「テレワークの新しいマナー」なんていらない:そろそろ会議やめませんか(3/3 ページ)
新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するための緊急事態宣言以降、仕事のスタイルが大きく変わり、テレワークの普及が著しい。しかし、新しい秩序には新しいマナーが必要……なのだろうか。
「自分の状況」は自分では分からず。「ミュート」の活用は広げよう
とはいうものの、テレワークだからこそ考えておきたいことはある。
それは、「相手に見えている/聞こえているこちらの状況を、自分が把握できていないことがある」ということだ。
例えば「キーボードの音」だ。自分が話していない時、メモのためにPCでキー入力することは多いだろう。その音は、自分の中では「脳内ノイズキャンセル」されて気にならなくなっているが、相手には聞こえていて、会話の内容が聞き取りづらくなっていることもある。周囲の環境音も同様だ。
自分が話す時以外はこまめに「ミュート」ボタンを使って音声を消す、ということは心がけてもいい。逆に、相手が言っていることが聞きづらければ「聞きづらいのでちょっとミュートしてください」とお願いしてみよう。こうするのがマナーというよりも、ビデオ会議の場において、「こういう風にツールを使う方が便利だよね」という性質のものである。
話したくなったらミュートボタンを外して、ついでに「挙手」でもすればいい。
キーボードの入力音などの問題は、テクノロジーが解決してくれる可能性も高い。Microsoft Teamsでは、ポテトチップスなどのそしゃく音を「消す」機能の導入をMicrosoftが進めているし、「Discord」では、ファンノイズやキーの入力音を抑制する機能が搭載された。「ミュートしましょう」というルールも、今の技術的制約化でのノウハウの1つに過ぎない。
「相手への伝わりやすさ」にこだわり始めると、PCに内蔵のマイクやWebカメラでは物足りなくなるかもしれない。YouTuberの人々は、以前よりその辺で苦労して、たくさんの知見を積み重ねている。気になるなら、そうしたYouTuberのビデオやブログなどを参考にしてみるのも面白い。
ビデオ会議/テレワークを「自分の家から誰もが行う」という新しい秩序の中で、試行錯誤はあるだろう。そこには新しいノウハウもある。だがどちらにしろ、それは「お互いで決める進め方のルール」もしくは、「自分のこだわり」だ。必要なことは決めておくべきかもしれないが、多くの部分は、自分が快適になるためのノウハウに近い。
「仕事をする上で、相手をおもんぱかり、自分ができる範囲で快適に仕事をする」
結局、そんな当たり前のルールだけでいい。新しいマナーなんて、実は必要ない。
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