「Mac Studio×Studio Display」が見せるデジタルクリエイションの頂上品質:林信行が体感(3/3 ページ)
3月18日、ArmベースのMacとしては最高スペックを誇る「Mac Studio」と、それと組み合わせて使える5Kディスプレイ「Studio Display」が同時に発売される。この組み合わせは、デジタルクリエイションにとって大きな意味を持つ。林信行氏が、先行してその魅力を体感した。
一度使うと手放せない「Studio Display」の心地よさ
今回、Mac Studioの型破りな性能に感嘆せずにはいられなかった……のだが、個人的にさらに大きく感動したのはStudio Displayの使い心地だ。レビュー期間中、何度かStudio Displayを愛用のMacBook Airにつなぎ換えて使っていたが、あまりに快適で手放せなくなるのを感じた。
何に感動したのか。27型で5K(5120×2880ピクセル)解像度、600ニトの最大輝度、そして最大約10億色表示に対応している大画面であることはもちろんなのだが、ポイントはそれだけではない。
まず、ヘッドホンなしで空間オーディオ再生できる優れた音響システムだ。YouTubeなどに上がっている「Dolby Atmos」に対応する映像を再生してみると、ちゃんと音が背後から聞こえてくる。ヘッドフォンの空間オーディオほどハッキリとしたものではないが、後ろ方向からの音声も頭のすぐ後ろくらいには感じられる。M1搭載iMacの音響システムもなかなかすごかったが、Studio Displayではさらに低音が効き、自然な音も迫力のある大音響にしても素晴らしい。
Apple Musicに登録された空間オーディオの音楽を聴くだけで楽しくて、ついつい聴き過ぎてしまう。今、こうして叩いているキーボードのすぐ先にウッドベースが現れたかと思ったら、右側からマリンバのような音が聞こえてきたりもする。
もちろん、音の立体感には空間オーディオの調音との相性もあるが、うまく調音されている音源は、目を閉じると本当に生演奏を聴いているかのような気分に浸れるものがある。ディスプレイを見に行って、音楽を再生する人はなかなかいないだろうが、販売店に行ってStudio Displayを検証する際は、ぜひ大音響で音楽も再生してみてほしい。
これでDolby Atmos対応の映画とかを見始めると、なおタチが悪い。Macを置いたデスクが完全にプライベートシアターになるのだ。Studio Displayの3倍ほど高価な「Pro Display XDR」は画面も大きく、HDR表示の画質も上かもしれない。しかし、こうしたカジュアルな楽しみはStudio Displayならではだ。
音質という観点では、内蔵マイクの音質も良い、これだけで楽器の演奏やボーカルなど音楽の収録もできるスタジオ品質を確保できている。
Studio Displayは仕事用ディスプレイとしても最強だが、大画面と大音響で映画やゲームを楽しむ上でも最強というカジュアルさを備えている。その点でも、Macの製品カルチャーに非常にマッチするディスプレイだと思った。
Studio Displayの素晴らしいポイントはまだある。もう1つ、注目してほしいのが内蔵カメラだ。122度の視野角を持つ超広角カメラで、センサーは約1200万画素。F2.4とレンズも明るい。
レビュー期間中にWeb会議をする機会が何度もあったが(Zoomが一番多かったが、結果的にWebex、Microsoft TeamsやGoogle Meetも試せた)、MacBook Airの内蔵カメラなどと比べると圧倒的に画質が良く、つい毎回Studio Displayをつないでそちらのカメラを使っていたほどである。
ただし、MacBook Airとつないだ場合は「センターフレーム機能」がうまく動作しなかった。この原因は現在調査している。
3月15日(日本時間)にリリースされたばかりの「macOS Monterey 12.3」では、β版ながら1台のキーボードとトラックパッド(またはマウス)で複数のApple機器を操作できる「ユニバーサルコントロール」機能が搭載された。例えばMacBook Airと「iMac」の2台使いでも、操作性が向上するだろう。
しかし、これまで通り使うマシンは1台だけに絞って、必要に応じて外付けディスプレイをつなぐというワークスタイルもある。このスタイルが好みに合っている人にとって、Studio Displayはかなり魅力的な選択肢だと思う。
関連記事
Appleが27型5Kディスプレイ「Studio Display」を3月18日発売 19万9800円から
Appleが、27型5Kディスプレイ「Studio Display」を発表した。「A13 Bionicチップ」と約1200万画素Webカメラを内蔵しており、両者を組み合わせることでディスプレイサイドでセンターフレーム撮影を実現している。M1 Ultra/M1 Max搭載の超小型デスクトップPC「Mac Studio」登場 3月18日発売で24万9800円から
Appleが発表会を開催し、新型デスクトップPC「Mac Studio」を発表した。M1 Maxと新SoCのM1 Ultra搭載の2モデルが用意される。発売は3月18日からで、既に国内でも注文が可能だ。Appleが「M1 Ultra」を発表 「M1 Max」を2基連結して“スペック2倍”に
Appleが、M1チップの新バリエーションとして「M1 Ultraチップ」を発表した。従来の最上位にあった「M1 Maxチップ」を独自技術で2基連結した設計となっており、より高速なGPU処理やメディア処理を行える。3月18日に発売予定のデスクトップ「Mac Studio」に搭載される予定だ。「M1 Ultra」という唯一無二の超高性能チップをAppleが生み出せた理由
M1 Maxで最大と思われていたAppleの独自チップだが、それを2つ連結させた「M1 Ultra」が登場した。半導体設計、OSと開発ツール、エンドユーザー製品の企画開発、その全てを束ねるAppleだからこそ生み出せた唯一無二のチップだ。これまでの限界を打ち破る! 作り込まれた「Apple Event」で感じた新たな息吹
Appleが3月8日(米国太平洋時間)に行ったスペシャルイベントでは、iPhoneやiPad Airシリーズの新モデルに加え、今後のPCに大きな影響を与えるであろう発表もなされた。林信行氏が同イベントを読み解いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.