iPad Pro 10.5とSurface Proを比較 人気プロ絵師によるお絵描きレビュー(5/5 ページ)
旬なデバイスのお絵描き性能をrefeia先生が確かめる。描き味の簡単なインプレッションをお願いしたらなぜかガチレビューに。
まとめ
さて、簡単にお絵描きまでできたので、まとめていきますね。
Surface Pro
好きな点
- 低ジッター、軽い筆圧への自然な反応、低遅延と、描く気になれる性能に進化した新Surfaceペン
- お絵描きに適した角度に調整できる内蔵スタンド
- 制作用と一般用の折衷案としてベストに近い3:2のアスペクト比
- パワフルなWindowsお絵描きソフトをフル機能で使える
- マグネット式充電端子や、USB Type-Aなどの便利なコンサバ仕様
- 液晶ペンタブレットとしても、普通のタブレットPCとしても、Windowsラップトップとしても使い勝手が良い
人によっては難点となり得る点
- やや重たく、性能では依然競合を追いかける立場の新Surfaceペン
- 滑りやすく、ガタつき感のあるペン先
- ペンの傾きに応じてホバーカーソルがズレる現象
- 最新PCながらUSB Type-C端子がない
10.5インチiPad Pro
好きな点
- 隙のないペン性能
- iOSデバイスとしては有り余る処理能力とメモリ
- 制作用や縦持ちで便利な4:3のアスペクト比
- 横持ち・縦持ちを自然に選びながら描ける
- 気軽に持ち運ぶ気にさせる、軽快な重量とサイズ
- 描くのが楽しい!
- 既にお絵描きPCを持っていても被り感なく持てる
- 絵師の間で大流行しているけどAndroidスマホで死ぬほど遅い某スマホゲーが超超快適に動くしブラウザとか見て帰ってきてもタスク生きてる(Androidスマホおじさん並の感想)
人によっては難点となり得る点
- 重たく、タッチが硬く、グリップが滑りやすく、転がりやすく、キャップを紛失しやすいApple Pencil
- 滑りやすく、手垢の影響を受けるペン先
- カメラの出っ張り
- 映像鑑賞やゲームなどで使える面積が狭い4:3のアスペクト比
- Mac OS Xが載っていない
……といったところでしょうか。
今までの筆圧ペンつきのWindowsタブレット機は、複数買いましたが、実際に使ってみると残念な結論になる場合が多かったです。
それが、Surface Proでついに、きちんと真面目にお絵描きできるものになったと思います。Microsoftが新SufraceペンやSurface Studioなどで、この分野に本気で取り組む気になっていることを示してくれたのも本当にうれしいです。
一方で、ペンの完成度という面ではワコムやAppleにはあと一歩か二歩……というのも実用してみた正直な感想で、将来あるかないかは知りませんが「真・Surfaceペン」に期待したいと感じています。
iPad Pro 10.5は先代の9.7インチの軽快さを犠牲にせずに、Apple Pencilの持ち前の高性能をより生かせる出来になっていますし、モバイルデバイスで絵を描きたい人には決定版と言える製品だと思います。実際に、先代の12.9インチを持っている身としても真剣に欲しくなります。
ただ、iPad Pro全体に言えることですが、本体とペンの性能が優れているのに、iOSや、そのシンプル志向が、できることの限界を下げてしまっているように思えます。シンプルの良い面というのも多分にありますし、楽しさもその重要な一面でしょう。ですが、こんな魅力的な性能を見せつけられてしまった以上、自分はフル機能を望むことをやめられません。まずはiOS 11から……アプリもOSも、シンプルとフル機能の選択肢が得られるときが来るといいですね。
さて、こうして並べて使ってみると、比較することに強い意味を感じないほど、両者個性的な強みをもっていました。その一方で、お絵描きという用途で両者が同様に、楽しくマッシブな作業に耐えうるパワーと繊細さ備えているのも確かです。かたや大きなパソコンから降りてきたタブレット、かたや小さなスマホから上ってきたタブレットがです。ついにここで出会ったんだ、処理能力やできることがついに交わり始めたんだと感じます。今年はスマホ用のARMプロセッサでx86のアプリまで動くフル機能のWindows 10のニュースもありましたし、モバイルとデスクトップの垣根が消える、まさに旬のタイミングなんでしょう。
そんなことを考えながら両者を試せて本当に楽しかったです。
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