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企業向け管理/セキュリティ機能を強化 AMDがモバイル向け「Ryzen PRO 5000シリーズ」を発表

AMDのモバイル向けRyzen 5000シリーズに、企業向け管理/セキュリティ機能を強化したAPUが追加される。競合のIntelのvPro対応第11世代Coreプロセッサよりも省電力かつ高パフォーマンスであることをアピールしている。

 AMDは3月16日(米国東部時間)、モバイル向けAPU(GPU統合CPU)「Ryzen PRO 5000シリーズ」を発表した。搭載製品はPCメーカーを通して順次発売される。

Ryzen PRO 5000シリーズの概要

 Ryzen PRO 5000シリーズは、先行投入されたモバイル向け「Ryzen 5000シリーズ」に企業向け管理/セキュリティ機能「AMD PRO」を追加したAPUとなる。

 今回発表されたモデル(SKU)のCPU部分は全て「Zen 3」アーキテクチャで、CPUコアとL3キャッシュ回りの構造変更、メモリコントローラーの改善、CPUクロックの切り替え方法の改善などを通して処理パフォーマンスの底上げを図っている。

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 AMDが自社で行ったテストでは、新APUの中で中位に相当する「Ryzen PRO 5 5650U」(2.3GHz~4.2GHz、6コア12スレッド)が、競合のIntelにおける最上位モデル「Core i7-1185G7」(3GHz~4.8GHz、4コア8スレッド)に各種ベンチマークで優位に立つことをアピールしている。


先代のZen 2アーキテクチャでは「最大4基のコアで4MBのL3キャッシュを共有」していたが、Zen 3アーキテクチャでは「最大8基のコアで16MBのL3キャッシュを共有」する構造に変更された。これにより、L3キャッシュのアクセスに関連したボトルネックが大きく改善した

PCの生産性を図る各種ベンチマークテストにおいて、Core i7-1185G7のスコアを「100%」とすると、Ryzen PRO 5 5650Uは平均6%、「Ryzen PRO 7 5850U」(1.9GHz~4.4GHz、8コア16スレッド)は平均10%スコアが高いという

CPUの純粋な性能を計測する各種ベンチマークテストでもCore i7-1185G7のスコアを「100%」として比較すると、Ryzen PRO 5 5650Uは平均7%、Ryzen PRO 7 5850Uは平均20%スコアが高かったそうだ

Core i7-1185G7とRyzen PRO 5 5650UのCPUベンチマークテストを細かく見ると、CINEBENCH R20のシングルスレッドテストではCore i7-1185G7がわずかに勝利しているが、それ以外はRyzen PRO 5 5650Uの圧勝である。TDP(熱設計電力)の考え方はIntelとAMDで異なるため単純比較は難しいが、AMDのプロセッサは消費電力の割にパフォーマンスが良いことは確かである

コアをより多く備えるRyzen PRO 5000シリーズなら、Web会議(Zoom)とOfficeアプリの併用もより快適であるともアピールしている

性能を底上げしつつ、従来よりもバッテリーの駆動時間が延びていることも特筆すべきこと

全部で3モデルを用意

 モバイル向けRyzen PRO 5000シリーズのラインアップは以下の通り。TDP(熱設計電力)は標準15Wで、PCメーカーは10~25Wの範囲内でカスタマイズできる。キャッシュ容量はL2とL3の合算値となる。

  • Ryzen PRO 3 5450U(2.6GHz~4GHz、4コア8スレッド、10MBキャッシュ)
  • Ryzen PRO 5 5650U(2.3GHz~4.2GHz、6コア12スレッド、19MBキャッシュ)
  • Ryzen PRO 7 5850U(1.9GHz~4.4GHz、8コア16スレッド、20MBキャシュ)

Ryzen 5000シリーズ(Uプロセッサ)のラインアップ。AMD PRO対応APUを加えることで、9製品がそろった

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