第3世代Ryzenだけではない! AMD X570チップセットというアップグレードパスの魅力:夏の自作特集(4/4 ページ)
第3世代Ryzen、NAVI世代のRadeon RX 5700シリーズが登場したことで、これで組んでみたい、あるいはアップグレードしたいと検討している方も多いだろう。今回、これら新世代CPU&GPUに対応した新チップセット「AMD X570」がリリースされている。ここではこのAMD X570チップセットの特徴や機能にフォーカスを当てる。
DDR4-3200→DDR4-3600メモリでパフォーマンスは上がるのか?
最後に、Ryzen 9 3900Xでメモリの速度は足りているのか、ここを試してみた。ご存知の通り、これまで8コアを超えるCPUはRyzen Threadripperの領域で、そのプラットフォームではクアッドチャネルのメモリがサポートされていた。DDR4-3200まで引き上げられたとはいえ、デュアルチャネルまでの環境でCPUが求めるメモリ転送速度を賄えるのだろうか試してみた。
メモリクロックによる効果は、CINEBENCH R15/R20で確認した。結果に関して言えば、DDR4-3200時に対して4つのテスト全てでDDR4-3600時のスコアが勝っている。ただし、CINEBENCH R15ではその差はごくわずかで誤差の範囲とも言える。一方、メニーコアCPUのマルチスレッドへの最適化を一歩進めたCINEBENCH R20のマルチCPUは、グラフでもはっきり見て取れる差がついている。
CPUに関するテストのみだが、まとめるとDDR4-3200を超えるOCメモリによるパフォーマンスメリットはある、主に向上するのは全スレッドを使い切るような用途でその他はそこまで明確な向上はない、といったところになる。
3D映像のレンダリングや映像のソフトウェアエンコードといった用途であれば恩恵がありそうだ。もう少しコンシューマー寄りの用途ではゲームプレイ+配信(ソフトウェア処理)を1台で行うような使い方だろうか。
このような様相なので、一般的な使い方であればDDR4-3200で間に合っているとも言える。マルチスレッドを使い切る用途や、予算に余裕のある場合はDDR4-3600など、より高クロックのメモリにチャレンジしてほしい。
AMD X570が第3世代RyzenだけでなくPC全体の性能を引き上げる
第3世代Ryzenの一番の注目はCPUパフォーマンスにあるが、PC全体で言えばプラットフォームの性能が全般的に高いことが望ましい。AMD X570チップセットではPCI Express Gen4 x4 SSDが利用可能になり、対応SSDを搭載すればプログラムの読み出し、データの書き込みなどがより快適なものとなる。
また、X570 AORUS MASTERの2.5Gbps LANのように、利用できるPCI Expressの帯域が増えたことで、ネットワークなどの足回りに関わるその他のインタフェースも高速化され、より快適なPCに仕上げることが可能になった。
もちろんさまざまな理由で移行のタイミングは決まるが、こうした新技術、新インタフェースが登場した際を移行のタイミングとするのはよい選択と言える。PCI Express Gen4にしても高速LANにしても従来の規格と互換性があるため、一度に全部そろえる必要はなく、予算のついたところからアップグレードしていくという方法もとれる。ただ、そのベースとしてAMD X570搭載マザーボードというアップグレードパスを確保しておくというのがよいのではないだろうか。
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