魅力を再構築した新モデル「Apple Watch Series 5」の進化と変化:林信行がレビュー(1/3 ページ)
スマートウォッチで独走を続けるApple Watchも、登場から5年目を迎える。新モデルSeries 5の魅力はどこにあるのか。林信行氏がレビューをお届けする。
2014年に最初のApple Watchが発表されてから5年、Apple Watch Series 5が発表された。新製品を1週間試してみての感想と共に、5年目のApple Watchを使って見えてきたApple Watchの変わらぬ価値と、新しい方向性についてまとめてみたい。
Apple Watch史上最大の変化「常時表示」
Series 5は、この5年間に出てきたApple Watchの中で、製品の使い方を根本から変える最大級の進化を果たした製品だ。しかし、だからといって必ずしも2018年のApple Watch Series 4を買ったばかりの人まで含め買い換えが必須、という製品でもない。この進化の仕方こそが、Apple Watchという製品が持つデジタル製品の中でも特別なポジションを感じさせる。
最大の進化とは、画面の「常時表示」だ。これまでApple Watchはバッテリー節約のために、情報を見たいと画面を顔に向けたときだけ画面がオンになり、情報が浮かび上がった。
この仕様でもそれほど困ることはなく、実際、Apple Watchは世界で最も売れている腕時計の座を獲得した。とはいえ、例えばふとテーブルに置いたままの腕をのぞき込んだときとか、腕の回転が不十分だったときとか画面が消えたままで、指でタッチして画面を表示させるといった不自由さが全くないわけではなかった。
それが今回、劇的な省電力化を実現するLTPO(低温多結晶酸化物)というディスプレイ技術が完成したのを受けて、画面をつけっぱなしでも大丈夫な仕様に変わったのだ。
Series 5のLTPOディスプレイは通常時60Hz、つまり1秒に60回で画面を描き変えているが、使っていない間は1Hz、つまり毎秒1回しか画面を描き変えない状態になり消費電力を抑える。Series 5では画面は消えない代わりに、使っていない間は画面が少し暗くなり、秒針など動きの速い情報の表示がなくなるモードに切り替わるのだ。ちなみにこの省エネモード時と、通常時で見た目が変わるフェース(盤面)もいくつか用意されていて、これがなかなか面白い。
この常時表示のおかげで、例えば作業中でApple Watchを付けた腕が動かせないようんな時や会議中、ほおづえをついた腕に巻きついたApple Watchの時刻を確認したい時、「画面が消えていた!」とガッカリすることはなくなり、Apple Watchの使い勝手は劇的に変わる。
もし、これまで画面が消えるからとApple Watchを敬遠している人がいたら、もはや世界を制し社会現象となっているスマートウォッチの魅力に、今改めて目を向けるタイミングかもしれない。
コンパスも内蔵で街の捉え方が変わってくる
Apple Watch Series 5の新機能は、画面の「常時表示」だけではない。新たに本体内にコンパスが内蔵された。今、腕が向いている方位をコンパスアプリやコンプリケーション(時計の盤面に組み込まれた情報)で確認でき、坂をどれくらい登ったかなどの昇降データも拾うことができる(これまでも内蔵の気圧計で、立っている場所のおおよその標高は分かった)。
コンパスアプリはしばらく放置しておくと壁紙のようになって、その上にデジタル時計が表示されるので、その状態で使って毎日歩く道などを見てみると、計算された建物の向きや夕陽の見えやすそうな場所、見えにくそうな場所など改めて発見することが多い。
現在は、このコンパスアプリ以外では、地図アプリでどちらを向いているかが表示される程度だが、今後、レストラン案内アプリなど他社製アプリでも、このコンパスが使われることになりそうだ。
アプリと言えば、このSeries 5で標準となっているwatchOS 6から、Apple Watch用のApp Storeが誕生した。iPhoneに依存せずにApple Watch上でwatchOSのアプリを購入し、ダウンロードできるのも大きな進化といえる。
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