なぜPlayStation VRは素晴らしいのか 「ワクワクの魔法」が消えない極上のVR体験:Hello!VR(2/3 ページ)
10月13日に発売されたPlayStation 4向けのVRシステム「PlayStation VR」。「VRおじさん」こと、VR・パノラマ系専門メディア「PANORA」の広田稔氏がPS VRの魅力を解説。
練りに練られたセットアップのガイド
さて、VRの特徴とPS VR発売に至るまでの背景を踏まえた上で冒頭の話に戻るが、ガジェットをいろいろ買って来た方々なら、購入前の期待が引き起こす「ワクワクの魔法」は、意外と簡単に解けてしまうこともご存じのはず。
人間、新しいものの導入は誰しも億劫だ。実際に触ってみたら意外とセットアップが面倒だったり、うたっていた性能ほど効果が感じられなかったり、最初はよかったけど意外と使い道がなかったりと、随所にあるハードルが超えられずに気持ちがなえていき、いつのまにか使わなくなってしまうことも多い。VRヘッドマウントディスプレイは大半の人にとってまさに未知の存在で、この時点でハードルが高い。
しかしPS VRが素晴らしいのは、そうした新しいものを少しでも手軽に扱えるように配慮している点。一番、「考えられてる」と感動したのは>PANORAの記事でも書いたが、セットアップにおけるケーブルの接続だ。
PS VRは、主にヘッドマウントディスプレイとプロセッサーユニットに分かれている。ヘッドマウントディスプレイとプロセッサーユニットは専用の2股ケーブル、プロセッサーユニットとPS4はHDMIとUSBでそれぞれ接続する形だ。ここにプロセッサーユニットとPS4には電源ケーブル、PS4にはPS CameraへのUSBとテレビへのHDMI、ヘッドマウントディスプレイの途中にあるリモコンにはヘッドフォン……とさらにケーブルが加わる。
ほかにもワイヤレスコントローラーの「DUALSHOCK4」や、両手に持つ「PlayStation Moveモーションコントーラー」も、初期設定時にUSBケーブルでPS4につなぐ必要があったりして、この文章を見るだけでも面倒くささが漂ってきているはずだ。
そこをPS VRでは、何重もの工夫で面倒さを軽減しようと試みている。まずRPGの宝箱にも似た内箱をパカっと開くと、いきなりA4サイズのクイックスタートガイドが現れる。電子機器にありがちな、何重にも折りたたまれたA3用紙に小さいフォントで手順を解説するのではなく、イラストを大きく使い1ページに1手順という迷いようがない説明の仕方でガイドしてくれる。
さらに主要なケーブルに1~4の番号を振って、名称ではなく数字でも分かるようにしている。似たサイズの端子が隣り合っている場合、「△○」「×□」というPlayStationのコントローラーでおなじみのマークをオスメス両方の端子に振ってあったり、端子内部を白黒で分けていたりと、視覚的に判断つきやすいようにしているのも親切だ。
その後のセットアップも基本的に画面の指示に従って進めていけば完了する。筆者的には、まったく取扱説明書を開くことなく、ネットの情報も検索することなく、アプリの購入まで1~1時間半ほどで完了することができた。「設定で疲れた~。じゃああとは明日で」という感じではなく、そのまま遊べる気力が十分に残っていた……のは発売日のモチベーションのせいかもしれないが。
当たり前の話だが、自由にマウスカーソルを動かせるPCとは異なり、コントローラーの十字キーを動かしたところにしかカーソルが行かないのも面倒くささを減らすことに貢献してくれると感じた。ウィンドウもマルチウィンドウでなかったり、ゲームが置かれた階層も浅かったりと、細かいところでサクサク操作していけるのはコンソールならではだろう。
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