フルHDゲーミングに手頃な選択肢 10月14日発売の「Radeon RX 6600」を先行レビュー(2/3 ページ)
10月14日、AMDの新型GPU「Radeon RX 6600」を搭載するグラフィックスカードが発売される。既に登場している「Radeon RX 6600 XT」の下位モデルに相当するが、同様にフルHDのゲーミングに焦点を当てたことが特徴だ。ベンチマークテストを通して実力をチェックしていこう。
Radeon RX 6600の性能を検証
ここからは、FIGHTER RX6600 8GBを使ってRadeon RX 6600の性能をチェックしていこう。
今回は「Ryzen 9 5900X」を主体とするAMDプラットフォームでテストを実施する。比較対象として以下のGPU(グラフィックスカード)も用意した。
- GeForce RTX 3060(ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge)
- GeForce GTX 1060(ROG-STRIX-GTX1060-O6G-GAMING)
グラフィックスドライバーは、Radeon RX 6600 XTがテスト版の「Radeon Software Adrenalin 21.30.17.06」を、GeForceシリーズはテスト時点で最新の「バージョン496.13」を利用している。
なお、Radeon RX 6600とGeForce RTX 3060では、PCI Expressバスを介してCPUがグラフィックスメモリにアクセスできるSAM/Resizable BARを有効にしてテストを実施している。
3DMark
まず、DirectX Raytracing(DXR)を利用しないベンチマークテストを進めていく。
1本目は、3Dグラフィックスの描画性能をチェックする定番のベンチマークソフト「3DMark」だ。今回は、DirectX 12ベースの「Time Spy」シリーズ、DirectX 11ベースの「Fire Strike」シリーズを実行した。
Time SpyシリーズのRX 6600における総合スコアは、フルHD描画の「Time Spy」で8512、WQHD(2560×1440ピクセル)描画の「Time Spy Extreme」で4038となった。RTX 3060のスコアと比べると、Time Spyは約6〜7%、Time Spy Extremeは約9%ほど低い値である。
一方で、Fire StrikeシリーズのRX 6600における総合スコアは、フルHD描画の「Fire Strike」が2万1457、WQHD描画の「Fire Strike Extreme」が1万387、4K(3840×2160ピクセル)描画の「Fire Strike Ultra」が5440となった。Time Spyとは逆に、RTX 3060よりもRX 6600の方がスコアが良好だったことが印象的である。この現象は、RX 6600 XTとRTX 3060の比較でも見受けられたが、Fire StrikeシリーズのテストはRDNA2アーキテクチャとInfinity Cacheとの相性が良いようである。
GTX 1060と比べた場合は、どちらのシリーズも“圧倒的”にRX 6600の方が強く、特にFire Strikeでは2倍近いスコア差となっている。ゲーミングにおいてGTX 1060は今でも根強い人気を誇るが、ゲームが要求するスペックが高まりつつあることを考えると、そろそろGTX 1060からの買い換えを考えても良い頃合いといえるかもしれない。
PCゲームにおけるフレームレート
まず、人気のシューター系タイトル「Apex Legends(エーペックスレジェンズ)」を試してみよう。今回は描画負荷がもっとも高くなるように設定を行った上でゲーム内の一定コースを移動する際の1分間の平均フレームレートと、最小フレームレート(Min 1%)を「CapFrameX」を使って取得した。解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類で試している。
フルHDでは、RX 6600の平均フレームレートが160fpsを超えている。RX 6600 XTよりもスペックこそ低くなっているが、フルHD環境では想像以上に良いパフォーマンスを発揮できることが分かる。
しかし、RX 6600とRTX 3060のフレームレートの“差”に目を向けると、フルHDでは差が10%程度に収まっているが、WQHD、4Kと解像度が高まるほど差が有意に広がる。RX 6600 XTのレビューでも触れたが、高解像度環境ではRTX 30シリーズの優位性が高まりやすいようだ。
もっとも、RX 6600はフルHDにフォーカスしたGPUである。WQHDや4Kでゲームを楽しみたいなら、最初から別のGPUを選んだ方が幸せになれる。繰り返しだが、フルHDで遊ぶ分には性能的にも十分なのだが……。
より高負荷なタイトルでは、フレームレートにどのくらい差が付くのだろうか。「Cyberpunk 2077(サイバーパンク2077)」で試してみよう。
このゲームはDXRに対応しているが、ここではDXRを無効とした状態でフレームレートを計測する。画質はプリセットの中で最も高画質な「ウルトラ」を選択し、フィールド上の一定コースを移動する際の1分間の平均/最小フレームレートをCapFrameXで計測した。解像度は、先ほどと同様にフルHD、WQHD、4Kの3種類で試している。
Cyberpunk 2077をウルトラ画質でプレイすると、RX 6600はフルHDでも平均フレームレートが60fpsを割り込んでしまう。RX 6600 XTでは60fpsを少し上回っていたことを考えると、フルHDでも高負荷なタイトルを遊びたいならRX 6600 XTの方がベターといえるだろう。
なお、このゲームではRTX 3060が目立って優れた性能を発揮しており、解像度が上がるとほど他のGPUとの差は顕著になる。また、GTX 1060では4Kにすると起動すらできない状態になる。
もう1つ、負荷が高めの人気タイトル「アサシン クリード ヴァルハラ(ASSASSINS CREED VALHALLA)」でもテストをしてみよう。画質設定はプリセットに「最高」を選択し、解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類に設定した上で、ゲーム内ベンチマークモードにおいて平均/最小フレームレートを計測した。
この作品はRadeonシリーズへの最適化が進んでいる。そのため、同等クラスでの製品であればGeForceシリーズよりもRadeonシリーズの方がフレームレートが高く出る傾向にある。今回もご多分に漏れず、RX 6600が常にベストなフレームレートを記録していた。
結果を見ると、RTX 3060のフレームレートがちょっと低すぎる気もするが、環境(最適化の状況)次第では、RTX 3060を上回るパフォーマンスを発揮できることは注目に値する。
以前レビューしたRX 6600 XTは「RTX 3060に対して(フルHD環境での性能では)同等かやや上」といった感じだったが、RX 6600も同じ印象だ。ベンチマーク結果を見る限り、RTX 3060と比べて極端に劣るわけでもなく、性能的には悪くない。FPSタイトルでも144fps超のフレームレートを出せるだけのポテンシャルは十分にあるため、バランスはなかなか良い印象だ。
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