最大6GHz駆動を実現! Intelが第13世代Coreに至る道のりをイスラエルで公開:チックタック復活ののろし(3/3 ページ)
Intelが“世界中の”メディアを集めてイスラエルの研究開発拠点「Israel Development Center(IDC)」の見学ツアーを開催した。その基調講演において、IDCが開発してきたCPUの歴史と、間もなく登場がうわさされる第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)の近況が解説された。
開発期間を短縮した「Raptor Lake」
2022年内の発売を予定している第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake)は、第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)に引き続きIDCが開発を担当する(さらに先の「Meteor Lake」は米オレゴンのチームが開発を担当する)。
Raptor Lakeは、Alder Lakeと同じ「Intel 7(改良された10nmプロセス)」で製造され、基本設計もほぼ同じである。そのこともあり、リリースに掛かるまでの時間を6カ月ほど短縮できたという。
IDCは製品投入のタイミングも優秀で、リリースに当たって出荷を約束した時期から実際に製品が出荷されるまでのズレが、2015年以降ほとんどの製品で1カ月以内に収まっている。2~3カ月ほど「窓が開いた(≒出荷が遅れた)」製品も3つしかなく、それを超える遅れは皆無である。
出荷スケジュールの遅延の少なさは、Intel自身のみならず、同社製CPUを購入するPCメーカーやエンドユーザーにとってもメリットが大きい。Raptor Lakeについても、デスクトップ向け製品を皮切りにモバイル向け製品も“ほぼ予定通り”にリリースできる見通しだ。
半導体の開発から製造までに必要な期間は、プロセスの設計を含めると3~5年と言われている。Alder Lakeの場合、プロセスの設計を除いて30カ月以上を費やし開発されたが、Raptor LakeはAlder Lakeの基本設計を流用したため6カ月ほど開発期間を短縮できたそうだ
IDCが設計したCPUの出荷約束時期と実際の出荷時期のズレを2015年以降で調べると、四半期(2~3カ月)の遅延が発生したのは3例(デスクトップ向けSkylake、モバイル向けIce Lake、デスクトップ向けComet Lake)のみで、それ以外は1カ月以内に収まっている。
先述の通り、Rapor LakeはAlder Lakeの基本設計を流用しており、製造プロセスはIntel 7のままだ。Meteor Lakeは「Intel 4(7nmプロセス)」で製造され、それ以降は2025年まで製造プロセスの改良と刷新(微細化)を1年で交互に進める見通しとなっている。
10~14nmプロセスで足踏みが続いていたことを考えれば、ようやく以前のペースを取り戻しつつある印象だ。
Raptor Lakeのキーワードは「パフォーマンス」
そんなRaptor Lakeだが、キーワードは「パフォーマンス」だという。パフォーマンスコア(Pコア)の最大クロックは、同社のCPUとしては初めて6GHzに達する他、全体的なパフォーマンスの改善を進めたという。一部では高効率コア(Eコア)の数が最大で2倍になるという話もあるが、これが事実だとすると、CPUダイの面積はAlder Lakeよりもさらに大きくなる可能性がある。
Intel 7は「モノリシックダイ」で、製造効率を向上させる技術として採用が始まっている「マルチチップレット構成」となっていない。CPUダイの面積拡大は、そのままコストに跳ね返ってくると考える。
実際の性能も含め、Raptor Lakeの仕様と販売価格帯がどううなるのか、今から注目が集まる。
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