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RTX 3070よりも性能は向上したが…… 「GeForce RTX 3070 Ti」は“Ti”に相応しいのか?(2/4 ページ)

6月10日22時に「GeForce RTX 3070 Ti」が発売される。GeForce RTX 3070の上位モデルという位置付けだが、消費電力の大幅増など気になる面もある。ベンチマークテストを交えて実力をチェックしてみよう。

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「GeForce RTX 3070 Ti」の性能を検証

 前置きはこれくらいにして、GeForce RTX 3070 Ti Founders Editionの性能をベンチマークテストを通してチェックしていこう。

 第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Rocket Lake-S)がPCI Express 4.0バスを備えたこともあり、今回はCore i9-11900K(3.5GHz〜5.2GHz、8コア16スレッド)を主体とするIntelベースのシステムで検証する。今回は、比較対象として以下のグラフィックスカードを用意した。

  • GeForce RTX 3080 Ti Founders Edition
  • GeForce RTX 3080 Founders Edition
  • GeForce RTX 3070 Founders Edition
  • GeForce RTX 2080 Ti(ASUS ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING)

 グラフィックスドライバーは、RTX 3070 Tiがテスト版の「バージョン466.61」、RTX 3080 Tiが同じくテスト版の「バージョン466.54」、それ以外の2つはテスト時における最新の「バージョン466.47」を使用した。今回のシステムではResizable BAR(※1)も利用できるが、今回は同機能を無効としてテストを実行している。

(※1)PCI Expressバスを介してCPUからグラフィックスメモリに直接アクセスする機能

検証環境
今回の検証環境

3DMark

 まず、DirectX Raytracing(DXR)を利用しないベンチマークテストを進めていく。

 1本目は、3Dグラフィックスの描画性能をチェックする定番のベンチマークソフト「3DMark」だ。今回は、DirectX 12ベースの「Time Spy」シリーズ、DirectX 11ベースの「Fire Strike」シリーズを実行した。

 Time Spy系テストにおける総合スコアをRTX 3070と比べると、フルHD(1920×1080ピクセル)で描画する通常版で約3%、WQHD(2560×1440ピクセル)で描画する「Time Spy Extreme」で4%ほどの差を付けて勝利している。前世代のRTX 2080 Tiと比べると、通常版のテストではほぼ拮抗、Time Spy Extremeは約4%上回った。

3DMark(Time Spyシリーズ)
3DMark(Time Spyシリーズ)のテスト結果

 Fire Strike系テストでも、総合スコアは基本的にRTX 3080 Ti、RTX 3080、RTX 3070 Ti、RTX 2080 Tiという順番で並ぶ。ただ、Time Spy系よりも負荷が大きいせいか、フルHD描画の通常テストでもRTX 3070 TiはRTX 2080 Tiに対して優勢だった。ただし、その差は最大でも6%程度で、劇的な開きがあるわけではない。

 「RTX 3070と比べるどうか?」と見てみると、総合スコアの差は安定して5%前後に落ち着いている。少なくとも3DMarkの主要なテストにおいて、RTX 3070 TiはRTX 3070やRTX 2080 Tiに対する“大きな”性能差を見いだせない。

3DMark(Fire Strikeシリーズ)
3DMark(Fire Strikeシリーズ)のテスト結果

FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク

 続いて、実際のPCゲームをベースとするベンチマークソフトとして「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を実行した。今回は、描画品質を「最高品質」に設定した上で、フルHD、WQHD、4K(3840×2160ピクセル)の3種類の解像度でチェックした。

 フルHDではRTX 3070 TiとRTX 3070のスコアにほぼ違いが見られない。若干ではあるが、RTX 2080 Tiにも負けてしまっている。

 解像度が上がってWQHDになると、スコアの順番は3DMarkと同じような並びとなる。4Kでは、RTX 3070 TiのスコアがRTX 3070比で約10%、RTX 2080 Ti比で7%程度高くなった。

 前回のRTX 3080 Tiのテストでも触れたが、今どきのハイエンドGPUでは、フルHDのスコアは伸びづらい(≒有意な性能差を見いだしにくい)。RTX 3070 TiもWQHD以上の解像度で使うとうま味を感じやすいGPUといえそうだ。

FF14ベンチマーク
FF14ベンチマークの結果

 もう1つ、重量級PCゲームをベースとする「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」も試してみた。描画品質は「高画質」で、FF14ベンチマークと同じ3種類の解像度で計測している。

 フルHDでは、RTX 3070 TiとRTX 2080 Tiのスコアがわずかに逆転している。これは先のテストと変わらない傾向だ。前世代において最上位であるRTX 2080 Tiに対しては、RTX 3070ではどの解像度でもスコアが劣る一方で、RTX 3070 Tiは負荷の高い高解像度だとRTX 2080 Tiに勝ることは興味深い。

 ただし、「RTX 3070 TiはRTX 2080 Tiと同等かそれ以上」かといわれると、そうとも言いきれない。詳しくは後述するが、グラフィックスメモリの容量がモノをいうシーンではRTX 2080 Tiの方が優位に立てる場面もあるからだ。

FF15ベンチマーク
FF15ベンチマークの結果

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