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AppleとGoogleが協力した新型コロナ対策「接触追跡」とは何か?ロックダウンを繰り返さないために(3/4 ページ)

新型コロナ対策でAppleとGoogleが手を結び、Bluetoothベースで濃厚接触の可能性を検出するプラットフォームを共同で開発する。その背景を追った。

今、なぜ「接触追跡」が重要なのか

 ところで、こういった接触追跡はなぜ重要なのだろう。

 4月10日に投稿されたロンドンの大学院で、疫学やモデリングを勉強しているという「Mangoose cat」さんが、Medium(日本のnoteなどに近い個人発信媒体)に投稿した「モデリングから考える長期的なCOVID-19戦略」という記事が、非常に多くの示唆を与えてくれる。

ダイアモンドプリンセス号に関して、感染対策の内情をいち早く世界に伝え注目を集めた感染症の専門家、神戸大学医学研究科感染症内科教授の岩田健太郎氏もMangoose Cat氏のモデリングの記事を高く評価している

 外出自粛要請や都市封鎖は、スタートしてから1~2週間後頃から効果を発揮して感染者の数を減らし始めるが、発令が解除され再び人々が外出を始めると、(潜伏期間のタイムラグを経て)またじわじわと感染者が増え始めて外出要請や都市封鎖を繰り返すことになる。

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 要するに、感染者数が増えては減りという同じ状態をいつまでも繰り返すことになる。

 そこで先の記事では、よりよい状態を導く「シナリオ2」として「感染者を減らした後に、積極的な接触者追跡/早期診断/早期隔離、加えて軽度の社会的距離を継続」した場合についてもモデリングを行っているが、その場合は感染者がなくなりはしないものの、ある程度少ない数で安定させられるという。どの程度の人数で推移するかは、外出自粛期間をどれだけ長く取るかによって変わってくる(長く取れば取るほど減る)。

 もちろん、接触追跡や早期診断/早期隔離、そして「社会的距離」が必要で、新型コロナ流行前と同じ状態での生活や仕事は維持できないが、もし、このモデルの通りになるのだとすれば、それは経済活動を再開する上でも大きな状況改善につながるはずだ。

 ただ、任意での接触追跡に関しては、既に述べた通り情報の収集に限界がある。接触追跡アプリの登場や同機能のOSへの搭載は、より少ない負荷で、これを可能にするのではないだろうか。

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