AppleのクックCEOが政策立案者とプライバシー・コミュニティーに訴えかけた未来(2/2 ページ)
ワシントンD.C.で開催された「IAPP Global Privacy Summit 2022」において、Appleのティム・クックCEOが基調講演を行った。その模様を林信行氏がレポートする。
プライバシー・コミュニティーの人々に支持を呼びかけ
続けてクック氏は、「もし未審査のアプリをiPhoneに入れられるようになったら、それは予期せぬ重大な結果を招くことでしょう。このような事態を目の当たりにして、私たちは声を上げ、プライバシーを損なわないという目標を維持するために政策立案者に協力を求める義務があると感じています。
(中略)
そして、プライバシー・コミュニティーの皆さんが、規制が人々の基本的権利を守る方向で作成され、解釈され、実施されるべく私たちの活動に参加してくれることを期待しています」と述べる。
講演の終盤、クック氏はプライバシーの権威であるアラン・ウェストン氏についてこう言及した。「今年は彼による画期的な著書『Databanks in a Free Society(自由社会におけるデータバンク)』の出版から50周年にあたります。ウェストン氏は、プライバシーの侵害を恐れるのは正当なことであって、テクノロジーがもたらす必然の結果ではないと語っています。何を収集し、どのような目的で誰と情報を共有するかは、全て政策選択の問題であり、技術的決定論ではありません」と断言。
そして次のように締めくくった。
「今は、プライバシーの戦いの極めて重要な局面です。私たちが未来に目を向けたとき、テクノロジーが私たちの世界を形成し続けることは明らかです。しかし、テクノロジーが社会に与える影響は、あらかじめ決まっているわけではありません。プライバシーの喪失は避けられない未来ではないのです。そして、テクノロジーを生み出し、それを支配するルールを作る私たちは、サービスを提供する人々に対して大きな責任を負っています。その責任を受け入れようではありませんか。私たちのデータを保護し、デジタルの世界を安全にしようではありませんか。そして、プライバシーを過去の遺物にすることはありえないし、そうさせるつもりはないことを宣言しましょう」
クック氏の基調講演を含め、本サミットの模様は下記の動画で確認できる(クックCEOの登場は14分18秒~)。
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