PCがクラッシュ! 締め切りが目前に迫ったときにあなたはどうする?【前編】(1/3 ページ)
PCは突然に壊れる。それは予想もしなかったときに、切羽詰まった土壇場で発生する。そのとき、あなたはどうする?
2021年1月15日の早朝、僕は徹夜で漫画のペン入れを終えた。後はスクリーントーンを貼ったら終わりだ……と思いながら作業を続けていると、急に液晶タブレットの反応がおかしくなった。カクカクと明らかに挙動がおかしい。戸惑っていると、
「問題が発生したため、PCを再起動する必要があります。エラー情報を収集しています。自動的に再起動します」
という画面に切り替わった。
背中にツツッと冷や汗が流れるものの、
「まあ、たまにあるよね。こういうの……。ハハッ」
と、あまり深刻にならないよう努めながら画面を見つめる。数分後、
「スタートアップ修復でPCを修復できませんでした」
との文字列が表示された。
絶望感で頭がグラグラする。何とかがんばってPCを起動させようとしたが、セーフモードですら立ち上がらない。
漫画の締め切りは15日中である。既に20時間を切っている。グッと胃が痛くなり、吐き気がしてきた。
何もかも投げ出して外へ飛び出したくなる衝動を押さえ、何とかスマートフォンでデータ復旧会社を検索し始めた――。
フルデジタル化にカジを切った2020年8月
ここで、僕の漫画を描くスタイルを描きたいと思う。
現在『本当にあった愉快な話』『本当にあった愉快な話増刊号』『近代麻雀』『紙の爆弾』の4誌で連載している。いずれも4コマ漫画で、合計22ページだ。まれに読み切りなどの仕事も入るので、月30ページくらい描く場合もある。
漫画家としては少ない仕事量だ。アシスタントも雇っていない。収入もライターとしての方がかなり多く、正直、漫画家と名乗るのはおこがましい気持ちだ。
2020年までは、ペン入れまではアナログで描いていた。
具体的には、紙に鉛筆で下書きをし、ミリペンでペン入れをしていた。ペン入れをした原稿は、エプソンのスキャナーを使って600dpiで読み取ってデータ化し、アドビの「Photoshop」でスクリーントーンを貼って仕上げる。
つまり、ほとんどはアナログだが、最後だけデジタルで作業していた。
2020年の8月頃に、一念発起してフルデジタルに移行することに決めた。まずはセルシスの「CLIP STUDIO PAINT」と、ワコム製の液晶タブレット「Wacom One」を購入した。
それまで、PCはNECパーソナルコンピュータのデスクトップPC「VALUESTAR」シリーズを5年ほど使っていたが、移行を機に買い換えることにしたのだ。2015年1月の春モデルからVALUESTARのブランド名はなくなっていたが、ここでも同社製の「LAVIE」シリーズのデスクトップPCを選んだ。
なぜNECパーソナルコンピュータのPCを選んだかというと、
「大企業のパソコンなら大丈夫だべ」
という、いかにも昭和のオッサン的発想である。小学校時代に花開いたPC-9801シリーズの黄金時代のイメージを、この令和まで引きずっていたのだ。
値段は、15万円とまずまずの値段だった。
その『安心のNECのパソコン』が急にぶっ壊れるというのは、全くの想定外だった。
これまでの制作過程の場合、例えPCが壊れたとしても、紙で描いた原稿は残る。だがフルデジタルの場合、全部消えてしまう可能性があるのだ。
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