最新インタフェースが魅力のSurface対抗2in1タブレット「HP Elite x2 1012 G1」:USB Type-C、WiGig(4/4 ページ)
日本HPの“2in1”タブレット「Elite x2 1012 G1」は、キックスタンドを備え、マグネットで着脱するキーボードカバーを利用できる、いわゆるSurface対抗のモデルとなる。当初はビジネス向けモデルのみだったが、2016年2月より個人向けモデルも販売開始され、がぜん注目を集めている。
低消費電力でありながら、グラフィックスパフォーマンスは意外と高い
今回はCore m3搭載モデルの評価機をベースにパフォーマンスを計測する。まずはWindowsエクスペリエンスインデックスだ。プロセッサは7.1、メモリは5.9、ストレージは8.15といったスコアで、グラフィックスは5.8ではあるが、ゲームグラフィックスは9.9と高めだ。Core m3を採用しているので、Atomよりは一段高いスコアとなる。ストレージに関しても、Serial ATA接続が利用できる分Atom搭載タブレットよりも格段に高い。全体的に、一般的な業務ならストレスなく利用できるレベルだ。そしてCore m3のグラフィックス機能はIntel HD 515となるが、ゲームグラフィックスのスコアは高い。
続いてPCMark 8だ。PCMark 8のHomeスコアは2703となった。Core m3のCPUコアは2コア/4スレッド対応であるが、定格0.9GHz、ターボ時で2.2GHzと抑えられているため、ここが全体的なスコアを下げている印象だ。ただし、Atom搭載モデルと比べれば1000ポイントほど高い値であり、処理速度自体にモタつきは感じられない。一般的なビジネス用途で求めるパフォーマンスは十分に満たしているといえるだろう。
プロセッサのパフォーマンスはCINEBENCH R15で確認する。CINEBENCH R15のCPUスコアは215cb、CPU(シングルコア)のスコアは93cbだった。やはりクロックが抑えられている分、CPUスコアは低めの印象だ。一方でCPU(シングルコア)のスコアはターボ時のクロックが2.2GHzであるため、抑え気味ではあるがまずまずといえるだろう。ここが普段使いでキビキビと動作しつつ、消費電力や発熱は抑えられているという、Core m3(TDP 4.5W)のツボだろう。
続いてはストレージをCrystalDiskMark 5.1.2で計測した。こちらはシーケンシャルリードが532.6MB/秒、ライトが158.8MB/秒、4KQ32T1リードが235.9MB/秒、ライトが157.4MB/秒だった。SSDとして見ると特別速いわけではないが、4Kのように細かなアクセスでもパフォーマンスは出ている。ライトの性能が気になるところではあるが、150MB/秒を超えているので、実際の快適さは十分だ。
Windowsエクスペリエンスインデックスで高評価だったゲームグラフィックスに関しては、3DMarkで確認しておこう。Fire Strikeの結果は734ポイントで、これは決してゲーム性能を求めるパフォーマンスではないことが分かる。もっとも、DirectX 11ベースのテストであるため、統合GPUには荷が重いものではある。そこでもう少し軽負荷のテストも試してみよう。
実際のゲームタイトルとして試してみたのはドラゴンクエストX ベンチマークソフトと、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークの2つだ。まずはより軽量なDirectX 9ベースのドラゴンクエストX ベンチマーク。まず、最高品質の1920×1080ピクセルでは2907ポイントで「やや重い」という評価だった。「重い」や「動作困難」ではないので希望が持てる。そこで最高品質を維持したまま1280×720ピクセルに解像度を落としたところ、スコアは5116ポイントとなり、無事「快適」の評価が得られた。また、解像度は1,920×1,080ドットのまま、品質を標準品質に落としたところ、こちらは1,280×720ドット時よりは低いものの、3400ポイントで「普通」の評価になった。
続いてはファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルドベンチマークだ。こちらもDirectX 9とし、1280×720ピクセル、標準品質(ノートPC)とすれば3672ポイントで「快適」の評価が得られた。この際のフレームレートは平均30.771fps。あくまで平均fpsであり、シーンによってはさらにfpsが落ちるものの、このくらいあれば確かにプレイに支障はなさそうだ。こうした結果から、カジュアルな3Dゲームに関しては、DirectX 9を前提に画質設定も調整する必要があるものの、1280×720ピクセル前後の解像度でプレイ可能という印象だ。
最後はバッテリー駆動時間をBBench v1.01で計測した。電源設定はElite x2 1012 G1標準の省電力設定、その他はBluetoothおよび無線LANをオンとし、Web巡回とキーストロークを有効としている。結果は10時間17分で、およそ公称スペック通りの駆動時間だった。
オーディオにはBANG & OLUFSEN AUDIOを採用
最後に少しソフトウェアを紹介しよう。日本HPの製品はビジネス、個人向けを問わず、高品質なソフトウェア・オーディオDSPを搭載しているものが多い。Elite x2 1012 G1でも「BANG & OLUFSEN AUDIO」が搭載されており、ソフトウェアから設定が可能だ。スピーカーの音声は、ベンチマーク時に視聴してみたが、タブレットという点を考慮すれば十分にクリアな部類だ。これなら出張時のホテルなどで映画を視聴する際も、外付けスピーカーなしに活用できるだろう。
スペックは控えめながらも、完成度の高さはかなりのもの
以上のように、日本HPのSurfaceキラーモデルであるElite x2 1012 G1は、高い質感と剛性を持つボディに、ハイパフォーマンスWindowsタブレットの標準的なスペックを詰め込み、WiGigやUSB 3.1 Type-Cのような最新インタフェースを詰め込んだ意欲的な製品に仕上がっている。
同時に、リバーシブルで使えるUSB Type-Cや、安心して設置できるスタンド、剛性の高いキーボードなど使い勝手のよさという点はかなり考慮されているものと感じられた。
今回、エントリーのCore m3モデルを触ったために、パフォーマンススペックの点ではもう1段上を求めてしまうところもあるが、可搬性の点で考えるとこれでバランスはよいのかもしれない。バッテリー駆動時間も十分に長い。これまでのタブレットに満足していない方でも、Elite x2 1012 G1に魅力を感じるところもあるのではないだろうか。
関連記事
省スペースで使いやすいビジネス向け液晶一体型PC「HP ProOne 600 G2 All-in-One/CT」
日本HPの「HP ProOne 600 G2 All-in-One/CT」は、省スペースな液晶一体型PCだ。ノートPCにはない利点もレビューで見えてきた。「Surfaceを意識しました」――HP Elite x2 1012 G1がビジネスに最適な2in1である理由を聞いた
日本HPが発表した2in1タブレット「HP Elite x2 1012 G1」は、日本マイクロソフトの「Surface」シリーズと似ている点も多い。しかし、ビジネス向けとしてしっかり差別化を図っているという。来日した米HPのアネリーズ・オルソン氏に製品のコンセプトを聞いた。キックスタンドやキーボードカバー、2048段階の筆圧検知ワコム製ペン、LTEを備える“2in1”タブレット――「HP Elite x2 1012 G1」
日本HPがビジネス向けの12.1型タブレット「HP Elite x2 1012 G1」を発表した。日本HP、筆圧ペンも付属したビジネス向け12型タブレット「HP Elite x2 1012」
日本HPは、WUXGA+表示対応の12型液晶を内蔵するビジネス向けWindowsタブレットPC「HP Elite x2 1012」を発表した。日本HP、「HP Spectre 13 x360 Limited Edition」売れ行き好調で一時販売受付を停止
日本HPは、このほど販売を開始したノートPC「HP Spectre 13 x360 Limited Edition」の販売を一時停止した。AMDの新世代クアッドコアAPUとM.2規格のSSDを搭載しながら8万円切りを実現する「HP EliteBook 725 G3」
AMDの新APU「A8 Pro-8600B」を搭載することで、さらにパワーアップした日本HPのビジネスノート「HP EliteBook 725 G3」を紹介しよう。5万円切りの2in1モバイルPC――「HP Pavilion x2 10-n000」を試す
お手頃価格でありながら、10.1型で重さ約600グラムの2in1に新モデルが登場。鮮やかなレッドカラーに身を包む軽快マシンの実力は?わずか1キロなのにマグネシウムリチウム&カーボンで頑丈な「HP EliteBook Folio 1020 G1 Special Edition」徹底チェック(前編)
12.5型2560×1440ピクセル表示ディスプレイにCore Mを搭載したファンレス1キロのノートPCが登場した。その“Special Edition”な機能と品質に迫る。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.