スマートホームなセキュリティカメラ「Arlo Q」を試す 競合製品と何が違う?(2/3 ページ)
工事不要で設置でき、スマホからの遠隔視聴に対応するクラウド型のネットワークカメラ「Arlo Q」。最近は「Amazon Echo Spot」で利用可能になり注目されているが、今回は製品単体での実力を競合と比較しつつチェックしていく。
他のクラウド型ネットワークカメラと比べた場合の特徴は?
冒頭でも述べたように、Arlo Qの大きな特徴は、録画データの保存先が本体内ではなく、クラウドであることだ。保存先がクラウドならば、カメラの故障や設置場所の災害などのトラブルがあってもデータを守れる他、外出先からのアクセスがシームレスに行えたり、ローカル録画型に比べてネットワークの設定が容易であったりなどの利点がある。
ここでは、以前レビューした同じクラウド型のネットワークカメラ「Safie(セーフィー) CC-2」と比較しつつ、Arlo Qの特徴を見ていこう。ちなみに、以下では分かりやすくするためにサービス名のSafieで表記を統一しているが、基本的にはSafieのラインアップの中でも、今回のハードウェア(CC-2)にのみ当てはまるものを理解していただきたい。CC-2の直販価格はWi-Fiモデルで1万9800円(税別)だ。
この両者は、いずれも基本はライブ視聴で、それにプラスしてクラウドへの録画機能が用意されているという点において、非常によく似た製品だ。動体検知や音声検知をトリガーとした録画に対応し、夜間の撮影もサポートする他、防水仕様でないことから屋外への設置が行えない点も同様だ。
クラウド型につきもののタイムラグについてだが、実際に試した限りでは、Wi-Fi環境下で数秒、長ければ15秒と、両者ともに大きな差はない。このクラスの製品としては平均的で、製品選択時の決め手となるほどの違いはない。
大きく異なるのは、Safieはクラウドへの録画が有料(ライブ配信は無料)であるのに対して、Arlo Qは無料のBasicプランでも7日間の録画データを保存できることだ。容量が1GBまでという制限はあるので、7日分丸ごと保存できるわけではないが、異常が検知されたら録画データをチェックするという基本的な使い方が無料で試せるのはありがたい。
ただ信頼性については、しばらく使い比べた限り、Safieの方が高い印象だ。筆者はSafieについて、数日を超える遠征時にのみ有料プランを契約する形で、旧機種の「CC-1」から通算で2年以上使っているが、カメラがハングアップしたり、映像配信が止まるなどのトラブルは全く記憶にない。それくらい安定している。
その点、Arlo Qはカメラとの通信が行えなくなったためにケーブルを抜いて強制再起動を余儀なくされるケースが約1カ月の試用中に2度あった他、クラウドの録画データが正常に再生できず途中で固まるなど、機器またはサーバに依存するとみられるトラブルに複数回遭遇した。
これについては、Safieが飛び抜けて安定しているだけで、Arlo Qも一般的なネットワークカメラとしては及第点のレベルなのだが、もし慎重を期するのであれば、旅行や出張などで長期間カメラの側にいられない場合はあらかじめ再起動しておくなど、運用面での対処は必要と言えそうだ。
またSafie(の有料プラン)は、24時間絶えず録画し、タイムライン上で動きが検知された位置にマーキングをして呼び出せるようにする仕組みだが、Arlo Qの無料プランでは、動作や音声などイベントが検知された前後のデータしか保存されない。それ故、録画データのない時間帯に、本当に何もイベントが発生しなかったのか、確認するすべがない。
この辺り、Arlo Qは信頼性よりもコストを重視しているイメージで、それなりの証拠能力を必要とするケースでは、Safieの方が適していると感じる。ただしArlo Qも、有料のCVR(Continuous Video Recording)プランを契約すれば24時間録画が可能になるので、こちらを試してみるのも一興だろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.