AIやビッグデータとともに進化する「Microsoft Teams」の今 一歩先行くオフィス環境:鈴木淳也のWindowsフロントライン(2/2 ページ)
Office製品には欠かせないコラボレーションツールの「Microsoft Teams」だが、さまざまな改良が加えられているという。米Microsoft本社で話を聞いた。
AIやビッグデータとともに進化する製品
とかくSlackとの比較が行われがちなTeamsだが、先方が検索機能などチャット部分の拡充に非常に重きを置いているのに対し、ビデオ会議やホワイトボードツール、Officeアプリを使った共同作業など、コラボレーションの種類を拡充する方向にかじを切っているのがTeamsの特徴だ。
先日、Office 365 ProPlusを使ってデフォルトで導入されるコミュニケーションツールが「Skype for Business」から「Teams」に変更されたことが話題になったが、元々「Office Communicator」「Lync」「Skype for Business」といったビデオ会議機能を備えたコミュニケーションツールを源流とするのがTeamsであり、ある意味で自然な流れだ。
会議室に設置された既存の音声会議システムや、さらにはMicrosoft自身が共同作業用ツールとして提案する「Surface Hub」と組み合わせ、リモート作業やビデオ会議を簡単に実施できるのもTeamsの特徴といえる。
また先日、日本市場向けではソフトバンクとの提携によるTeamsからの固定電話発着信を可能にする「UniTalk」サービスも発表されており、PBXのような構内電話交換システムなしにリモートワークを前提にしたオフィス環境を構築できる点もメリットといえる。
またTeams自身も機能拡張が続いており、先日発表されたばかりの“リアル”なホワイトボード上に書き込んだ内容がそのままカメラを通じてデジタル的にTeams上に取り込まれ、記録される機能のデモンストレーションが披露されるなど、高価な機材をそろえずとも興味深い高度な機能を利用できるのが分かる。
この他、深度センサーなどが搭載されていない普通のシングルカメラでも、AI機能を通じてリアルタイムに背景の切り抜きを行い、好きな写真やバックグラウンドに切り替える機能が間もなくTeamsに提供される。
こういった機能を実現するのは、Microsoftが過去20年以上にわたって投資してきたAIの成果の一端だ。Teamsだけでなく、Officeにおける各種インテリジェントなオートデザイン機能やディクテーション、自動翻訳など、最近になって追加された機能群もこうした投資のたまものといえる。
もう1つ、重要なのが「Microsoft Graph」の存在だ。これはWindowsを含むMicrosoftのあらゆる製品のデータを集約したナレッジベースであり、ビッグデータの塊ともいえるものだが、このデータを使うことで検索や各機能の“振る舞い”をより精度の高いものとしたり、あるいは引き出せる情報を意味のあるものにしたりすることが可能だ。例えばLinkedInと連携すれば、キャンペーンの実施に必要な特定のスキルに秀でたマーケターを瞬時にリストアップするなど、さまざまな応用が可能となる。
これはセキュリティにも有効で、日々億を超えるメールや攻撃のシグナルを感知し、事前予防的に、あるいは攻撃を受けても被害を最小限にする形で防ぐことも可能だ。元々Microsoft/Office 365のメリットの1つはエンタープライズ用途に耐えるだけのセキュリティ機能であり、Windowsが広く長く企業ユーザーに親しまれてきたのはそのアクセス制御やデータ保護機構にある。これをベースに構築されたTeamsも当然その特徴を引き継いでおり、安全な作業環境を求める企業ユーザーのニーズに応える。
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