職員室の「IT化」を阻むものは何? 元教員が考える課題と解決策(2/2 ページ)
文部科学省の「GIGAスクール構想」と、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、教育現場のIT化が急速に進む……と思いきや、職員室(教員)のIT化は思ったように進んでいない部分もあります。2020年3月まで教員として学校に勤めていた筆者が、教員のIT化の課題と対応策について考察します。
どうすれば学校のIT化を進められる?
小学校や中学校のIT化は児童や生徒にとってプラスだが、しかしIT化に抵抗感を覚える教員が少なからず存在する――それが現在の学校の状況です。
では今後、学校(特に職員室)のIT化をより進めるためにどのような取り組みが必要なのでしょうか。筆者なりに考えてみました。
「とにかく取り入れる」という心意気と「手厚いサポート」が必要
先述の通り、教員がITを拒む要因として「心理的障壁」があることは否めません。ある意味で、教員の“気持ち”を変えていくことが不可欠です。
まず、教員自身には「とにかくITを取り入れてみよう!」という気持ちが必要です。今までとのやり方と違いますし、最初のうちは慣れないと思います。しかし、学習指導要領や社会の変化を踏まえると、ITに慣れないと仕事自体が進められなくなる恐れもあります。
ちょっと言葉が強いかもしれませんが、場合によってはプライドを捨ててでも“新しいこと”や“分からないこと”を一生懸命学ぶべきだとも考えます。一生懸命に学ぼうとする姿勢は、今後の指導に良い影響を与えるはずです。むしろ、いつまでも古いやり方に固執する方が悪い影響を与えてしまいます。
私事ですが、筆者は2020年3月に教員を辞め、フリーランスライターとしての活動を開始しました。「外」に出てみて初めて「教員のIT化の遅れ」を痛感しました。多くの企業では「Slack」や「Chatwork」といったコミュニケーションツールで積極的に情報のやりとりを行い、「Zoom」や「Google Meet」でWeb会議をこなす姿を見て、「これこそ学校に取り入れるべきだ」と思ったものです(後者は学校でもオンライン学習用に導入が進みましたが)。
労働環境をより良くするためにも、こういったクラウドベースのツールはどんどん活用していくべきです。ただ、いきなり「使え」と言われてもムリな話であることは分かっています。学校の設置母体(教育委員会や学校法人の本部など)が、教員のITツール習熟を“継続的に”支援する環境を検討、構築することも重要です。
指導で積極的に用いている同僚からノウハウを得ることも重要
少しずつではありますが、授業でもIT化は進んでいます。先ほど挙げた英語やプログラミング教育の例もあると思いますし、国語でデジタル教科書を使って朗読をしてもらったり、体育の技を映像で見せたりする、ということなどもあります。
この時の子どもの反応はどうでしょうか。TT(チームティーティング:授業を補助する「2人目の先生」として他のクラスに入ること)でさまざまなクラスを補助した際に見た限りでは、教員が一方的に教科書の内容を教えるよりも、先にも触れた通りITを活用した方が子どもは興味を持って授業に参加できているように感じました。
若手の教員と年配の教員との間には、ITの活用状況に差が出る傾向にあるのは間違いありません。とはいえ、若手の先生が職員全体にどんどんITを周知していくこと、そして必要に応じて民間企業などにも助けていただきながら指導の質を高めていくことが必要でしょう。
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