ついに日本で発売 Apple「HomePod」を試して分かった“競合との違い”:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/4 ページ)
Apple初のスマートスピーカー「HomePod」がこの夏、ついに日本で発売される。テクノロジー製品である一方、オーディオ製品という感性に基づく製品でもあるHomePodが向いている場面、ユーザー像とは? 日本モデルの実機を試してみた。
“置くだけ”で部屋中を心地よい音で満たす
HomePodは360度に音を放出する、無指向性スピーカーの一種だ。一般的なオーディオシステム、特にステレオ再生などではピンポイントで心地良いリスニングポイントが決まってくるが、HomePodは部屋中のどこに置いても、どの位置から聴いても、心地良く音楽を楽しめる。
通常の無指向性スピーカーと異なるのは、6個搭載されているマイクで常に集音し、再生音と比較することで反射や残響の影響をモニターし続け、放出する方向ごとに周波数特性や音圧を自動調整することだ。
14cmのダイヤフラムを上方向に装着したウーファーには、別途、専用のマイクが1個追加されており、他の6個のマイクからの情報と比較しながら、定在波による影響など低域特性の補正を行うという。ダイアフラムのトラベル量は20mmに及び、14cmと比較的大きなユニットを装着したこともあって、低域再生の質は同種のスピーカーの中でもずばぬけている。
このため、HomePodはポンと部屋の隅に置いても、テーブルの真ん中に置いても、しばらく置きっぱなしにしておけば、だんだんと音質が整ってくる。
HomePodを2台組み合わせたステレオペアを、当初はメインで使っているスピーカーの真上に置いてテストしていた。すると、壁からの距離を十分に取ったベストなポジションで、バランスのいい音を聴かせてくれた。
次にこれをオーディオラック上、テレビの真横に置いてみたところ、ラックと天井の間に生まれる定在波の影響や、もともと置いてあった場所の補正特性と重なるなどの状況があったのだろう。ボワついた低音に不明瞭なボーカルで、いきなり安っぽい音になったが、しばらく音楽をかけていると、いつの間にか「HomePodの音」になっている。
壁に近く、周囲にモノがある状況なので、設置条件は当初より悪くなっているはずだが、それなりに合わせ込んでくるのだ。
これをインパルス波などを用いず、音楽信号との比較だけで補正しているというのは、にわかには信じがたいが、実際に設置場所を変えながら音楽を聴いていると、だんだんと補正が収れんしていくのを感じることができる。
Appleは「1曲聴き終われば、その場にあった音質になる」と話していたが、低域補正がきちんと収れんするには、異なるタイプの楽曲が数曲かかった後の方がよさそうだ。
いずれにしろ、この自動補正と360度、方向ごとに音圧や特性を調整する仕組みと合わせ、部屋全体を心地良い音で満たすというHomePodの特徴は、他の製品では感じたことがないものだ。
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