“VRのご意見番”GOROman氏に聞く「まずはSlack、その先で生きるVR会議」:そろそろ会議やめませんか(2/2 ページ)
VRを活用することで、プレゼンや講演の非同期化をテストしているXVIの近藤「GOROman」義仁社長に話を聞いた。VR会議や登壇の今後を探る。
人が「ライブだ」と感じるにはインタラクションが必要
非同期という意味で、GOROman氏が何度かテストしていることがある。それは「プレゼンや講演の非同期化」だ。
「実は、『登壇』って奴を非同期化できないか、と思っているんです。色々な機会に呼んでいただくのですが、同じような内容を話すことが増えています。でも、それをぜんぶYouTubeの動画にしてしまったら、怒られますよね。『せっかく来たのに!』って。でも、アバターで登壇した場合、ちゃんと登壇した、と思ってもらえる可能性が高いですよね。『ハイブリッド化したいというのは、講演部分は基本的に記録したものの再生だけど、その場での反応に応じて変えたり、質疑応答はちゃんと同期型でやったり、という風にできないか、ということなんですが」
動画を流すと、人は「生ではない」と思う。だが、VRなどでキャラクターが動く場合、人は「生だ」と思う可能性が高い。だが、人はなぜをそこで「ライブ感」を覚えるのか? ビデオではダメだと思うのだろうか?
「ポイントは、インタラクションがあるかどうかだと思います。例えば、拍手があって、それに反応できるかどうか。聴衆の反応を見て、話す長さを変えられるかどうか、というような。以前、名古屋で開催されたイベントに登壇した際、実は、VRのアバターとして出たんです。その時はちょっとやりづらかった。なぜなら、こちらから会場の様子が見られなかったからです。相手の反応のフィードバックを受けて話を分岐させたいのに、それがやりづらかったんです」
そこに自分がいなくても、いる時と同じように話し、聴衆に同じような価値を与えることができないか。重要なのは、登壇者が楽であることと同時に、聴衆が満足することが重要。そのためには、会場とのインタラクションが必須なのだ。
サンノゼから東京のイベントへ「テレイクジステンス登壇」
冒頭で述べたように、GOROman氏は、9月25日と26日に東京で開催されるUnityのカンファレンスイベント「Unite Tokyo 2019」の2日目(26日)に講演者の一人として登壇する。ただし、本人は東京にいない。米サンノゼで開催されるOculusの開発者イベント「Oculus Connect 6」に参加するためだ。
そこでUnite Tokyoには、ロボットをアメリカから操作する「テレイクジステンス登壇」になる。使うのは、「プリメイドAI」というロボットだ。元々は15万円ほどするホビーロボットだが、一部店舗で2万円ほどの価格で売られていた時があり、ハードウエアハックを楽しむ人々の間で話題になった。GOROman氏も積極的にハックし、VRヘッドセット(Oculus Rift S)とコントローラーでプリメイドAIを動かせるようにしている。今回の登壇ではこれを使う。
HMDのセンサ-が首の動きをデータ化し、両手の動きはハンドコントローラーがデータ化する。結果的に、首と手の動きを再現できるようになっている。GOROman氏は「VR人形浄瑠璃みたいですよね」と笑う。
筆者も体験してみたが、操作はとても簡単だ。VR空間内にあるプリメイドAIに自分の体を合わせるように立って、首や手を動かすイメージになっている。現在は正面に鏡のように自分(プリメイドAI)の姿が映っているが、Unite Tokyoでの登壇時には「現地の聴衆がどんな風かを映し出す予定」(GOROman氏)だと言う。
「Unite Tokyo 2019」2日目のチケットはまだ販売されているので、興味がある方は、参加してみてはいかだだろうか。
GOROman氏の取り組みは、ほとんどが個人的な興味に基づくプロジェクトだ。直接ビジネスにつながっているわけではない。だが、こうした部分から得られた知見が広がり、我々の「会議」や「登壇」のあり方を、少しずつ変えていくのかもしれない。
関連記事
クラウドとソフトウェアで変える「Microsoft Teams」の会議効率化技術
Office製品には欠かせないコラボレーションツールの「Microsoft Teams」だが、さまざまな改良が加えられているという。米Microsoft本社で話を聞いた。「HoloLens 2」が変える会議の「基盤」――生みの親キップマン氏に聞く
そもそも、会議の価値とは何だろう? 働き方改革の一丁目一番地にあたる「会議」にまつわるあれこれを、各所への取材を通じて探っていく本連載。2回目は、Microsoftの最新デバイス「HoloLens 2」の生みの親にコミュニケーションのあり方を聞いた。「会議は面倒」から考える、働き方改革の一丁目一番地
そもそも、会議の価値とは何か? 必要以上に時間をとられたり、無駄を強いられていたりと、実は働き方改革の一丁目一番地なのではないだろうか。本連載では、「会議」にまつわるあれこれを、各所への取材を通じて探っていく。どうなるChromium×Edge、Skype for BusinessからTeamsへの流れ
Windows 10のデフォルトブラウザである「Edge」の動作ベースを「EdgeHTML」から「Chromium」へと移行が発表されてから4カ月近くが経過した。どのような状況になっているのかを見ていこう。ポケモンGOとの違いは? クラウドとAIのMicrosoftを象徴する「Minecraft Earth」
年次イベント「Microsoft Build 2019」において発表された「Minecraft Earth」は、単なるゲームタイトルではなく同社の最先端技術を凝縮した“テクノロジーショウケース”だ。注目ポイントを整理した。レノボ、オンライン会議システム「ThinkSmart Hub 500」にZoom Rooms導入モデルを追加
レノボは、Windows 10 IoTを搭載したオンライン会議向けオールインワン端末「ThinkSmart Hub 500」にZoom Rooms搭載モデルを追加する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.