相変わらず薄い「HP ZBook 14 G2 Mobile Workstation」の“第五世代”性能を試す:薄さそのまま性能向上(3/3 ページ)
モバイルワークステーションは分厚い! というイメージを塗り替えたZBookシリーズ。そのコンパクトな14型ディスプレイ搭載シリーズに新モデルが登場した。
ワークステーション“定番”ベンチマークで性能をチェック
処理能力評価の前に、評価機は実際に販売する製品と仕様が異なっているため、改めて仕様を掲げておく。CPUはCore i7-5600U、システムメモリは16Gバイト、グラフィックスコアはFirePro M4150/Intel HD Graphics 5500、ストレージはM.2接続のHP Z Turbo Drive 256GB、OSが64ビット版 Windows 7 Professionalという組み合わせだ。システムメモリがあらかじめ増設した状態だ。また、今回はワークステーションの性能評価ということもあって、ゲームタイトルを使ったベンチマークテストの代わりに「SPECviewperf 12」を計測している。
CPU性能を測るCINEBENCH R15の結果は、CPUに関しては312(cb)、シングルコア時で131(cb)となっている。デュアルコアCPU・4スレッド動作のCPUとしては妥当な成績といえるだろう。
ストレージ性能はCrystalDiskMark 3.0.3bで計測した。こちらはデータサイズ1000MB時でシーケンシャルリード647.2MB/秒、シーケンシャルライトが589.8MB/秒という“驚異的”な結果となっている。内部PCI Express接続であるM.2規格に対応したSSDならではの性能といえる。Serial ATA接続のSSDの2倍の性能を有するという評価が正しいことを証明するスコアだ。
システムの総合性能を見るPC Mark 8の結果は、Homeが3743、Creativeが4004、Workが4760、Storageが4989と、こちらも非常に高い値を出している。PCMark 7でも計測したが、総合スコアで4970となった。特に、画像や動画周りの性能を示すCreativityや計算性能を測定するComputationなどの値が高い。
グラフィックス性能を見る3DMarkの結果は、Fire Strikeが1292、Sky Diverが4317、Cloud Gateが6722、Ice Stormが42003となった。FirePro M4150が3DCGやCADユーザー向けということもあり、ゲーム性能的にはそれほど高くない。この数値はZBook 14が搭載していたFirePro M4100(1Gバイト GDDR5)の数字をわずかに上乗せしたレベルだ。
「SPECviewperf 12」は、Mayaなどの主要な3DCG/CAD制作アプリケーションを使って性能を計測するベンチマークソフトだ。GPU側だけでなくCPUの性能も大きく影響する。ワークステーション向けのPCではメーカーの公式性能評価に用いることも多い。今回はSPECviewperf 12の公式サイトで掲載しているZBook 14(AMD Firepro M4100)のデータと比較した。結果を見る限りでは、ZBook 14 G2のスコアはすべての項目で上回っている。
70%SPECviewperf 12 | ZBook 14 G2 | ZBook 14(AMD Firepro M4100)参考 |
---|---|---|
Catia平均 | 17.91 | 16.42 |
Creo平均 | 16.57 | 13.15 |
Energy平均 | 0.06 | 0.06 |
Maya平均 | 8.91 | 5.18 |
Medical平均 | 3.64 | 1.09 |
Showcase平均 | 9.17 | 5.05 |
SNX平均 | 20.48 | 15.92 |
SW平均 | 29.22 | 23.59 |
高品質なノートPCとしても
ZBook 14 G2の価格は、HP Directplusで23万8000円(税別)とやや高価ではあるものの、ワークステーションとして十分な処理能力を有している。特にストレージ周りの速さも特筆すべきものがある。製品としての品質の高さもワークステーションユーザーとしては高く評価できるだろう。本体の強度やボディのデザインだけでなく、各種セキュリティ機能なども業務用途で安心できる。ストレージやシステムメモリの交換増設も簡単で性能強化がやりやすい。
また、確かに高額ではあるものの、ワークステーションが個人ユーザーでも購入できる価格帯になっている点に注目したい。最近では3Dプリンタの低価格化により、3DCGユーザーやCADユーザーが個人でも年々増えており、Opne GL性能を求める機会が増えてきている。そうしたアプリケーションを多用するユーザーには、導入を候補したい製品といえるだろう。
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