明部まで素直に再現できる。
ノングレア仕上げの液晶ディスプレイでは、低反射処理と画素の干渉などによる表面のギラつきも指摘されがちだが、FlexScan EV2730Qは少ないほうではある。これは感じ方に個人差があるので、気になる方は実機を確認していただきたい。
高価な単体のディスプレイ製品なので厳しめにチェックしたが、総じて汎用ディスプレイとして表示品質は高いレベルにある。
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