フルHDゲーミングに手頃な選択肢 10月14日発売の「Radeon RX 6600」を先行レビュー(3/3 ページ)
10月14日、AMDの新型GPU「Radeon RX 6600」を搭載するグラフィックスカードが発売される。既に登場している「Radeon RX 6600 XT」の下位モデルに相当するが、同様にフルHDのゲーミングに焦点を当てたことが特徴だ。ベンチマークテストを通して実力をチェックしていこう。
DXR対応タイトルではどう?
最近のグラフィックスカードのテストでは恒例になりつつある、リアルタイムレイトレーシング(RT)の描画パフォーマンスもチェックしてみよう。時間の都合から、今回はRX 6600とRTX 3060の比較のみを実施している。
まず、3DMark内にある、DirectX Raytracing(DXR)を利用するベンチマークテスト「Port Royal」を実行してみた。スコアは以下の通りだ。
- Radeon RX 6600:3750
- GeForce RTX 3060:5103
以前から何度か言っている通り、AMD製GPUはNVIDIA製GPUと比べてDXRのパフォーマンスが低い。以前実施したRX 6600 XTのテストでは「RTX 3060比で2~3割ほどマイナス」という小さくないスコア差が出ていたが、下位に相当するRX 6600ではスコアがさらに開くのは当然である。
DXRを目当てにGPUを選ぶ場合、Radeon RX 6000シリーズを選択肢として加えるかどうかは慎重な検討が必要といえるだろう。
実際のDXR対応ゲームとして、先にテストしたCyberpunk 2077に再登場してもらおう。画質プリセットを「レイトレーシング:中」とした上で、フルHD、WQHD、4Kの3つの解像度で平均/最小フレームレートを計測してみた。
Cyberpunk 2077では、DXRを有効化するとGeForce RTX 30シリーズであれば「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」、Radeon RX 6000シリーズでは「FidelityFX CAS(Contrast Adaptive Sharpening)」が自動的に有効化される。しかし、RX 6600 XTのテスト時と同様に、今回もFidelityFX CASがうまく働かず、RTX 3060とフレームレートにおいて大差を付けられてしまった。RX 6600が4Kでテストを実施できなかったことも同様である。
やはり、DXRを活用したいならGeForce RTX 30シリーズを選んだ方が無難である。
電力当たりのパフォーマンスは極めて良好 ピークでもGTX 1060並み
テストの締めくくりとして、システム全体の消費電力をチェックしておこう。3DMarkのTime Spy Extremeを実行中の最高消費電力を「高負荷時」、PCの起動後10分間何もせず放置した状態後の消費電力を「アイドル時」としてワットチェッカーで計測した。
アイドル時の消費電力はいずれも60Wに届かない程度で、高負荷時の電力はRX 6600が215W、RTX 3060が276W、GTX 1060が210Wとなった。RX 6600とGTX 1060の性能差は大きいが、消費電力はほとんど同じであることは注目すべきポイントである。
RTX 3060と比較してもワットパフォーマンスは非常に優れており、このGPUの優秀な点といっていいだろう。
RTにこだわらないなら費用対効果で魅力的
ここまで見てきた通り、RX 6600の性能は決して控えめなわけではない。RX 6600 XTと比べると一部のスペックをスリム化しているとはいえ、軽~中負荷のゲームなら高いフレームレート動作を期待できる上、AAA級タイトルもカクつきが目立たない程度のなめらかさで描画できる。最新世代のGPUとしては(おそらく)価格も抑えめで、現時点のミドルレンジGPUとして無視できない存在といえる。
「じゃあ、RTX 3060やRX 6600 XTと並べたときに、3つの中でどれを選ぶべき?」と聞かれたら、まずは用途(目的)をよく考えて、価格の推移をよく見て選ぶべきと答える。
ただし、そこで気になるのは流通在庫の豊富さである。RX 6600 XTを搭載するグラフィックスカードは、現時点でもかなりの品薄となっている。それを踏まえると、RX 6600を搭載するグラフィックスカードもいきなり潤沢に供給されるとは考えがたい。「欲しいと思ったら、もう買えなくなっていた」という可能性も否定できない。
1日も早く、このような品薄傾向が改善されることを期待するほかない。
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