いよいよ解禁!「Wi-Fi 6E」は何がすごい? 「Wi-Fi 6」との違いは? どんなモデルがある?(1/3 ページ)
9月2日、6GHz帯の電波を利用した無線LANが“解禁”された。いわゆる「Wi-Fi 6E」というものだが、これは従来の「Wi-Fi 6」と何が違うのだろうか。簡単かつ詳しく解説する。
既報の通り、9月2日付で日本国内において6GHz帯の電波(5925~6425MHz/500MHz幅)を無線LANで使えるようになった。
本件と関係するキーワードの1つに「Wi-Fi 6E」というものがある。昨今、ノートPCやスマートフォンなどで良く聞く言葉だが、今までの「Wi-Fi 6」と何が違うのだろうか。使うにはどのようなデバイスが必要なのだろうか。簡単に解説していきたい。
Wi-Fi 6E=6GHz帯“も”使えるWi-Fi 6
簡単に説明すると、Wi-Fi 6Eは6GHz帯の電波“も”利用できるWi-Fi 6のことである。
Wi-Fi 6は、「IEEE 802.11ax」という国際規格に基づく無線LANに付けられたブランド名だ。名付け親は、無線LANに関する業界団体「Wi-Fi Alliance」である。
「なんで『6』なの?」という点だが、無線LANに関する国際規格である「IEEE 802.11シリーズ」のうち、無線通信の規格を世代順に並べるとIEEE 802.11axが「第6世代」に相当することに由来する。具体的には世代/ブランド名と規格名は以下のような相関関係を持つ。
- 第1世代:IEEE 802.11/IEEE 802.11b(2.4GHz帯)
- 第2世代:IEEE 802.11a(5GHz帯)
- 第3世代:IEEE 802.11g(2.4GHz帯)
- Wi-Fi 4(第4世代):IEEE 802.11n(2.4GHz帯/5GHz帯)
- Wi-Fi 5(第5世代):IEEE 802.11ac(5GHz帯)
- Wi-Fi 6(第6世代):IEEE 802.11ax(2.4GHz/5GHz帯/6GHz帯)
- Wi-Fi 7(第7世代):IEEE 802.11be(同上、規格策定作業中)
通信容量の増加(広帯域化)を見越して、IEEE 802.11axは6GHz帯でも通信することを想定して制定された。しかし、6GHz帯の電波は従来、各国においてライセンスバンド(利用に当たって規制当局からの免許取得が必要な帯域)として運用されてきたため、まずは従来の2.4GHz帯と5GHz帯にのみ対応することになった。
そしてIEEE 802.11ax規格のうち、2.4GHz/5GHz帯での通信に対応することを意味するブランドとして登場したのが「Wi-Fi 6」である。
「規格名だと技術の新旧が分かりづらい」という課題に対し、Wi-Fi Allianceはブランドとして世代名を付与することにした。IEEE 802.11axは第6世代に相当するため「Wi-Fi 6」なのである(出典:Wi-Fi Alliance)
2.4GHz/5GHz帯での通信に対応するブランドを「Wi-Fi 6」とするからには、後々登場することになる6GHz帯でも通信できるデバイスには“別の”ブランドを付与する必要がある。かといって、6GHz帯を使うとはいえ通信規格には変更がないため、数字を進める訳にも行かない。
そこで、6GHz帯にも対応するWi-Fi 6デバイスのブランドは、「Extended(拡張)」という意味の「E」を付けて「Wi-Fi 6E」とすることになった。「E」の有無で6GHz帯への対応の有無を見分けられるということである。
なお、Wi-Fi Allianceの相互接続認証「Wi-Fi CERTIFIED 6」では、Wi-Fi 6とWi-Fi 6E共に同じロゴを利用している。そのため、同認証を取得していて、かつ6GHz帯にも対応する製品を探すには、パッケージにある「Wi-Fi 6E対応」「6GHz帯対応」といった補足説明も合わせて確認する必要がある。
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