「Mac Studio×Studio Display」が見せるデジタルクリエイションの頂上品質:林信行が体感(2/3 ページ)
3月18日、ArmベースのMacとしては最高スペックを誇る「Mac Studio」と、それと組み合わせて使える5Kディスプレイ「Studio Display」が同時に発売される。この組み合わせは、デジタルクリエイションにとって大きな意味を持つ。林信行氏が、先行してその魅力を体感した。
愛着が湧き使い勝手もよい本体デザイン
Mac Studioのデザインは極めてシンプルだ。縦:横:高さの比が「1:1:0.5」となっている。このサイズ、なんか懐かしくて見覚えあるなと思ったら、1990年代によくデザインスタジオなどで見かけた「Macintosh IIcx/ci」あるいは「Macintosh Quadra 700」のボディーに近いアスペクト比だ。シンプルでそれだけに力強い存在感がある。ちなみに縦と横の長さの19.7cmは、EP盤(7インチシングル)のジャケット(縦横が約18cm)にも近い。
そんな製品の記憶がない世代であっても、人間の顔の大きさに近いこのサイズには、なんとなく親しみが湧くのではないかと思う。
本体の上には鏡面仕上げのAppleロゴが、正面には3つの“切れ込み”と電源インジケーターが並ぶ。写真を取り込みたいと思ったら、デジタルカメラから抜いたSDメモリーカードを正面のSDXCメモリーカードスロットに挿入すればいい。外付けのSSDに出来上がった動画をコピーしたいと思ったら、わざわざ本体の裏まで手を回さずに、正面の2つのUSBポートのどちらかにと、シンプルな見た目ながら正面ポートが絶妙な使い勝手の良さに貢献している。
なお正面のUSB Type-Cポートは、モデルによって仕様が異なる。M1 MaxモデルはUSB 3.2 Gen 2規格(最大10Gbps)となっているのに対して、M1 UltraモデルはThunderbolt 4(USB4)規格(最大40Gbps)となっている。
ずらっと4つのUSB Type-C端子が並んだ背面は、チップに関係なく4つ共にThunderbolt 4(USB4)ポートとして機能する。その横には10GBASE-Tポート、2つのUSB Type-A端子、HDMI出力端子、ヘッドフォンジャック、そして電源ボタンが並んでいる。
見えない背面にありながら、指を伸ばすと吸い込まれるように電源ボタンに指が届く絶妙な配置は、さすがAppleのデザインチームならではと思わせる。
では製品名はどこに刻印されているのかというと、本体底面に大きな文字で刻印されている。ある意味で“うるさい”製品名という文字情報を、作業中における視界を邪魔しないように底面に隠しているのだ。
その代わり、底面の製品名はこれでもかといういきおいで大きく太く書かれている。ものすごく存在感のある、この刻印手法は16インチの「MacBook Pro」で開拓された新しいものだ。
冒頭で紹介した18本の8K動画の編集も含めて、Mac Studioからはほとんど動作音が聞こえてこない。しかし、背面に手を当てると、常に静かなファンが回って放熱されていることが分かる。同じMac Studioでも、M1 MaxモデルとM1 Ultraモデルでは約1.1Kgも重さが違う。これはM1 Ultraの方がより熱伝導率が高い銅製のサーマルモジュールを搭載していることが理由のようだ。
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