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国内NAS市場で急成長中のSynologyが新製品を披露――ユーザーイベント「Synology 2018」レポート(2/2 ページ)

NASメーカーのSynologyは、国内3回目の実施となるユーザーイベント「Synology 2018」を開催した。これに先立って行われたプレス向けイベントの模様をレポートしよう。

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VPNリモートデスクトップ機能やディープラーニングベースの写真管理アプリが登場

 そのほかにも新機能やアプリ、取り組みなどが紹介されているのでいくつか紹介しよう。

 VPN PLUSは、同社のルータ製品「RT2600ac」で利用可能なVPN機能で、当初Webブラウザベースで簡単にアクセスできる「WEBVPN」、専用アプリを介してLANのように扱える「SYNOLOGY SSL VPN」、ほか業務用で支店間の連携に利用される「SITE-TO-SITE VPN」に対応していた。リモートデスクトップ機能は、4つ目のVPN機能で、Webブラウザを介して自宅のRT2600acに接続、同ネットワークに接続されたPCにログイン、操作できる。

ブラウザベースの画面からRT2600acを親機に構築された自宅ネットワークのPCにリモート接続できる

 「Moments」はNAS上で利用できる新しい写真管理アプリだ。ディープラーニング技術を用いており、NAS上にアップロードされた写真に対し、人物や場所、タイトルなどのタグを自動的に判断、付与する。こうした処理を、サーバと通信することで実現するのではなく、NAS上で行うというのもユニークだ。

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 タイトルのようなタグについては、現時点で300ほど用意されているとのこと。これら自動的なタグ付けではなく、自身で管理したい場合は、従来から提供されているアプリのPhoto Stationを使用できる。タグ自体はアップデートによって追加されるようだ。こうしたMomentsの機能によって、写真整理の手間を省き、過去の写真を素早く探し出せるようになる。

ディープラーニング技術をベースに写真の整理を手助けするMoments

 通常のファイル管理については、これまでも「File Station」や「Cloud Station」、「Office」といったアプリが提供されていた。ファイルの場所や種類によって使い分けてきたが、新たなファイル管理アプリの「Synology Drive」は、これらをまとめて管理できる。PCを用いたデモでのインタフェースはブラウザベースだ。自分の共有フォルダに加え、チームフォルダやメールの添付ファイルなど、各所に分散したファイルを集約し、デバイスに依存することなく管理から閲覧、編集まで可能になる。

Synology Driveを利用することで、ファイルの一括管理が可能になる

 バックアップ機能では「Active Backup for Business」が紹介された。これはより柔軟なバックアップを実現する機能とされ、例えば、物理サーバはもちろん仮想サーバなどもイメージファイルをそのままバックアップ、NAS上でそのまま起動することなどが実現する。

 サーバに障害が生じた際などでも、ビジネスをストップさせることなく続けることができるという。Active Backupでは、Active Backup for G-Suiteや同 for Office 365などもあり、こちらではクラウド上のデータも集約したバックアップが実現できる。例えば、クラウドサービスに障害が生じた場合でも、アクセス権を持つユーザーであればアクセス可能になるとのこと。なお、これらのバックアップ機能では、マルチユーザー環境などで重複が生じるファイルを自動で検出、ディスクサイズを節約する。

Active Backup for Businessでバックアップの一括管理や柔軟な運用が可能となる

 このほか、β版が提供されている新仮想環境「Virtual Machine Manager(VMM)」ではライブマイグレーションやスナップショット、データ保護がデモされた。ライブマイグレーションでは、インスタントマイグレーションを紹介し、VMのクローン作成を瞬時に行える点をアピール。スナップショットのデモでも稼働中のVMを瞬時にスナップショットをとり、その間、ストップしない点などを紹介した。

 スナップショットについては、ランサムウェア対策としても有効とのこと。VMMは、無償のスタンダード版と有償のビジネス版が用意される。仮想CPUの数やスナップショットの数、機能などが異なり、とくにインスタントマイグレーションなどについてはビジネス版のみの機能となる。

仮想化機能も強化が図られている
VMMの対応はメモリが4GB以上のモデルとされる

 ランサムウェアで話題となったセキュリティについての取り組みでも紹介があった。SynologyはMITREから認定を受け、ぜい弱性情報データベース「CVE」(Common Vulnerabilities and Exposures)の採番が可能な台湾で初のメーカーであるとのこと。

 こうした独自に採番ができるのは世界でも70社ほどだそうだ。また、2017年5月24日に明らかになったぜい弱性「SambaCry」への対応については、、CISCOが対応に54日を要し、IBMが6日を要したのに対し、Synologyは24時間で対応したという。

 同社は社内にProduct Secuity Incident Response Team(PSIRT)と呼ぶ製品セキュリティ即応チームを設け、そのセキュリティ問題対応フローとして、まず8時間以内にぜい弱性の審査を、その後の15時間以内にぜい弱性への対応を行い、合計24時間以内には対策を施すといった対策も紹介された。

社内セキュリティチームによって迅速な対応を行っている
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