シリアルがないスマホにシリアルしかないAISレシーバを接続して船旅に出た:海で使うIT(3/3 ページ)
不定期でお届けする、海で使えるさまざまなIT機器を取り上げる本連載。今回は令和の時代で主流となりつつある「スマートフォンで電子海図と航法支援」について取り上げる。
「AISpilot」とiacobusの「Sailtracker」を試す
AISpilotは、航海情報とAISデータの表示に特化したアプリだ。その分、付属する電子海図の表示精度は低い。航海情報ではGPSから取得した緯度経度に対地速度、船首方位、目標方位、目標距離、到達予想時刻、予定航路からのズレなどを細かく設定できる。
また、AIS情報では、海図上に移動ベクトル(針路と速度成分)を表示する他、AISで取得した自船からの距離、船首方位、対地針路、速度、目標方位などの航海情報に加えて最接近予想位置までの距離とCPA到達までの予想時間まで算出して表示する。ただし、衝突アラームなどには対応していない。
一方のSailtrackerは、主な目的がヨットの帆走データの記録(風向と風力に対してヨットがどれだけの速度が出せるか)と設定した目標までの針路や目標に対する速度、風向に対する速度を表示といったレースにおける利用にある。それに地図上に自船位置とAISで取得した他船位置を表示する。
なお、マップは電子海図ではなくGoogle Mapを使用する。地図におけるAISデータの表示アイコンは船の種別ごとに色を分けるなど見栄えはいい。ただし、移動ベクトルの表示や衝突予想位置までの距離と時間の表示など、まさにAISで利用したい情報の表示には対応していない。
なお、今回の検証航海ではREX-60BTをAISレシーバーの「Smart Radio 161」(SR161)に接続した。SR161はRS-232Cの電力供給に対応していないため、REX-60BTを駆動するには5V 100mAの電力を供給する必要があった。船に搭載した12Vバッテリーを使う場合、12Vから5Vへの降圧回路を組み込んだ変圧モジュールが必要になるが、今回は手間を減らすため、モバイルバッテリーを用意してUSBから5Vを供給している。REX-60BTの消費電力は100mA程度なので、10000mAhのモバイルバッテリーなら長期航海でも十分まかなえるだろう。
関連記事
命を救うためのデバイス 個人で使える遭難信号自動発信器「PLB」とは
海外では山でも使えるPLBが日本ではなぜ海限定なのか。その理由も明らかに。艇載ドローンで落水者を救え! ボートショー2018レポート
ボートショー2018の目玉展示をレポート「インマルサット」「イリジウム」で真冬の海からFacebookに入電せよ
「衛星電話なんて高くてでかくて使えません」というのは過去の話だ。いまや、アマチュア無線より簡単確実で意外と安い。そんな衛星携帯電話でSNSを使ってみた。「C-MAP」と「Plan2Nav」で厳冬期の海を帆走れ!
データストレージと処理性能に制約があるAndroidデバイスでも高機能な電子海図と航法アプリを使いたい船長に朗報。iOS版で評判の“アレ”がAndroidで登場した!2万円を切る海外製AISレシーバーは本当に使える?
簡単便利で安いGPSが普及したのはある意味当然。AISも簡単便利だが高すぎて普及にいたらず。え、2万円を切るAISレシーバーがあるって! 大丈夫か?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.