ニュース

超軽量と丈夫さを両立した「dynabook G」で海外に挑戦 Dynabook新製品レポートCES 2020

2018年10月にシャープの傘下に入ったDynabook(旧・東芝クライアントコンピューティング)。2019年に引き続き、2020年もシャープのCESブース内に展示コーナーを設けていたので、その模様をお伝えする。

 「CES 2019」で4年ぶりのブース復活を果たしたシャープ。CES 2020の同社ブースには、去年(2019年)に引き続き同社グループの一員となったDynabookの製品群も展示された。

 Dynabookのコーナーで注目を浴びたのは、去年と同じく13.3型のモバイル軽量ノートPC「Portege X30L-G」だ。このモデルは既報の通り、日本では「dynabook Gシリーズ」の新モデルとして発売される。

 この記事では、日本よりも早く世界に向けて発表されたPortege X30L-Gを、写真を交えてレポートする。

advertisement

Dynabookの海外向けモデル「Portege X30L-G」。日本では「dynabook Gシリーズ」として発売される

「dynabook」を海外市場に本格展開

 Dynabookの源流は、東芝のPC事業である。それが2016年4月に分社されて「東芝クライアントソリューション(TCS)」となり、2018年10月にシャープ傘下に移りし、2019年1月にDynabookに社名が変更された。

 社名としての「Dynabook」と、製品ブランドである「dynabook」は徐々に定着してきたイメージもある。しかし、元々は国内向けブランドである「dynabook」の海外展開は、同社にとって大きな挑戦となる。

 その足がかりとして、東芝が米国のPC市場において一定のシェアを持っていたことは大きい。Dynabookのコーナーでは、1985年に東芝が発売した世界初のノートPC「T1100」など東芝時代の名機も展示された。dynabookが東芝ノートPCの系譜を受け継いでいることをアピールするためだ。


世界初のノートPC「T1100」など、歴代の東芝PCを展示することで、dynabookをその延長線上にあることをアピール

 ブランドの切り替えはすぐには進まず、海外向けPC製品の一部は「TOSHIBA」ロゴが付いたままだった。しかし、順次「dynabook」ロゴへの切り替えは進められている。CES 2020で発表されたPortege X30Lは、“完全に”dynabook仕様となっている。


Portege X30Lの画面下部にある「dynabook」ロゴ

 このX30Lは、CES 2020に合わせて日本より先に世界に向けて発表した意欲的なモデルだ。重量は1.92ポンド(約870g)で、6コアの第10世代Coreプロセッサ(開発コードネーム:Comet Lake)を搭載したノートPCとして“世界最軽量”と位置付けている。

 ブース展示では、870gという「軽さ」を示すために磁力で浮上するスタンドを利用。海外ではなかなか見かけない展示だけに、来場者の注目を浴びていた。「MIL-STD-810G(MIL規格)」に準拠した丈夫さを示すべく、重りを乗せたり鉄球を落としたりするデモンストレーションを実施するなど、“軽い”だけではないノートPCであることも忘れずにアピールした。


磁力で浮上しながら回転するスタンドで軽さをアピール

数十kgの荷重をかける試験や、鉄球落下も実演していた

 ディスプレイにはシャープ製の13.3型IGZO液晶を採用。解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)でノングレア処理となっている。その上部には、Windows Helloの顔認証に対応する赤外線(IR)カメラユニットを搭載している。このカメラユニットは通常のWebカメラとしても利用できるものだ。


ディスプレイは、シャープ製の13.3型フルHD IGZO液晶。上部には赤外線カメラユニットも備える

 本体のポート類もビジネス仕様だ。Wi-Fi(無線LAN)は最新の「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」に対応しつつ、フルサイズの有線LAN端子も装備しており、LANケーブルを直接挿せるようになっている。

 左側面には、電源入力端子、USB Type-C端子、HDMI出力端子、イヤフォン/マイクコンボジャック、microSDメモリーカードスロットを備える。右側面には先述の有線LAN端子の他、USB 3.0 Type-A端子を2基装備している。

 USB Type-CポートはUSB Power Delivery(USB PD)による電源入力や、DisplayPortによる映像出力にも対応する。日本のビジネスユーザーの要望に応えてきた豊富なポートが、海外でも評価を得ているという。


左側面

右側面

米国英語(US)キーボードを備える本体。なお、日本向けのdynabook Gシリーズでは日本語キーボードを搭載する

 Portege X30Lは、米国やヨーロッパのビジネスPC市場で2月から展開を開始する。米国での希望小売価格は1599.99ドル(約17万6000円)からとなっている。日本で磨いてきた技術力で再び世界市場を切り開けるか、試金石になるモデルになりそうだ。

「8K動画編集」も視野に

 Dynabookの製品が並ぶシャープのブース全体では、「8K」が大きなテーマの1つになっている。

 その中で、PCで期待される8K動画編集について、DynabookではThunderbolt 3接続の外付けGPUボックスを参考展示していた。今後、グラフィックスカードを搭載するPC(あるいは外付けできるPC)を発売し、アプリケーションの動作保証をした上でソリューションとして展開することを検討しているという。


参考展示された外付けGPUボックス

 「IFA 2019」に引き続き、8K対応PCのコンセプトモデルも展示していた。このコンセプトモデルは、2021年の発売を視野に入れた構想となっているという。

 放送局など、プロの映像制作の現場では8Kに対する需要が高まっており、今後は「インフルエンサー」などにも需要が拡大することが予想される。Dynabookとしては、その需要を“先取り”していく構えだ。


2021年に登場予定の8K対応PCのコンセプトモデル

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.