コラム

技術・家庭科で「Python」を ミクシィが中学校で「プログラミング授業」を実施(前編)(2/3 ページ)

渋谷区立鉢山中学校の技術・家庭科のプログラミングに関する授業に、「モンスト」などで知られるミクシィが協力した。この記事では、1回目と2回目の授業の様子を見てみよう。

1回目の授業で制御文まで学習

 ここからは、1回目の授業の様子を見ていこう。

 始めに、鉢山中学校で技術分野を受け持つ磯部正則講師から、この授業の講師役を務めるミクシィの田那辺輝氏が紹介された。田那辺氏は今回の企画の中心人物で、PPSやテキストの開発にも関わっている。

 先に触れた通り、ミクシィは2020年度から鉢山中学校におけるプログラミング教育に携わっている。田那辺氏は2020年度も講師を務めていたそうで、中学生を相手にそつなく説明をこなしていた。

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中学校の「技術・家庭科」のカリキュラムについて(編集部からの補足)

 現行の学習指導要領における中学校課程の「技術・家庭科」では、「技術分野」と「家庭分野」のそれぞれが4つの内容で構成されています。指導計画(実際の授業の進行)は学校により異なりますが、以下の内容を3年間かけて学んでいくことになります。

  • 技術分野(全内容必修)
    • A:材料と加工に関する技術
    • B:エネルギー変換に関する技術
    • C:生物育成に関する技術
    • D:情報に関する技術
  • 家庭分野(A~Cの一部小単元は選択必修)
    • A:家族・家庭と子どもの成長
    • B:食生活と自立
    • C:衣生活・住生活と自立
    • D:身近な消費生活と環境

 今回のプログラミング授業は、「技術分野D(情報に関する技術)」の小単元の1つ「プログラムによる計測・制御」に含まれる内容です。


鉢山中学校で技術分野の授業を担当する磯部正則講師

情報の技術の講師を担当するミクシィの田那辺輝氏。今回のプロジェクトのリーダーを務めている

プログラミング教育は、技術分野D(情報に関する技術)の小単元「プログラムによる計測・制御」の中に含まれる

 田那辺氏はまず、Pythonの特徴やPPSの使い方などを説明を説明した。その後、文法のテキストが配布された。

 これを踏まえて、田那辺氏はPythonの基本的な言語構造である「型」「式」「文」「コメント」などを解説し、プログラムの入力と実行の手順を示した。


Pythonの特徴を説明。学びやすく、WebサービスやAI/機械学習などに使われていることから、プログラミング言語の中でもニーズが高いことも説明された

学習は文法学習→コードパズル→課題解決→ソフトウェア開発の4ステップで進められる。1回目の授業は、初歩の「文法学習」をやっていくことになる

ミクシィが開発したPPSは、4ステップに渡る学習を全てカバーする

文法学習は、テキストを見ながらコードを打ち込んで、実際に実行した結果を確認していくことで進められる

PPSでは、球などの3Dオブジェクトを発生させるコマンドも利用できる

まず、Pythonの基本である「言語構造」「式」「演算子」「制御文」を学ぶ

 その後、生徒たちは実際にテキストを見ながら各自Pythonのコードを入力し、その動作を確認するといった流れで学習が進められた。

 1回の授業は、50分しかない。そのため、説明はやや駆け足だったが、生徒たちはみな集中して取り組んでいた。驚いたことに、最初の授業で基本的な制御文である「if文」や「for文」まで進んだ。

 田那辺氏の他に、ミクシィからは指導補助として数名のスタッフが参加し、適宜生徒たちのサポートに入っていた。このことも、想像以上のスムーズな進行につながったのだろう。

 授業の最後に、磯部講師から各自の端末を使って授業アンケートに答えるように指示があった。この回答をもって、1回目の授業は終了となった。


前年度も講師を務めたこともあってか、田那辺氏の説明は非常に手慣れている

田那辺氏以外にもミクシィのスタッフ数名が生徒のサポートに加わっていた

テキストを見ながら、生徒はコードを打ち込んでいく

生徒たちは真剣そのもので、かなり集中して取り組んでいた

「Pythonではブロックのインデント(字下げ)が大切」と解説する田那辺氏

授業の最後に行われたアンケートはWebフォームだった

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