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「CPUは同じだけどMaxとはこれいかに」なGPD P2 Maxを検証する上位モデルと下位モデル、気になる性能差は?(3/3 ページ)

「GPD P2 Max」は、Shenzhen GPD Technologyが投入した超小型PCだ。8.9型の液晶ディスプレイに大型化し、性能を高めた上位モデルと下位モデルの性能や発熱、騒音などを細かくチェックした。

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下位モデルの方が熱くてうるさい

 GPD Technologyは、処理能力向上に貢献した要素としてクーラーユニットの変更も訴求している。冷却効率を高めてボディー内部の温度上昇を抑え、高い動作クロック状態を長い時間維持できるようにしたと同社のWebページで説明している。

 ベンチマークテストのスコアもそのことを示しており、同社によるとクーラーユニットの効率向上は、体積を23%増加した新しいヒートパイプを導入するとともに、ハイパワーターボファンの採用でエアフローを45%増やしたことを挙げている。

 そのためか、ベンチマークテスト実行中は、クーラーユニットに組み込まれだ冷却ファンの音が思いの外に大きい。音量を測定するために、騒音計を「本体から30cm離した場所」に設置し、3DMarkのTimeSpyを回している間で最も大きかった音圧と、低かった音圧をそれぞれ測定した(暗騒音36.5dBA)。

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騒音テストの結果
モデル名 GPD P2 Max(Core m3) GPD P2 Max(Celeron)
アイドル時音圧 39.5dBA 39.4dBA
ベンチマーク最小音圧 44.4dBA 49.4dBA
ベンチマーク最大音圧 53.2dBA 55.2dBA

 新モデルは、アイドル状態でもファンが回っていることが明確に認識できる。さらにベンチマークテストが走り出すと、風切り音が増すだけでなく「高い音」が増えて明らかに耳障りなノイズが大きくなったのが分かる。そして、最大音圧になると音が大きくなるだけでなく、「一段と高い音」となって聞こえてくる。この状態では「かなり」うるさいと言わざるを得ない。

 少なくとも、静かな図書館ではベンチマークテストを回すことはできない。街カフェでも遠慮して途中でやめてしまうのではないだろうか。GPD Pocket2にあったファンを停止させるボタンも省かれている。


底面にあるスリットは吸気用だ。クーラーユニットの排気はヒンジ部に設けられたスリットから排出する

 となると、「これだけ“必死”にファンが回るのだから、相当な熱を発しているのではないか?」と危惧する人がいるかもしれない。確かにボディーの一部、具体的にいうとユーザーが本体に向かって右側手前、パームレストから前端と右端に向かったエリアが熱くなる。ただ、その他の部位については「ほんのりと温かい」ぐらいだ。

 こちらも、非接触タイプの赤外線温度計を使って、「F」キーと「J」キートップ、パームレストの左右、そして底面のそれぞれで、3DMarkのTimeSpyを動かしたときの表面温度を測定した。

温度測定の結果
モデル名 GPD P2 Max(Core m3) GPD P2 Max(Celeron)
Fキートップ 28.2度 30.9度
Jキートップ 31.5度 32.9度
パームレスト左 30.1度 31.6度
パームレスト右 34.2度 37.6度
底面 35.8度 33.6度

 主観的コメントとなるが、手で触れた感触としては本体右寄り前端が「かなり熱っ」と感じたが、温度計の測定値はそれほどでもない。温度は下位モデルより上位モデルが低く、最も高い温度でも、下位構成のパームレスト右の37.6度と体温をわずかに上回る程度に収まっている。

 その他の部位の温度は、30度前半で収まり熱く感じるところはない(それだけに本体右寄り前端の突出した温度が熱く感じたのかもしれない)。ファンの風切り音は確かにうるさいが、それは、クーラーユニットが確実に仕事をしている証であって、それがゆえの処理能力向上といえるだろう。なお、電源プランを「パフォーマンス優先」から「バランス」に変更してもファンの音量と表面温度の測定値は変わらなかった。

 以上、「CPUは変わらないけれど、それ以外の強化で処理能力が改善」したGPD P2 Maxについてベンチマークテストのスコアと表面温度、発生音圧から考察した。次回は、超小型PCでは処理能力以上に気になる「ハードウェアキーボードの使い勝手」について、“ねちっこく”検証する予定だ。

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