RTX 3070よりも性能は向上したが…… 「GeForce RTX 3070 Ti」は“Ti”に相応しいのか?(1/4 ページ)
6月10日22時に「GeForce RTX 3070 Ti」が発売される。GeForce RTX 3070の上位モデルという位置付けだが、消費電力の大幅増など気になる面もある。ベンチマークテストを交えて実力をチェックしてみよう。
日本時間の6月10日22時、NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 3070 Ti」を搭載するグラフィックスカードの販売が解禁される。同社によると、想定販売価格は税込みで8万9980円からになるという。
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GeForce RTX 3080 Ti Founders Editionに続き、ITmedia PC USERと筆者はNVIDIAが自社設計したグラフィックスカード「GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition」(日本発売未定)を試す機会を得た。この記事では、同カードを通してRTX 3070 Tiの実力をチェックしていく。
CUDAコアは微増 グラフィックスメモリは「GDDR6X」に
「GeForce RTX 3080 Ti」のレビューでも述べた通り、RTX 3080 Tiは「GeForce RTX 3080」、RTX 3070 Tiは「GeForce RTX 3070」の上位モデルという位置付けとなる。SM(Streaming Multiprocessor)とGPC(Graphics Processing Claster)の構成を変更し、利用できる「CUDAコア」の数を増やしたことが特徴だ。
深層学習で用いる「Tensorコア」、リアルタイムレイトレーシング(RT)で用いる「RTコア」については設計を変えていないので、シンプルに性能を向上したものと捉えてよい。
RTX 3070 Tiに注目して主なスペックを見ていこう。まずCUDAコアは6144基で、RTX 3070(5888基)比で約4%増加している。RTX 3080 TiではCUDAコア数がRTX 3090に肉薄したことを思うと、物足りないような気もする。ただ、RTX 3070 Tiが用いる「GA104コア」では、これ以上CUDAコアを増やすのは難しいので、致し方ないことだと割り切るしかない。動作クロックは、定格とブースト共にRTX 3070から向上したが、数十MHzと“微増”でしかない。
ここまで見ると、RTX 3070 Tiの性能アップは微々たるもの……と思いきや、グラフィックスメモリ回りを見ると、そうとも言いきれない。グラフィックスメモリの容量とバス幅はRTX 3070から据え置き(8GB/256bit)だが、より高速なアクセスに対応する「GDDR6X」規格に変更された。これにより、理論的にはバス幅の拡張と同じ効果を得られる。
CUDAコア数を限界まで引き上げつつ、より高速なメモリを採用することでRTX 3070から総合性能を底上げした――これが、RTX 3070 Tiの姿である。
ただ、スペックを引き上げた影響からか、RTX 3070 Tiの消費電力はRTX 3070と比べると70Wも増えている(220W→290W)。Founders Edition同士で比較すると、RTX 3070ではGPU用補助電源が「8ピン×1」相当だったものが「8ピン×2」相当に変更された。NVIDIAが推奨する電源容量も100W増えている(650W→750W)。
パートナー企業が設計したグラフィックスカードも、Founders Edtionに準じた消費電力となる。そのため、GPU用補助電源は「8ピン×2」が必要となる見込みだ。少なくとも、RTX 3070よりも“パワフル”電源を必要とすることは間違いない。
GeForce RTX 30シリーズのFounders Editionは独自の12ピン電源端子を搭載しており、一般的な8ピン電源端子への変換アダプターが付属している。RTX 3070では8ピン×1のアダプターが付属していたが、消費電力の増えたRTX 3070 Tiでは他の上位モデルと同じ8ピン×2のアダプターが付属する
RTX 3070(下)とRTX 3070 Ti(上)のFounders Editionを並べてみると、カードの全長は伸びた一方で、厚みはほぼ据え置かれている。奥行きがしっかり確保できていれば、2スロット分でしっかり収まるサイズ感だ
先述の通り、日本ではFounders Editionの発売は未定だ。そのため、パートナー企業が設計したグラフィックスカードを入手することになる。NVIDIAは税込み想定価格を「8万9980円から」としているが、現在のグラフィックスカード市場の状況を考えると、初出の税込み実売価格は10万円を大きく上回る可能性がある。
需要が落ち着けば、実売価格は想定販売価格に近づくと思われるが、その気配は見えない。購入を検討する際に都度、値段を確認することになりそうである。
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