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ついに日本で発売 Apple「HomePod」を試して分かった“競合との違い”本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/4 ページ)

Apple初のスマートスピーカー「HomePod」がこの夏、ついに日本で発売される。テクノロジー製品である一方、オーディオ製品という感性に基づく製品でもあるHomePodが向いている場面、ユーザー像とは? 日本モデルの実機を試してみた。

HomePodがピッタリと来る空間

 もちろん、HomePodはAppleのスマートホームソリューションにおいても重要な製品ではある。リビング、キッチン、寝室、さまざまな状況の中で、HomeKit対応デバイスをコントロールする核となる意味もあるのだろう。

 日本では住宅単位でのスマートホーム対応があまり進んでいないが、もしあなたがHomeKit対応製品をたくさん導入していて、それらをSiriから操作したいと思っているのなら、HomePodは良いパートナーとなるかもしれない。

もちろん、HomePodはAppleのスマートホームソリューションにおいても重要な製品であり、HomeKit対応デバイスをコントロールする核となる

 しかし、そうした状況を除くのであれば、HomePodの良さは「置くだけで心地良い音楽で満たされる」という、他製品に見られない特徴にある。

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 一般的なハイファイシステムのように、ベストなポジションで楽しめば、極めて明瞭な音像と自然な音場が得られるといったものではなく、HomePodの音は音像は曖昧だが音場は広く、どこでも同じように聞こえるというものだ。

 部屋じゅう、家じゅうを音楽で満たしたなら、広い部屋には2台導入してステレオペアを組んでいただきたい。もし書斎などで着席位置が決まっているなら、机の両脇に一般的なスピーカーを配置する方がいいかもしれないが、寝室やキッチンなどを音楽に満たしたいなら、1台のHomePodをどこか置ける位置に“ポン置き”すればいい。

 税別3万2800円という価格はライバルよりも高価だが、Apple MusicとAirPlay 2でほとんどの用途が足りてしまう人にとって、スマート機能の拡張性はあまり重要ではない。

 HomePodのスマート機能はSiriに依存しており、iPhoneでそうするようにApple MusicをSiriで操作してると(この曲が気に入った、この曲はスキップして、など)HomePodは機械学習を重ね、より賢く動いてくれる。

 今秋リリースの新しい「iOS 13」では、英語モードにおいてSiriを呼び出した人物を識別。選ぶ楽曲や読み上げる予定などを変える機能も備わるという。当初は英語のみの対応だが、日本語にもいずれは対応する見込みだ。

 しかし、それよりも何よりも「置いただけで良い音が聴ける」という部分にHomePod最大の価値を感じた。特にステレオペアを組んだときの印象はいい。

 「スマート」という部分を脇に置いて、オーディオ機器として考えたとき、この製品を2台使う約7万円のシステム。細かな音像定位や音場再現性などを問わないのであれば、全く新しいタイプのオーディオシステム提案として受け入れられる価格だと思う。

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