復活した“モンスターPC”の驚くべき性能とは?――新生「VAIO Z」徹底検証(前編):性能、スタミナ、騒音、発熱をじっくりテスト(6/6 ページ)
かつて秀逸なハイエンドモバイルPCとして人気を誇った「VAIO Z」が最新仕様で帰ってきた。VAIO新会社とともに生まれ変わった“Z”の実力を徹底的にチェックする。
不可能を可能にしたVAIO Zの心臓部「Z ENGINE」
このように、VAIO Zが高性能、薄型軽量、長時間バッテリーという相反する要素を高いレベルで兼ね備えているのは、独自の「Z ENGINE」によるところが大きい。Z ENGINEとは、VAIOがソニー時代から培ってきた「高密度実装技術」および「放熱設計技術」の結晶であるコア技術に名前を付けたものだ。具体的な内蔵パーツで言えば、メイン基板と放熱機構がそのエンジン部に相当する。
Z ENGINEの優位性を説明すると、まず小型だが高性能で高機能な高密度実装基板を設計することで、筐体内部に空間的な余裕が生まれるため、その余裕を大容量バッテリーや高音質スピーカー、洗練された薄型軽量なボディデザインといった部分に割り振る。さらに優れた放熱設計技術を融合させることにより、高性能ながら薄型軽量、そして長時間のバッテリーまでも実現しているのだ。
VAIO Zの高密度実装基板は、基板設計と基板製造の専門部隊により、部品間のギャップ、配線間長を極限まで詰めて、メインボードを1万34平方ミリメートルまで小型化して設計した。その基板面積はVAIO Fit 13Aのメインボード(ODM設計で1万5280平方ミリメートル)に比べて約2/3しかない。これに端子類のサブボードを含めたとしても、従来より大幅に小型化が進んでいる。
放熱機構については、厚さ15~16.8ミリのボディ(PC本体部は約10.6ミリ)で最大TDP 35ワットをサポートするVAIO Zのために、冷却ファンおよびヒートパイプを新たに設計した。
冷却ファンは、HDDに用いられる流体動圧軸受を備えた薄型、高効率、高信頼性のファンを日本電産と共同開発。2基の冷却ファンは、左右の羽根の枚数を異なる素数にすることで騒音レベルを抑えるアシンメトリーブレード仕様とした。その放熱能力は従来比で233%も高いという。また、フジクラとの共同開発により、独自の内部構造を用いた薄型で熱運搬能力の高いヒートパイプも備えている。
以上、新生VAIO Zの基本スペック、パフォーマンスとレスポンス、バッテリー駆動時間、動作時の騒音、発熱、そしてその心臓部となるZ ENGINEについてもチェックした。そのいずれも一切の妥協がなく、現時点での最高を追い求め、それを非常に高いレベルで実現できていることは、テスト結果からも明らかだ。
レビュー後編では、洗練されたボディや進化した変形機構へのこだわり、液晶ディスプレイやキーボード、タッチパッド、筆圧ペンの品質についてお届けする。
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